2014年2月24日の代表質問の議事録です。
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2014.02.24 : 平成26 年2月定例会(第2日) 本文
本文◎指山清範君(拍手)登壇
おはようございます。
自由民主党の指山でございます。
平成二十六年二月定例県議会の質疑のスタートに当たり、自由民主党を代表して、県政の方針、施策の基本的な考え方について質問をいたします。
県民の皆さんや県議会と意思の疎通を図るという認識に立って、前向きでわかりやすい明確な答弁を求めます。
私の好きな言葉に「凡を転じて聖となす」という仏教の言葉があります。
凡、すなわち平凡なものを転じて、聖、すなわちすばらしいものに変えるという意味であります。
例えば、唐突ですが、将棋の駒に歩というものがあります。
この駒は一つずつしか前に進めない地味で小さな駒です。
面積も小さく、人口も少ない上に減り続けている、認知度も向上させなければならない佐賀県に相通じるものがあると思うのであります。
しかし、この歩も、たとえ一つずつしか前に進めなくても、着実に前に進めば、やがては金と同じ力を持つ駒に変身いたします。
同様に佐賀県も知恵を絞り出し、努力を続ければ、事と次第によっては大きく変化を遂げることができる、そう信じてやみませんし、そう考えると、またやる気も一層生まれてくるのではないでしょうか。
大事なことは、大きく変化を遂げるまでのプロセスです。
そこに可能性がある限り、チャンスがある限り、多くの素の中から宝を探し出し、磨きをかけて全身全霊を傾けていけば、ナンバーワンのもの、あるいはオンリーワンのものをつくり出すことができる、そう思っています。
知事にはそういう気概を持って、たとえどんな状況に陥ろうとも、前を向いて一歩一歩、歩みを進めていただきたいと思います。
それでは、古川知事や教育長、県警本部長に心に深く響く答弁を期待し、以下、具体的に質問を進めてまいります。
しばしおつき合いのほど、お願い申し上げます。
まず、県政運営の基本方針についてであります。
古川知事は、三期十一年にわたって県政の運営を行ってこられました。
これまで知事は、トライアル発注やパーキングパーミット、我が国で初めてとなる国連公共サービス賞の受賞につながった県民協働といった全国に先駆けた取り組みを始めてこられました。
さらに昨年は、「拓く。
」をキーワードに、フルマラソン化した「さが桜マラソン」の開催、佐賀県医療センター好生館や九州国際重粒子線がん治療センターの開設、有明佐賀空港では、ソウル便の開設や国際線専用施設の運用開始、新しい情報発信プロジェクト「FACTORY SAGA(ファクトリーサガ)」による情報発信などに取り組まれ、佐賀県がいろいろな分野で全国へ、そして世界へと道を開いた一年であったと、私も同様に感じています。
ただ、これらの取り組みの成果を県内の景気浮揚や雇用促進につなげて、県民が取り組みの効果として実感できるようにすることが必要ではないかと考えています。
平成二十六年度は、古川県政が始まって三期十二年目を迎えるとともに、総合計画二〇一一の最終年に当たり、仕上げの年にしていかなければなりません。
そういう中で知事は、昨年の「拓く。
」から一歩進んで、「駆ける。
」をキーワードに掲げられ、県政運営に取り組んでいきたいと表明されました。
そこで、次の点についてお伺いいたします。
「駆ける。
」に込めた思いについて、まず伺います。
知事は、ことしのキーワードを「駆ける。
」と表明されたところでありますが、どのような思いで「駆ける。
」とされたのか、まずお伺いをさせていただきます。
次に、県政運営の基本方針についてであります。
知事は、三期目最終年の県政運営をどのような意識で進められ、具体的にどのような施策に力を込めて取り組まれるのかお伺いいたします。
続いて、財政運営についてお伺いいたします。
二月七日に平成二十六年度地方財政計画が発表されました。
その規模は八十三兆三千六百七億円となり、前年度よりも一兆四千四百五十三億円増となっています。
また、一般財源の総額は六十兆三千五百七十七億円となり、前年度よりも六千五十一億円増となっています。
しかし、地方交付税は総額で前年度より千七百六十九億円減の十六兆八千八百五十五億円となっています。
そこでお伺いいたします。
国の平成二十六年度地方財政対策の評価についてお伺いいたします。
国の平成二十六年度の地方財政対策は、地方の安定的な財政運営に必要となる地方の一般財源総額について、平成二十五年度地方財政計画と実質的に同水準を確保することを基本として講じられていますが、知事はどのように評価されていますか。
次に、佐賀県の歳入確保対策についてお伺いいたします。
平成二十六年度地方財政対策により一般財源総額は確保されたものの、地方交付税については、地方税収入が一定程度増加することにより、前年度よりも減額となっています。
このことは、税収が地方財政対策どおりに伸びなければ厳しいということになります。
平成二十六年度予算については税収が交付税の減以上に伸びる見込みであり、問題ないと考えていますが、いわゆる自主財源が乏しく、地方交付税に依存した本県の財政体質は変わっておらず、地方交付税の動向は今後も注視し続けなければならない状況に、これでよいのかと思いを抱くところであります。
ついては、長期的な課題とはなりますが、今後、地方交付税の増減におびえなくてもよいよう、国の経済対策に積極的に取り組むとともに、これを契機にさらに県内の経済浮揚に取り組むなど、これまで以上に県税収入等をふやすための施策に取り組んでいく必要があると考えますが、どのように認識されているのかお伺いをいたします。
三点目に、有明海の再生についてお伺いいたします。
本県有明海は、近年、潮の流れの低下や、赤潮や貧酸素水塊の発生など、有明海の環境は非常に厳しいものがあると認識しています。
このような中、貝類資源を見ると、近年、漁獲が大きく落ち込んでおり、干潟に生息するアゲマキは依然として漁獲が見られず、冬場の風物詩であるタイラギの潜水器漁についても二年連続で休漁を余儀なくされるなど、漁船漁業の現状は厳しい状況が続いています。
また、ノリ養殖業は、集団管理等の漁業者の方々の努力もあり、幸いにも昨年まで十年連続日本一となっておりますが、本漁期は早くから大規模な珪藻赤潮が発生し、鹿島や太良地先を中心に全域で色落ち被害が発生しており、予断を許さない状況となっています。
一方、開門調査については、昨年の十二月二十日までに開門する司法上の義務を国は履行せず、その後、開門問題に関して、開門派と開門反対派による間接強制の申し立てや開門派の間接強制に対抗するための訴訟が国から提起されるなど、ますます混迷を深め、司法上での決着は長期化が予想されます。
林農林水産大臣は、開門問題の解決のためには話し合いが必要だとの考えを示され、粘り強く話し合いを呼びかけていきたいと言われていますが、話し合いでの解決の糸口すらいまだに見えない状況であります。
有明海で暮らす漁業者からは、二枚貝類などの漁業不振が長期化する中、期限までの開門調査の実施を信じ頑張ってきましたが、開門されなかったことから、国に裏切られたことに対する怒りの声や、有明海の再生についての先行きが見えないことに対する不満の声が上がっています。
県議会としても、開門調査についてはこれまで多くの決議、意見書を提出し、開門調査の実施を求めてきたところであり、判決の期限までに開門されなかったことについては極めて遺憾であります。
宝の海・有明海の再生は、漁業者だけでなく、誰もが願う共通の目標であり、有明海を一日も早く再生するためには、環境変化の原因の究明のために開門調査を実施するとともに、漁業生産の安定を図るための取り組みも重要であると考えています。
そこで、次の点についてお伺いいたします。
開門調査の実現に向けた今後の取り組みについて、まずお尋ねをいたします。
開門調査について、開門の是非を争う複数の訴訟により事態は複雑になっており、また開門に反対されている長崎県側の状況は依然として強固であり、問題解決のための話し合いについても、その道筋がいまだ見えない状況にあります。
こうした中、開門調査の実現に向けて今後どのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。
次に、有明海の水産資源の回復についてお尋ねいたします。
開門調査の先行きが不透明な中で、漁業者が安定した暮らしを送れるよう、水産資源の回復のための取り組みを積極的に実施することが必要と考えますが、知事の所見を伺います。
四点目は、今後のエネルギー政策についてであります。
まず、原子力発電の必要性について伺います。
エネルギーは、人間のあらゆる活動を支える基盤であり、安定的で社会の負担の少ないエネルギー供給体制の実現は、我が国がさらなる発展を遂げていくための前提条件であると考えます。
今、我が国の全原子力発電所が停止した結果、平成二十四年時点における我が国のエネルギー自給率は六%まで落ち込み、国際的に見ても自給率の非常に低い脆弱なエネルギー供給構造を抱える状況となっています。
この原子力を代替するために、石油や天然ガスの海外からの輸入が拡大することとなり、電源として化石燃料に依存する割合が東日本大震災前の六割から九割に急増しました。
日本の貿易収支は、化石燃料の輸入増加の影響等から、平成二十三年に三十一年ぶりに赤字に転落し、エネルギー分野にとどまらず、マクロ経済上の問題となっています。
また、化石燃料依存の増大により、温室効果ガスの排出量が発電部門を中心に増加に転じており、地球温暖化問題への対応についても困難をもたらしています。
さらに、電気料金も上昇することとなり、電力多消費型産業を中心に企業収益を圧迫し、雇用状況などにも悪影響が生じ始めています。
一方、夏季及び冬季には、電力供給不足による停電を避けるため、政府において電力供給対策が行われており、平成二十四年、平成二十五年に節電要請などの対策が講じられた結果、電力の需給バランスは維持されましたが、老朽火力発電所を含め、火力発電をフル稼働させることで何とか補っている状況にあり、発電施設の故障などにより電力供給不足に陥る懸念は依然として残っています。
こうした中、太陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギーは、地球温暖化対策やエネルギー自給率の向上、エネルギーの多様化などの観点から、今後さらに普及を図っていく必要があると考えます。
しかしながら、平成二十四年度における我が国の再生可能エネルギーの総発電電力量に占める割合はわずか一・六%にすぎず、現時点では再生可能エネルギーは十分な電力供給源とはいえない状況にあります。
こうした我が国のエネルギー事情を考慮すると、原子力発電の依存度については、省エネルギー、再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより可能な限り低減させる必要はあるにしても、現時点では安全性の確保を大前提とした上で、原子力発電を引き続き活用していくべきであると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
次に、新規制基準に対する適合性審査についてお伺いいたします。
原子力規制委員会では、玄海原子力発電所三号機、四号機を初め、これまでに事業者から新規制基準に対する適合性確認のための申請がなされたプラントについて、再稼働の前提となる審査が進められているところであります。
そのような中、同委員会では先般、新規制基準に対する適合性審査の結果を取りまとめるに当たっては、科学的、技術的意見を広く聞くとともに、地元で公聴会を実施することもあるといったことも言われているようであります。
このことについて、今後、県としてはどのように対応していくのかお伺いをいたします。
五点目は、農業行政についてであります。
農業は、食料の安定的な供給という役割はもとより、地域経済社会を支える重要な産業であります。
しかしながら、最近の農業を取り巻く情勢を見ると、農産物価格の低迷が続く一方で、重油や配合飼料などの生産資材価格の高騰が続いており、農家の経営環境は厳しさを増しています。
また、国内市場が縮小傾向にある一方で、アジアを中心とする新興国では、経済発展に伴い、市場規模が質、量ともに拡大し続けているなど、大きく変化をしています。
こうした中、国では、昨年十二月、「農林水産業・地域の活力創造プラン」を取りまとめ、農林水産業の産業としての競争力を強化するために、米の生産調整の見直しを初めとしたさまざまな改革を打ち出されたところであります。
このように農業が大きな転換期を迎えている中で、本県農業が持続的に発展していくためには、今後ともその振興にしっかり取り組み、農家の方々が将来に希望を持って経営に取り組めるようにしていかなければならないと考えています。
そこで、次の点についてお伺いいたします。
まずは、米の生産調整対策見直しへの対応についてであります。
国は五年後をめどに、行政による生産数量目標の配分に頼らずとも、生産者や関係団体が中心となって、円滑に需要に応じた生産が行える状況になるように進めるという方向へ大きくかじを切りました。
しかしながら生産現場からは、「本当に米の需給バランスを保つことができるのか」、「米価が下がり、農家の所得が確保できなくなるのではないか」といった不安の声も聞くところであります。
県では、これまで「さがびより」や、大豆や麦の作付を進めてこられたところであり、最近ではおいしい日本酒への関心が高まる中、酒造好適米の生産拡大を求める動きも見られるところであります。
このような中、米の生産調整の見直しについて、県はどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
次に、畜産の振興について伺います。
本県の畜産については、肉用牛、酪農、養豚、養鶏など多様な経営が県内各地で展開されており、本県農業算出額の約四分の一の三百億円を占める重要な部門となっています。
特に、肉用牛の中でも「佐賀牛」については、本県を代表する高級ブランドとしてその銘柄が確立され、今や国内はもとより、海外でも高い評価を受けています。
こうした中、本県のすぐれた畜産物の生産拡大を図っていくためには、国内での販売促進はもとより、海外をターゲットに「佐賀牛」等の輸出をさらに伸ばしていくことが重要であると考えます。
そうした中、多久市にある県内唯一の食肉処理施設である佐賀県食肉センターについては、設置から三十年以上が経過して老朽化が進み、より高度な衛生管理ができないことや、改修したとしても輸出対応の施設認定が困難であると聞いております。
今後の本県畜産の振興に当たっては、より厳格な衛生基準や「佐賀牛」等の輸出拡大にも対応できるような施設整備の検討段階だと聞いておりますが、県はこのような施設整備について、どのように考えているのかお伺いをいたします。
次に、六次産業化について伺います。
国では、農林水産業の競争力の強化を図るための施策の一つとして六次産業化の推進を掲げ、その市場規模を現在の一兆円から、二〇二〇年までに十兆円にふやすといった大きな目標を設定し、六次産業化への取り組みを強化することとされています。
県内でも、生産者の方々が加工品づくりや消費者への直接販売などに取り組まれていますが、魅力ある商品づくりや販路確保の面で大変苦労されているとの声も聞くところであります。
この六次産業化については、例えば、県内にある地場企業や誘致した食品関連の企業と、地域の農林漁業者や団体とが連携し、事業化を行うようなものももっと進めていく必要があるのではないかと考えています。
県では今後、どのような六次産業化を目指していこうとしているのかお伺いをいたします。
最後に、県産農産物のブランド力の強化について伺います。
県産農産物の有利販売を行っていくためには、国内では消費者に選ばれる高品質な農産物づくりはもとより、イメージアップや認知度向上などの取り組みはこれまで以上に強化し、消費地における県産農産物のブランド力を一層向上させ、他県より際立たせていくことが重要だと考えます。
また、海外では「佐賀牛」やイチゴ、ミカン、「佐賀海苔有明海一番」、佐賀酒など、本県が有する世界に誇れる農産物や加工食品について、ブランドとしての認知度を高め、経済成長が著しい国などへの販路を拡大していくことが必要と考えます。
政府においても、和食ブームや円安が追い風となって農林水産物の輸出が過去最高となったことから、輸出を拡大させ、現在の輸出高が四千五百億円から一兆円へ倍増を目指すということが示されました。
県では、こうした県産農産物のブランド力の強化へ向け、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
六点目は、森林の整備と林業の振興についてであります。
我が国の国土の約七割を占める森林は、木材の供給のみならず、国土の保全や水源の涵養、地球温暖化の防止など多面的機能を通じて、私たちの日常生活に欠くことのできないさまざまな恩恵をもたらしています。
しかしながら、長引く木材価格の低迷により林業生産活動は停滞し、間伐などの手入れがなされず荒廃した森林が増加し、森林の有する多面的機能の低下が懸念されています。
このような中、国においては、森林・林業基本計画に基づき、森林の有する多面的機能の発揮と林業の持続的かつ健全な発展に向けて総合的な施策が講じられています。
特に地球温暖化の防止については、森林吸収源対策として、毎年五十二万ヘクタールの間伐などの森林整備等を進めていくこととされています。
県においては、平成二十年度に「佐賀県森林環境税」を導入し、県民協働による荒廃森林の再生に取り組まれ、一定の成果があったものと考えています。
県内にはまだ多くの荒廃した森林が存在していることなどから、引き続き計画的な森林の整備を進められることを期待しているところであります。
一方、戦後を中心に造成された全国約一千万ヘクタールの人工林を活用して、林業を産業として再生することが重要な課題となっています。
国では、木を使うことにより森を育てるということを目的に、公共建築物木材利用促進法を制定し、公共施設等での木材利用に努めるとともに、国産材の加工技術の向上にも官民挙げて取り組まれ、これまで以上に幅広い分野での木材需要の拡大が進んでいると聞いています。
このような取り組みの結果、我が国の木材自給率は着実に上昇しており、最近では木材価格も上昇傾向にあるなど、明るい兆しも少し見えてきました。
また、本県においては、佐賀平野における間伐材などを利用したクリーク防災事業が本格化するなど、県産木材の利用は広がりを見せており、大いに期待しているところであります。
林業は、これまでの育てることに重点を置いた時代を脱して、木材を生産し、そこから利益を得る新しい時代に入ってきているのではないでしょうか。
そこで、次の点についてお伺いいたします。
森林の整備について、まずお尋ねいたします。
県においては、いまだ多くの荒廃した森林が存在し、森林の有する多面的機能の低下が懸念される中、今後の森林整備についてはどのように進めていくおつもりなのかお伺いをいたします。
次に、林業の振興についてお伺いいたします。
林業を取り巻く環境が大きく変化する中、今後、林業の振興にどのように取り組んでいくおつもりなのかお伺いをいたします。
七項目めは、佐賀県の成長戦略についてであります。
国において、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略という三本の矢から成るアベノミクスを打ち出し、失われた二十年からの脱却を目指し、我が国の経済再生に向けて取り組んでいます。
三本目の矢である国の成長戦略、日本再興戦略は、昨年六月に決定され、その実行を加速し、強化するため、昨年十月には成長戦略の当面の実行方針がまとめられるとともに、産業競争力強化法や国家戦略特区法など、成長戦略の推進に関連する法律が臨時国会で可決、成立いたしました。
先月には産業競争力強化法に基づき、成長戦略関連の重点施策の実行を加速化、深化させる「産業競争力の強化に関する実行計画」が決定されるなど、成長戦略の迅速かつ着実な実施に向けて作業が進められています。
こういった中、一月の月例経済報告では、景気の基調判断について、昨年十二月までの「緩やかに回復しつつある。
」から「緩やかに回復している。
」とし、四カ月ぶりに上方修正されるとともに、今国会の施政方針演説において、安倍首相は景気回復の実感を全国津々浦々にまで届けようではないかと述べられており、経済再生の取り組みが、本県を含む地方、そして中小企業に及び、県民が景気回復を十分に感じられるようになることを大いに期待しているところであります。
本県においても、企業誘致、中小企業への支援、観光振興などさまざまな産業振興施策に取り組まれていますが、県におかれては、日本再興戦略など国の動きも踏まえるとともに、本県の将来をしっかりと見据えながら施策の推進に努めていただきたいと考えています。
そこでまず、認知度向上の取り組みについてお尋ねをいたします。
県内産業をより一層成長させるためには、何よりも佐賀県の認知度向上が必要であり、そのためには情報発信の取り組みが欠かせないと考えています。
県では、今年度から東京エリアにおいて、新しい情報発信の取り組みとして、企業やブランド等とコラボレーションしていく情報発信プロジェクト「FACTORY SAGA(ファクトリー サガ)」に取り組まれています。
今年度は、若い女性に人気の出版社、宝島社とのコラボレーションやシリアルの一種、グラノーラ専門店「GANORI」とのコラボレーションを展開されていますが、認知度向上のために今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
続いて、雇用の場の確保という点から質問をいたします。
去る一月三十一日に佐賀労働局が発表した県内の十二月の有効求人倍率は〇・八三倍と、四カ月連続して増加し、過去二十年で最も高い数値となっています。
また、今春卒業予定で就職を希望する県立高校生の就職内定率も、昨年十二月末現在で九三・六%と過去十年間で最も高くなっており、国内の経済対策により、ようやく県内においても景気回復の動きが見られるようになってきたのではないかと思っています。
一方、新規高卒者の県内就職率を見ると、その割合は毎年度六割程度にとどまっています。
今後も佐賀県が発展していくためには、多くの若者に佐賀県に住んでいただくことが不可欠であり、その環境づくりのためにも、しっかりと雇用の場の確保に努めていただきたいと考えています。
そこで、県においては、今日の経済情勢を踏まえ、今後、企業誘致にどのように取り組んでいくのか。
また、雇用の場の確保のためには、企業誘致とともに地場企業を発展させていくことが大切ですが、県は地場企業の支援のため、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
次に、国際戦略と観光振興についてお尋ねいたします。
県では、これまで以上の国際戦略の推進と世界を意識した観光施策の推進に取り組んでいくため、関連性が深い国際部門と観光部門で構成する国際・観光部を来年度新たに設置することとされており、私も今回の組織改正には大いに期待するところであります。
現在、世界ではあらゆる分野でグローバル化が進展していますが、国内においては人口減少や少子・高齢化に伴い市場の縮小が避けられない状況にあり、今後、佐賀県が持続的に発展していくためには、とりわけ国際戦略と観光施策の推進に力を入れていく必要があると考えています。
そこでまず、国際戦略についてお尋ねをいたします。
県議会の国際交流推進議員連盟において、昨年一月、ミャンマーへ、そして、ことし一月には発展著しいベトナムへと視察に行かせていただきました。
ミャンマーは最後のフロンティアと呼ばれ、日本経済界も注目するところであり、電力や上下水道の整備はこれからですが、これが整えば魅力はさらに増すと思います。
ベトナムにおいても、進出してもらうための優遇措置などがすごく手厚いものがあり、日本企業を渇望している様子がうかがえました。
古川知事も一度ベトナムへ足を運んでいただき、我々がお会いしたハナム省の知事さんにもお会いいただければ、その実態がよくおわかりいただけると思います。
ぜひ御検討いただければと思います。
県では、瀋陽、香港、上海の海外拠点を設置し、県産品の販路拡大や県内企業の海外展開、学校間交流の促進など、国際戦略に基づくさまざまな取り組みが進められています。
私は、これからの国際戦略に関しては、開設から二年半となる海外拠点の検証を行うとともに、今後は東南アジアを初め、全世界に視野を広げることも必要であると考えています。
さらに、海外の活力を県内に取り込み、佐賀県を持続的に発展させていくためには、外国人と共生する地域づくりにも力を入れるべきであると考えます。
県は、今後の国際戦略の方向性についてどのように考えているのかお伺いをいたします。
次に、観光振興についてお尋ねいたします。
私は、観光の振興に当たっては、本県の認知度向上のための情報発信はもとより、観光客を直接呼び込むための交通手段の整備、新たな観光資源の誘致や既存の観光資源の磨き上げなどさまざまな施策を行っていくことが必要であると考えています。
外国人観光客を直接呼び込むための交通手段としては、現在、有明佐賀空港に上海便とソウル便がおのおの週三往復で運航していますが、昨年十二月にオープンした国際線専用施設の有効活用の観点からも、上海便やソウル便に次ぐ新たな国際線の誘致が有効であると考えます。
また、近年「ななつ星」や「海幸山幸」、「いさぶろう・しんぺい」、「はやとの風」、「A列車で行こう」など全国的に脚光を浴びている観光列車、JR九州さんではこれをD&S列車と言うそうであります。
ちなみに、D&Sとはデザイン・アンド・ストーリー、沿線地域の文化や歴史など御当地のストーリーに基づいてデザインされた列車であるということであります。
このD&S列車も、本県で実現すれば鉄道そのものが観光目的になりますし、また、観光客を呼び込む有効な手段となり得るのではないかと考えています。
さらに、カジノ施設の立地が可能となる「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」が昨年十二月の臨時国会へ上程され、ことしの通常国会で審議される予定となっています。
この法案が成立し、現実のものとなれば、観光客、特に海外からの観光客誘致、ひいては地域の活性化の起爆剤となり得るものであり、本県でも前向きに対応するべきだと考えます。
加えて、本県に実際に来ていただいた観光客に各地域で満足していただくことが本県の観光地としての評判の向上には不可欠であり、リピーターの確保にもつながるものと考えられることから、各地域における受け入れ環境の整備など、おもてなしを向上させることも必要です。
県では、交通手段の整備を初め、D&S列車の誘致やカジノ施設の立地が可能となる特定複合観光施設区域の認定、受け入れ環境の整備などの施策にどのように取り組むのかお伺いをいたします。
次に、国際リニアコライダーの誘致についてお尋ねをいたします。
国際リニアコライダーについては、脊振山地が大規模な素粒子物理学の国際研究所の立地候補として挙がっており、それが実現すれば佐賀県の成長の大きな起爆剤になるものと期待していたところであります。
しかしながら、昨年夏に研究者グループから「ILCの国内候補地として、北上サイトを最適と評価する。
」との評価結果が公表されました。
ただし、ILCに対する国の正式な取り組み方針は示されておらず、脊振地域が選ばれる可能性が全くなくなった状況ではありません。
そこにチャンスが少しでもある限りは、今後も引き続き福岡県と一緒になって脊振地域への誘致実現に取り組んでいくべきだと思いますが、このことに対するお考えをお伺いいたします。
八点目は、有田焼創業四百年事業についてであります。
本県の地場産業の有田焼は、二年後の二〇一六年に創業四百年を迎えますが、現状としては、長引く消費の低迷などもあり、売り上げはピーク時の五分の一以下に激減し、窯業界はかつてない厳しい状況にあります。
こうした中、県では、有田焼創業四百年を機に日本磁器発祥の地としての誇りと自信を取り戻し、低迷している産地を再生していくため、昨年九月に「有田焼創業四百年事業『佐賀県プラン』」を取りまとめられたところであります。
現在、このプランに沿って順次事業に着手されていますが、海外での市場開拓に向けては、知事も先頭に立ってオランダ王国大使館とのクリエイティブ産業の連携協定や、フランス・パリでのプロモーション活動などに積極的に取り組まれています。
聞くところによれば、プロモーションの反応もよかったと聞き及んでいます。
そのような中、今議会に提案されている平成二十六年度当初予算額での事業費は五億円を上回り、今年度予算額の四倍へと増額されており、海外展開を主体とした市場開拓を初め、産業基盤の整備、国内外への情報発信など、引き続き意欲的に事業を推進されようとしています。
ただ、その一方で、県内の状況を見ると、地元有田町ではいち早く実行委員会が設置され、既に取り組みは始まっているものの、ルーツを同じくする県内の他産地や県民の皆さんへの浸透度は、まだ決して高いとは言えない状況にあります。
有田焼は本県を代表する地場産業であり、また貴重な観光資源でもあります。
この有田焼が創業四百年という大きな節目を迎えようとしており、これからの取り組みに当たっては、事業計画にもある伝統的工芸品全国大会の開催による県内の伝統的地場産品のPRなどを通して県内での盛り上げを図りながら、その効果を全体的に波及させていくことも必要であります。
そこで、この有田焼創業四百年事業について、これまでの取り組みを振り返りどのように評価されているのか。
また、二年後に迫った二〇一六年に向け、今後どのように取り組まれていくのか知事の所見をお伺いいたします。
九問目は、TPP協定についてであります。
我が国は、昨年七月からTPP交渉会合に参加し、これまでマレーシア、ブルネイ、インドネシア、シンガポールなどでの交渉会合に挑み、参加国との交渉を行ってきました。
昨年十二月にシンガポールで開催された閣僚会合では、目標とされていた平成二十五年末までの交渉妥結に向けた調整が行われましたが、関税撤廃を議論する物品市場アクセスの分野を初め、国有企業の取り扱い、知的財産の保護などの分野で交渉が難航したとされ、妥結には至らなかったところであります。
我が国は、これまで物品市場アクセスの分野では、農産物の重要五項目を守るという姿勢で交渉を続けてきましたが、二十二日から開催される閣僚会合を前に、甘利TPP担当大臣から重要五項目について、「一つ残らず微動だにしないということでは交渉にならない」という発言があったほか、政府が牛肉、豚肉の関税を引き下げるなどの譲歩案を検討しているとの報道もあり、TPP交渉の行方に懸念が広がっています。
現在、シンガポールにおいて、あすまでの日程で閣僚会合が開催されていますが、仮に重要五項目の関税が撤廃される方向になれば、安い農産物が大量に輸入されることになり、本県を初め地域の農業が大きな打撃をこうむることは明らかであります。
TPP交渉については、今後とも国益をかけた極めて厳しい交渉が続くと予想されますが、衆参両院の決議を守るということが政府の交渉方針となっていますので、政府はいかなる状況においても国会決議を守る姿勢を断固として貫き、しっかりと交渉を続けてほしいと考えています。
また、政府は今もなお、交渉内容について十分な情報を開示していません。
TPPは、食の安全、医療、保険、ISD条項など国民生活に直結する問題であり、国民に対する情報開示は不可欠であり、早急に十分な情報開示を行うべきだと考えています。
県議会も、これまでTPPについて反対の意見書を五回、全会一致で可決をしています。
知事と一緒に要請活動も行ってきました。
TPP交渉が大詰めを迎える中、県は国に対して改めて行動を起こすべきだと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
十問目は、医療行政についてであります。
昨年は、佐賀県医療センター好生館の移転新築や九州国際重粒子線がん治療センターの開設、さらに第六次佐賀県保健医療計画や第二次佐賀県がん対策推進計画がスタートするなど、県全体の医療行政において大きな節目の年であったと感じています。
県内各地に目を向けると、西部医療圏では平成二十四年三月から伊万里有田共立病院が新たな地で、地域のかなめの医療機関として診療を開始し、北部医療圏では地域の中核医療機関である唐津赤十字病院が、平成二十八年五月の移転改築を目指し、着々と準備を進められていると聞いています。
しかしその一方で、医療機関としてその機能を十分に発揮してもらい、県民誰もが安心して医療を受けられる環境を整えるためには、施設や設備面といったハードの充実だけではなく、そこで働く医師や看護師等の人材確保を初め、さまざまな課題があると考えます。
去る一月十七日、本県独自のドクターヘリの運航が開始されました。
県民の命を守るという重要な使命を携え、県民の大きな期待を背負い、真新しい機体が佐賀の空へ飛び立っていきました。
かつて佐賀は、全国に先駆けた種痘が実施されるなど医療の先進地として名をはせた地でありますが、この歴史と伝統を踏まえ、県の医療体制の充実に向けた新たなステップへの飛躍を強く願うところであります。
そこで、本県の医療体制の充実に向けて、次の点について伺います。
まず、医師、看護師の確保についてであります。
全国的な医師不足の状況の中、県内の公的病院などにおいても、産科や小児科など不足診療科の医師確保には大変苦労されていると伺っています。
県では、これまでも修学資金制度やさまざまな事業を活用しながら医師確保に取り組まれていますが、いまだ特定の診療科や地域による偏在が見られるなど、医師数が必ずしも十分とは言えません。
また、看護師は医師とともに医療提供体制を支える重要な人材であり、今後、患者にとって一番身近な存在である看護師の役割はますます大きくなっていくものと考えますが、需給見通しでは今後も不足が見込まれると聞いております。
県の医療体制を支える医師、看護師の確保について、県は県民の命を守るという重要な施策として、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
続いて、救急医療について伺います。
県では、県内の救急車にタブレット型端末iPadを配備し、救急隊員が現場で受け入れ可能な救急医療機関などを確認できるという先進的な救急医療情報システムを導入しました。
また、先月十七日には時速二百六十キロメートルで県内全域を短時間でカバーできる佐賀県独自のドクターヘリが運航されています。
先ほど申し上げました。
今後も県民の安全・安心のため、地域救急医療のさらなる充実を求めていきたいと考えていますが、県としては今後、救急医療の整備をどのようにしていくお考えなのかお伺いをいたします。
次に、がん対策についてお伺いいたします。
今議会に提案されている「佐賀県がんを生きる社会づくり条例(案)」には、働く世代のがん対策の充実も、がんの予防、早期発見、治療などとともにうたわれており、他県にはない特徴だと思っております。
働き盛りの方ががんにかかると、本人が不本意ながら仕事をやめざるを得ないという状況もたびたびあると耳にしており、職場の理解も含めて、仕事と治療が両立できる環境が重要であると考えます。
また、がん検診はがん死亡率の低下に即効性があると言われておりますが、県民のがん検診受診率は依然として低く、がん検診受診率をいかに高めていくかが課題となっています。
県としては、がん対策をどのように進めていくのか、知事の所見をお伺いいたします。
続いて、難病対策についてお伺いいたします。
県議会では、難病の患者さん及びその家族の方々を支援するため、佐賀県議会難病対策推進議員連盟を結成し、勉強会や先進事例調査を行い、難病対策について日々研さんに努め、知事への政策提案等を行っています。
難病患者の方は、病気の原因が不明で治療法も確立しておらず、慢性化していることから、療養上の悩みや不安を抱えて生活しておられ、家族の方も介護や精神的な負担が大きいのが実情であります。
佐賀県内にも特定疾患だけで六千人近くの患者さんがいますし、特定疾患以外の人数については把握すらされていないと聞いております。
また、小児の難病患者は八百人弱、しかし、二十の誕生日を過ぎると病気が治ることはないのに医療費の公費負担はなくなってしまいます。
そういう現実の中で、今国会に「難病の患者に対する医療等に関する法律案」が提案されています。
法案には、新たな医療費助成制度や難病の医療に関する調査及び研究の推進などがうたわれており、難病対策の一層の取り組みが期待されるところであります。
県としては難病対策をどのように進めていくのか、知事の所見をお伺いいたします。
最後に、国民健康保険の都道府県移管についてお伺いいたします。
国民健康保険は、制度発足から約半世紀にわたって国民皆保険の中核として国民の健康を支えてきました。
しかし、現在では増大する医療費に対して十分な保険料収入の確保が難しく、財政運営は非常に厳しい状況が続いています。
このような中、国民健康保険のあり方について社会保障制度改革国民会議で議論、検討が行われ、昨年十二月には「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」、通称社会保障制度改革プログラム法が制定され、その中に国民健康保険の運営について、財政運営を初めとして都道府県が担うことを基本とする旨明記されたところであります。
国民健康保険は医療を支える基盤的な制度であり、県民が安心して生活できるよう、将来にわたって安定した運営を行うことが求められていますが、国民健康保険の都道府県移管について、県としてどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
十一点目は、福祉行政についてであります。
古川知事は、ユニバーサルデザインを県政の基本に据えて、高齢者も障害者も誰もが安心して暮らせる社会を目指して、パーキングパーミットの推進を初め、地域共生ステーションへの支援、「バリアフリーさが映画祭」の開催など新たな視点からの取り組みを進められてきたと感じています。
このような古川知事の施策の取り組みについては私も評価をしていますし、ユニバーサルデザインを特別な配慮としてではなく、これからの社会の前提としていく必要があるとの考えには全く同感であります。
しかしながら、まさにこれからしっかりと取り組んでいくべき施策や解決すべき課題も残されているように感じているところであります。
そこで、次の点についてお伺いいたします。
まずは、聴覚障害者への支援についてであります。
ことしは聴覚障害者サポートセンターのオープンを控えており、聴覚障害者への支援がこの機会に充実されるものと期待していますが、サポートセンターではどのような取り組みを予定しているのかお伺いをいたします。
また、その後の聴覚障害者支援の取り組みについてどのような展開を考えているのか。
例えば、手話が言語であるとの認識に基づき、手話の普及を進める手話言語条例の制定などは考えられないのかお伺いをいたします。
次に、虐待防止についてお伺いをいたします。
県では、これまで課題となっていた児童や高齢者、障害者など、いわゆる社会的弱者に対する虐待について、その防止に向けた普及啓発や相談体制の強化などさまざまな対策を講じてこられました。
児童の虐待防止については、平成十二年十一月にいわゆる児童虐待防止法が施行され、これまで児童相談所や市町の相談体制の強化や、虐待防止に係る普及啓発を行い、虐待が起きたと思われる場合には通告を受け、速やかな対応を行っていると聞いております。
高齢者の虐待防止については、平成十八年四月にいわゆる高齢者虐待防止法が施行され、これまで「佐賀県高齢者虐待対応マニュアル」に基づく市町への助言や研修会の開催、介護施設等への指導監督時における虐待防止に係る指導を行ってこられたと伺っています。
中でも認知症高齢者が虐待を受ける割合が高いことから、各種広報媒体を活用した県民への広報、認知症サポーターの養成などに取り組むとともに、認知症の早期発見、早期治療のための認知症疾患医療センターの指定、認知症に係る相談に応じる認知症コールセンターが開設され、家族などの相談に対応されています。
障害者の虐待防止については、平成二十四年十月にいわゆる障害者虐待防止法が施行され、約一年半が経過したところであります。
同法に基づき、県には障害者権利擁護センターが、市町には障害者虐待防止センターが設置され、虐待防止に係る普及啓発や虐待が起きた場合の通報、届け出を受理し、速やかな対応を行っていると聞いています。
このようなさまざまな取り組みにもかかわらず、全国的に見ると、新聞などの報道ではいまだに痛ましい事件が後を絶たず、さらには児童や高齢者、障害者に対する虐待件数が年々増加しているという印象さえ受けているところであり、これらの虐待を防止するためには、県としてこれまで以上に取り組みを強化する必要があると考えています。
県では、児童、高齢者、障害者それぞれに対する虐待の状況をどう認識し、虐待の防止に向け今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
十二問目は、人口減少社会についてであります。
我が国は、少子・高齢化が進み、人口減少局面に入っています。
総人口は長期にわたって減少が続き、平成二十二年の一億二千八百六万人から、二十年後の平成四十二年に一億一千六百六十二万人となり、平成六十年には一億人を割ると推計されています。
また、総人口の減少に伴い、生産年齢人口も平成七年を頂点に減少に転じています。
佐賀県においても、平成二十二年の八十五万人が三十年後の平成五十二年には六十八万人となり、約二割、十七万人の人口が減少すると見込まれており、生産年齢人口は五十二万人から三十六万人へと十六万人弱減少すると予想されています。
先進国で例を見ないスピードでの少子・高齢化、人口減少の進行は、経済社会全体に大きな影響を及ぼすものであります。
我が国がいかにして社会経済の活力を維持し、豊かな国民生活を維持していくかが問われることとなります。
このことについては、まず国において、日本の置かれた状況を虚心坦懐に直視した上で、諸問題の解決に取り組む必要がありますが、佐賀県においても長期的な視野に立った取り組みが求められていると考えています。
現在、企業誘致や外国人観光客の受け入れなどの産業施策や、「418(しあわせいっぱい)プロジェクト」などの少子化対策の施策も取り組まれており、一定の評価はしていますが、二十年後、三十年後、さらにその先の佐賀県の将来を見据え、県としてもしっかりと取り組みを進めてもらいたいと考えています。
そうした視点から、次の点についてお伺いいたします。
まず、人口減少社会への対応についてであります。
日本において、人口減少社会は避けて通れない問題であり、経済を初め地域のあり方など、さまざまな分野に及ぶ課題であります。
県としても極めて深刻な課題として危機意識を持ち、この問題にしっかりと向き合い、取り組みを行う必要があると考えています。
今後の人口減少社会への対応について、知事はどのように考えているのかお伺いをいたします。
次に、女性が活躍できる社会づくりについてお伺いをいたします。
生産年齢人口の減少が大きな課題となる中で、地域経済の活性化を図るためには人材力をより高める必要があり、その柱の一つとして女性人材の活用が挙げられます。
この女性人材の活用促進は、安倍内閣の成長戦略の中核に位置づけられているものでありますが、県としてどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
続いて、少子化対策の重要性についてお伺いいたします。
まず、少子化対策についてであります。
県は、これまで少子化対策として、保育所の拡充や育児休業の取得促進等に取り組まれてきましたが、依然として少子化に歯どめがかかっていない状況であります。
先日、県内の婚活イベントを見学してまいりました。
二十から四十七歳の男女約三十名近くが参加されており、皆さん楽しそうにイベントに参加されておりました。
前に婚活イベントに参加をして結婚までたどり着いた方に話を聞きました。
「出会ったときどんな感じでしたか」と聞きましたら、やはり「ビビビときた」というふうにおっしゃっておられました。
その方いわく、「たくさんの出会いの場があると、たくさんのチャンスが生まれる。
だから、たくさんのチャンスの場を独身の方々につくってあげてほしい」、そのように言っておられました。
婚活イベントがいつもどこかで開催されている、そのような状況をつくり出すことが重要だと思っています。
そのため県では、少子化対策の取り組みとして「418(しあわせいっぱい)プロジェクト」を展開しておられますが、現時点での取り組みをどう評価しているのか。
また、今後どのように施策を推進していくのかお伺いをいたします。
続いて、幼児教育の重要性についてお伺いをいたします。
少子化対策の取り組みが進み、子供の数が増加することは非常にすばらしいことでありますが、佐賀県の活力を維持向上させるためには、一方で子供たちの教育をしっかりと行うことも大切であると考えています。
特に、学校教育の出発点である幼児期の教育は、「三つ子の魂百まで」、あるいは「人生において必要な知恵は全て幼稚園の砂場で学んだ」というような言葉にあらわされるように極めて重要だと考えています。
知事は、幼児教育についてどのように考えているのかお伺いをいたします。
続いて、子ども・子育て支援新制度の周知についてお伺いをいたします。
幼児教育や保育の質と量の確保を図るため、平成二十七年度から子ども・子育て支援新制度の実施が予定されており、現在、国に設置された子ども・子育て会議において、制度についての検討が行われていると聞いておりますが、実際にサービスを受ける保護者からは、制度の内容について十分に情報が行き届いておらず、どう判断していいのか迷うというような声も聞いております。
子ども・子育て支援新制度の内容については、保護者に対してしっかりと情報提供を行っていくべきだと考えますが、県としてどのように取り組むのかお伺いをいたします。
十三点目は、九州新幹線についてであります。
本年三月十五日のダイヤ改正により、九州新幹線新鳥栖駅に山陽新幹線との直通「さくら」が全て停車することとなり、停車本数は現在の十六本から三十六本と二倍以上にふえることになります。
これにより、新鳥栖駅の利便性が大きく向上し、特に観光面で関西・中国方面を初めとする広い範囲で人の交流がさらに盛んとなり、地域振興につながることが期待されているところであります。
また、新鳥栖駅が停車駅の一つとなる西九州ルートは、おおむね八年後の開業に向けて整備が進められているところであります。
西九州ルートは、在来線走行区間の安全面に配慮しながら整備を進めていくことは必要でありますが、新幹線効果を最大限に発揮させるためには、西九州ルートの開業時に、関西・中国方面を中心にいかに多くの観光客を呼び込んでいくかが重要だと考えています。
そこで、次の点について伺います。
まず、新鳥栖駅を生かした誘客促進についてであります。
佐賀県の新たな玄関口である新鳥栖駅から多くの観光客を呼び込むことは、観光を初めとする地域の振興を図っていく上で重要なことだと考えています。
JR九州さんにおいても、新幹線からの二次交通アクセスを充実させて、沿線だけでなく九州全域ににぎわいと元気を拡大していくということを示されております。
今回のダイヤ改正は大きなチャンスでありますが、県は今後、関西・中国方面などからの誘客にどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
続いて、在来線走行区間の安全対策についてお尋ねをいたします。
西九州ルートは、新鳥栖駅─武雄温泉間が在来線走行区間となっており、在来線の沿線住民は、開業後の運行本数の増加に伴い、踏切部での渋滞等が増すのではないかと懸念を抱いています。
このような沿線住民の不安を解消するため、在来線走行区間の安全対策について、県は今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
次に、西九州ルートの情報発信についてお伺いいたします。
西九州ルートの開業効果を県内に広く波及させるためには、開業時に多くの観光客に本県を訪れていただくことが何よりも大切だと感じています。
西九州ルートや佐賀県の認知度を高めていくため、今の段階から積極的に情報発信していく必要があると考えますが、どのように考えられているのかお伺いをいたします。
十四点目は、社会資本の整備についてであります。
国の平成二十六年度予算において、国民の安全・安心の確保や地域経済の活性化などの分野を重点化し、社会資本の防災・減災や老朽化対策を進めるほか、基幹的交通インフラ整備による国際競争力の強化や、通学路対策などによる安全な暮らしの実現を図ることとされています。
このような中、本県でもこれまで以上に安全・安心な暮らしを望む声が高まっており、また、経済成長を実現させるための物流や交流の活性化の取り組みも求められていると感じています。
しかしながら、本県の道路を初めとする社会資本の整備水準は全国に比べてまだまだ低い水準にあり、県民ニーズを踏まえながら、県民が安全・安心で快適に暮らせる地域づくり、そして、産業や観光の振興など地域活性化に寄与する社会資本の整備を着実に進めることが必要だと考えています。
そこで、次の点について伺います。
まず、暮らしに身近な道路の整備についてであります。
県では、広域幹線道路ネットワークとして西九州自動車道、有明海沿岸道路、佐賀唐津道路、国道四百九十八号の整備が最優先に進められており、これら広域幹線道路については将来の本県の発展に寄与するとともに、災害時には防災機能を発揮するものとして期待しているところであります。
そうした中、昨年夏、私たち自民党佐賀県連は、県内全ての市と町を回って関係者と懇談会を開催したところ、日常の暮らしに密着した生活道路について、延べ六十路線以上に上る整備要望が出され、これら整備に対する県民ニーズの高さを痛感したところであります。
具体的には、地域や集落を結ぶ道路の拡幅や見直しの改善、歩行者の安全確保のための歩道設置、渋滞緩和のための交差点改良のほか、豪雨などによる災害時の対策などさまざまであり、昨年十月、自民党佐賀県連として知事へこれら要望を提出し、可能な限り一つでも多く対処してほしいと対応を要請しましたが、古川知事には少しでも多く実現できるようにしたいと応じていただきました。
県では、予算上の制約があることは認識していますが、多くの県民から寄せられたこれら暮らしに身近な道路の整備に関する要望に一つでも多く対応してほしいと考えており、今後どのように整備を進めていくのか、知事の所見を伺います。
続いて、道路の老朽化対策について伺います。
道路は広域的な交流、物流を促進し、企業誘致や観光振興といった産業面のみならず、通勤通学や救急医療といった県民の日々の暮らしを支える最も基礎的な社会資本ですが、橋梁やトンネルを初めとする道路施設は建設から相当の年数が経過し、老朽化が進行している状況にあります。
例えば、佐賀県が管理する道路橋約二千四百橋において、建設後五十年以上が経過した道路橋の割合は、平成二十五年四月時点で約一五%となっており、これが十年後には約三七%、二十年後には約五六%と加速度的に増加していく傾向にあると聞いています。
老朽化した施設を放置すれば、落橋や崩壊等による道路の通行どめや第三者への被害が発生するなど、県民の安全・安心を脅かすばかりでなく、施設の更新に係る経費も膨大となることから、本県においても事前防災の考え方による国土強靱化を推進し、必要な命を守り抜く防災対策を着実に進めていくべきだと考えています。
今後、加速度的に老朽化していく道路施設の中でも、特に重要な構造物である橋梁やトンネルについて、早急な老朽化対策が必要だと考えていますが、今後どのように進めていくのかお伺いをいたします。
三点目は、港湾の整備と利活用についてであります。
港湾は、国内の輸出入貨物量の九九・七%を取り扱っており、国民生活と産業活動を支える重要な物流基盤です。
エネルギーの九割以上及び食料の六割を海外に依存する資源少国である我が国においては、製造品の輸出や、食料、資源の輸入などの貿易が、経済活動と国民生活を支えている重要な社会資本となっています。
県内には伊万里港と唐津港という二つの重要港湾があり、伊万里港においては七ツ島地区において水深十三メートル岸壁とガントリークレーンが昨年四月二十日から供用を開始するなど、国際コンテナ貨物を取り扱う国際貿易港として着実な歩みを続けており、今後ともさらに利活用の促進が図られ、地域の経済発展に貢献することが期待されています。
一方、唐津港は古くから大陸との交易の要衝として栄え、唐津城や虹の松原など歴史や自然の観光資源に恵まれた港であり、東アジアに向けた観光港としても大きなポテンシャルを持つものの、十分に生かし切れていないと考えています。
このため、唐津港の早期整備と利活用促進を図っていくことが必要と考えますが、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
また、唐津港佐志浜地区の埋立地のうち、当初、住宅関連用地として計画されていた約八ヘクタールについては、社会経済情勢の変化もあり、土地利用が進んでいないと聞いております。
佐志浜埋立地は、唐津港の航路、泊地のしゅんせつ土受け入れのため、地元の貴重な財産であった砂浜、海を埋め立ててできた土地です。
地元の活性化につながる土地利用を早く実現するべきであり、現在の社会経済情勢のニーズに合わせて有効利用を図るべきと考えますが、知事の所見を伺います。
十五点目は、スポーツの推進についてであります。
平成二十三年八月に施行されたスポーツ基本法に、スポーツは「国民が生涯にわたり心身ともに健康で文化的な生活を営む上で不可欠のもの」とあるように、県民の心身の健康の保持増進、次世代を担う青少年の心身の健全な発達や人格の形成、人と人、地域と地域の交流の促進による地域の一体感や活力の醸成、地域の活性化などに寄与するものであります。
また、佐賀県ゆかりの選手、チームが、世界や国内トップレベルの舞台で活躍することは、県民に夢と感動、活力を与えてくれます。
昨年九月、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックが開催されることが決定しました。
我が国でのオリンピック・パラリンピック大会の開催は、国民、県民のスポーツへの関心を高めるとともに、さまざまなアスリート、スタッフ、観光客が我が国を訪れることで、国際親善や我が国経済の活性化などにもつながるものだと考えます。
また、昨年の十一月議会で、知事が平成三十五年の国民体育大会・全国障害者スポーツ大会の佐賀県への招致を表明されましたが、県議会においても両大会の開催が障害のあるなしに関係なく、多くの県民がスポーツに親しむとともに、スポーツの持つ力で地域の活性化を図る一つの契機となるとして、佐賀県への招致を決議したところであります。
このような中で、佐賀県としてスポーツの一層の推進を図り、スポーツの持つさまざまな「ちから」を活用して、佐賀県をさらに住みやすい、元気な地域にしていくことが必要と考えます。
そこで、次の点について伺います。
まず、これからのスポーツ推進の取り組みについてであります。
二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開催、それに続く平成三十五年の国民体育大会及び全国障害者スポーツ大会の佐賀県への招致は、本県のスポーツ推進の大きな契機となるものと考えます。
また、ユニバーサルデザインによる社会づくりの実現を目指すためには、国民体育大会と全国障害者スポーツ大会の融合化を進めていくべきだと考えます。
このようなことから、この二つの大会を一つの目標として、佐賀県の一層のスポーツ推進を図っていく必要があると考えますが、今後、本県のスポーツ推進にどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
次に、本県スポーツの競技水準の向上についてお伺いいたします。
佐賀県ゆかりの選手やチームが、世界や国内トップレベルの舞台で活躍するためには、佐賀県の競技水準の一層の向上を図っていく必要があります。
お隣福岡県では、運動能力にすぐれた小中学生を選抜して育成し、適性競技を見きわめて国際舞台へ送り出すタレント発掘事業を二〇〇四年からスタートさせ、フェンシングや競泳、アーチェリーなどジュニア大会で二十六人の日本一を誕生させて、現在も世界の頂点を目指して努力していると聞いております。
競技水準の向上は一朝一夕にできるものではないことから、福岡県のように計画的に取り組んでいく必要がありますが、このことについてどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
三点目に、スポーツによる地域の活性化についてお伺いをいたします。
県内にはサガン鳥栖を初め、バレーボールやハンドボールなど有力なチームがあり、全国の舞台での活躍などが地域に誇りや元気を与えています。
また、昨年四月に開催されたフルマラソン化された「さが桜マラソン」には、全国から一万人のランナーが集まり、約六万人の観衆でにぎわっていました。
また、J1サガン鳥栖のホームゲームには十万人を超えるサポーターがスタジアムに足を運ぶなど、盛り上がりを見せています。
地域の活性化、佐賀県のイメージアップ、情報発信に大いに寄与していると考えています。
これからはこのようなスポーツによる地域の活性化にしっかりと取り組む必要があると考えますが、地域の活性化にどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
特に、サガン鳥栖については、県内唯一のプロサッカーチームであり、Jリーグの理念の実現として、地域貢献の活動を積極的に展開されており、J1での活躍が地域の活力や全国への情報発信にもつながるなど、地域活性化の観点から大きな財産となっています。
このため、これからもJ1に定着して活躍してもらうことが必要であると考えますが、どのように支援していかれるのかお伺いをいたします。
十六点目は、教育行政についてであります。
近年世界では、ICTの進歩や交通網の発展などにより、人、物、金が国境を越えて移動するグローバル化が急速に進展しており、経済を初め、さまざまな分野で国際社会との相互連携、相互依存の関係はますます深まり、競争も一層激しさを増しています。
また、二十一世紀は新しい知識、情報、技術が、政治、経済、文化を初め、社会のあらゆる領域における活動の基盤として飛躍的に重要性を増す社会、いわゆる知識基盤社会であると言われています。
社会の変化のスピードも一昔前とは比べ物にならず、こうした中で次世代を担う子供たちに社会の大きな変化にも柔軟に対応し、生き抜くことができる力を身につけさせるためには、国際的視野やコミュニケーション能力、情報活用能力を育み、また基礎的、基本的な知識や技能はもとより、思考力、判断力、表現力や学ぶ意欲などを含めた確かな学力の定着を図ることが一層の急務となっています。
県教育委員会では、これまで学力向上やICTを利活用した教育の推進、グローバル人材の育成などの諸課題に取り組んできたところですが、来年度は総合計画二〇一一の最終年度であり、佐賀県教育としての一つの区切りを迎えることから、改めてこうした社会情勢を踏まえながら、いわば仕上げの年としてしっかりと取り組んでもらいたいと考えています。
まず、児童生徒の学力向上については、全国学力・学習状況調査の「全区分で全国平均以上」という目標を目指す中、県教育委員会では本年度、全国調査で常に上位にある秋田県と福井県に教員を派遣しており、来年度はその成果を踏まえた実効性のある施策が求められるところであります。
例えば秋田県では、全県的なテストを活用した学力向上のPDCAサイクルを確立しており、また一方で、児童生徒には自学ノートによる自宅での勉強や早寝早起きなどの生活習慣が定着していると聞いています。
佐賀県でもこうした事例を参考に、学校での指導法の改善に加え、学校と家庭、地域が連携して子供たちの学力向上に取り組むことが必要ではないかと考えています。
次に、先進的ICT利活用教育については、いよいよことし四月からは県立高校でも電子黒板に加えて学習用パソコンが導入され、本格的にICT利活用教育が実施されることとなっています。
しかしながら、このICT利活用教育は新たな教育手法であり、全国的に見ても先駆的な取り組みであります。
対象となる児童生徒や保護者が不安に感じることがないよう、特に高校受験を間近に控えた中学三年生やその保護者に対して、ICT利活用教育に取り組む目的等について丁寧に説明するとともに、指導に当たる教員の能力の向上を含め、学校側の受け入れ体制を十分に整え、滞りなく四月を迎えてもらいたいと考えています。
また、県内の中学校卒業者数の減少が続く中、今後さらに生徒が急激に減少することが見込まれており、今後の新たな生徒減少期にあっても県立高校の質的充実を図っていくため、昨年十一月十四日に「新たな生徒減少期に対応した佐賀県立高等学校再編整備実施計画」が、たたき台でありますが策定され、公表されました。
再編計画策定の予定は、本年十月ごろをめどとされています。
県立高校はそれぞれの地域において、まちづくりという点からも大変重要な存在であり、各学校関係者にはさまざまな思いもあることから、県立高校の再編を進めていくことは大変難しい面があると思われますが、今後も地域の関係者に対して県立高校の再編の必要性と目的について丁寧に説明し、理解と納得を得る必要があると考えています。
このような重要課題への対処を初めとして、いじめや体罰などの問題の対処なども含めて、これからの佐賀県教育にどのように取り組んでいくのか、教育長の所見を伺います。
最後に、県警組織力の強化と検挙活動の推進等についてお伺いをいたします。
大量退職時代の中、今後十年間で佐賀県警察官の約三割が退職していく予定であり、県警組織の弱体化が懸念されるところ、佐賀県の安全・安心を確保していくために、県警組織力の強化が重要な課題です。
また、県警の組織力強化により検挙活動をさらに推進するとともに、未解決重要事件の早期解決を図り、県民の期待に応えていかなければならないところだと考えています。
そこで、次の点についてお伺いをいたします。
まず、県警組織力の強化についてであります。
県民が安全で安心して暮らせる社会を実現していくために、県警はどのような取り組みを行っているのかお伺いをいたします。
次に、検挙率向上方策及び未解決重要事件の早期解決についてお尋ねをいたします。
刑法犯認知件数は、平成十五年に比べて平成二十四年度は約半分に減少しております。
検挙数も同様に減少しているところでありますが、この十四年間、検挙率は三割から四割、同じ水準を維持しております。
刑法犯等犯罪率の検挙率を向上させるとともに、殺人事件等の未解決重要事件の早期解決のために、県警はどのような取り組みを行っているのかお伺いをいたします。
最後に、県警本部長の決意についてお伺いをいたします。
県警本部長は駐在所勤務なども含めて現場の経験が豊富だと聞いております。
また、私も時々参加している朝食会に月に一度、必ず参加されていると聞いており、県民の中へ溶け込もうとしているという気持ちのあらわれではないかと感じているところであります。
県警として、県警組織力の強化及び検挙率向上方策、未解決重要事件の早期解決に取り組まれているところでありますが、これらの取り組みに対する県警本部長としての決意をお伺いしたいと思いますので、ぜひ御自身の言葉で語っていただきたいと思います。
以上、サガン鳥栖のサポーターナンバーと同じ十七項目にわたって質問をさせていただきました。
結びに、先日、ある方から、我が国においてこれまでの近代化の流れの中で、歴史をつくる県と、つくられた歴史の結果を受け入れていく県があったが、幕末より明治にかけての佐賀県は歴史をつくる県であったと御教示をいただきました。
総合計画二〇一一で「新しき世に佐賀あり。
」とうたう佐賀県が再び歴史をつくる県となりますよう、心から期待するものであります。
昨年暮れ、九十五歳で亡くなられた南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領は、南アフリカのアパルトヘイト政策に反対する運動へ身を投じて逮捕、そして終身刑を宣告されました。
しかし、四十五歳から七十一歳で釈放されるまで、獄中にあった二十七年間、その志を曲げることなく、誰もが不可能と諦めかけていたアパルトヘイト政策撤廃を、その不屈の精神でなし遂げました。
同様に、たとえ地味で小さな佐賀県であったとしても、不可能だと安易に諦めてしまうのではなく、わずかでも可能性がある限りは、その可能性を信じて行動し続けることが「新しき世に佐賀あり。
」を実現できる道であると信じてやみません。
富士山に登ると心に強く決めた人だけが登ることができるのです。
散歩のついでに富士山に登った人は誰もいないのであります。
古川知事も大いに自信を持って、その信じた道を突き進み、佐賀県が目指す目標に対して明確な意志と揺るぎのない信念を持って県政運営に当たられますよう、そして、やがては佐賀県のレジェンドとなられますことを祈念いたしまして、自由民主党を代表しての質問を終わります。
(拍手)◎古川知事 登壇=指山清範議員の自民党代表質問にお答えさせていただきます。
まず最初に、県政運営の基本方針について、ことしの言葉「駆ける。
」に込めた思いについてのお尋ねがございました。
議員からもございましたが、昨年は「拓く。
」をキーワードに県政の運営に取り組んでまいりました。
ソウル便の開設、国際線専用施設の運用の開始など、世界に向けて開くということが実現できたのではないかと思っております。
ことしは、空港関連で申し上げますと、五月に「春秋航空日本」による成田便が就航をいたします。
こうしたことを通じて、有明佐賀空港をLCCの拠点空港としてさらに発展させていきたい、こうした思いとともに、二〇一六年の有田焼四百年に向けた欧州最大の見本市「メゾン・エ・オブジェ」への出展、また、二〇二三年の国民体育大会・全国障害者スポーツ大会開催を契機としたスポーツのユニバーサルデザイン化など、世界へ、そして全国へ大きく羽ばたくような年にしたい、そういう思いでこの言葉とさせていただきました。
次に、県政運営の基本方針について、三期目最終年としてどのような施策に力を入れて取り組むのかというお尋ねでございます。
ことしは「佐賀県総合計画二〇一一」の計画期間の最終年度でございます。
総合計画に掲げた全ての施策について、目標の達成を主眼に置いて県政運営に取り組んでいきたい、このことに尽きます。
また、施策を推進するに当たりましては、議員からも御指摘をいただきましたが、ユニバーサルデザイン──UDを特別な配慮としてではなく、これからの社会のあり方の前提として考えていくということとともに、あらゆる県政の場面において、情報発信というものについて、全ての職員がこれを強く意識していくということを求めていきたいと考えております。
具体的な施策につきましては、本県におきます交流人口の拡大と需要の創出が期待でき、地域に立脚した産業でもあります観光や、障害のある人もない人も、あらゆる世代の誰もがそれぞれのスタイルでスポーツを楽しむことができるスポーツのUD化に力を入れて取り組んでまいりたいと考えております。
また、取り組みが順調に進んでいない施策については、その課題や問題点を解決するための事業の追加や見直しを行いました。
必要なものについては予算を計上しているところでございまして、総合計画の最終年度ということでございますから、それに向けて進捗をしっかり図り、目標の達成に近づけるようにしてまいりたいと思っております。
これからの一年間は、短期的には総合計画に掲げる目標の達成、さらには総合計画には十年後の目指す姿というものも掲げておりまして、こうした姿に一歩でも近づくように全力で取り組んでまいります。
次に、財政運営についてのお尋ねでございます。
まず一点目が、国の平成二十六年度地方財政対策の評価についてのお尋ねでございます。
平成二十六年度地方財政対策におきましては、地方財政計画に設けられました歳出特別枠や交付税の別枠加算の存廃、平成二十五年度に行われました給与の臨時特例の取り扱い、地方法人課税のあり方など多岐にわたる論点がございましたが、これらの論点について一つずつ申し上げますと、まず、歳出特別枠につきましては、実質的に前年度水準を確保されました。
次に、交付税の別枠加算につきましては、これは地方税収がふえていっておりますので、その分ということもあって一部が縮小されながらも、必要な額は確保されました。
また、このほか給与の臨時特例については、平成二十五年度限りとされました。
地方財政計画の給与関係経費については、必要額が復元されました。
さらに、地方法人課税のあり方については、地方法人特別税・譲与税の一部を廃止しまして、法人事業税に復元をされました。
これとあわせて、法人住民税の一部が国税化されて、その全額が交付税原資とされました。
こうしたことは、大体地方の意見でございまして、結果から見れば、地方の意見を取り入れていただいた地方財政対策になったものと考えております。
総合的に見ましても、地方が地域経済の活性化に取り組みながら安定的に財政運営を行うことができるようにということで、一般財源総額については社会保障分なども含めまして、平成二十五年度の地方財政計画の水準を相当上回る額で確保されました。
赤字地方債であります臨時財政対策債については、これを抑制していただくようにたびたび求めてきたところでございますが、これも抑制されることになり、地方の債務残高の抑制が図られているところでございます。
こうしたことから、平成二十六年度地方財政対策については、私としては評価できるものと考えております。
次に、佐賀県の歳入確保対策についてのお尋ねでございます。
平成二十六年度当初予算の歳入における地方交付税と地方交付税の代替であります臨時財政対策債の合計額は約千七百億円です。
歳入に占める割合は約四割になります。
議員御指摘のように、本県財政は大きく地方交付税、そして臨時財政対策債に依存をしている状況でございます。
このような状況は一朝一夕に変えられるものではございませんが、財政状況が地方交付税の多い、少ないによって決まるという状況は好ましいものではないと思っております。
そのためには自主財源、特に県税収入をふやしていかなければなりません。
県内産業、企業の発展や県民所得向上のための施策、あるいは人口定住増加、こうしたことのための施策を力強く実施していくことが必要であると考えて行っているところでございます。
このため、国の財政対策について、県はもちろんでございますけれども、民間においても積極的に活用をしていただくように働きかけを行っております。
これとあわせて、平成二十六年度の当初予算におきましては、交流人口の増大を目指して、インバウンド拡大のための観光施策に力を入れることにいたしました。
あわせて、有田焼の新たな発展を目指すための事業の展開、県内企業の海外展開や地場産業の国際化の推進、これらを図るためのジェトロの誘致などを行うことにして必要な予算を計上しているところでございます。
また、積極果敢な企業誘致の活動も展開しているところでございまして、去年からことしにかけて既に多くの企業の立地を見ているところでございますが、あわせて現在もさまざまな企業と交渉を行っているところでございます。
このような努力によりまして、少しでも自主財源をふやして、財政運営の自主性、自立性を高められるように、県一丸となって努力をしてまいります。
次に問三、有明海の再生についてのお尋ねでございます。
まず一問目が、有明海の再生のうち開門調査の実現に向けた今後の取り組みについてのお尋ねでございます。
佐賀県側としては、これまでもさまざまなチャネルを通じて、開門調査の実現に向けて取り組んでまいりました。
これからも引き続きやっていかなければならないと思っております。
こうした中、福岡、熊本との三県連携についても模索をしてまいりましたが、現時点では、開門調査の実現に向け、足並みをそろえて行動をしていくということにはなっていない状況でございます。
県としては引き続き、これまで同様、さまざまなチャネルを通じた開門調査の実現に向けた取り組みを行ってまいりますが、司法がこれだけ混迷をしている中で、どうしても司法、裁判の状況を見ざるを得ないという声があるのは事実でございまして、司法上の行方がどうなるかが一つのポイントだと考えております。
このため、司法の状況をしっかり把握して予測をしていくために、県に法律の専門家を配置することを行ってまいります。
有明海の再生に関連して二つ目の御質問、水産資源の回復についてでございますが、この水産資源の回復というのは、有明海の再生に向けて、開門調査の実施と並んで必要なことであると考えております。
この取り組みについては、これまで国と長崎県を含む四県で調整を図りながら進めてきておりました。
このうち、国が実施してまいりました調査や技術開発事業については、平成二十六年度には終わることになっております。
こうしたことを踏まえて、開門調査に対する立場にかかわらず、四県の関係者が話し合いを行っていきながら、これまで実施してきた水産資源の回復の事業の総括を行った上で、有明海の再生、すなわちここでいう有明海の再生は、水産資源の回復ということでございますが、平成二十七年度以降の事業の継続、拡充や新たな視点からの取り組みなど、国に対して必要な施策の実現を求めてまいります。
県としては、有明海の再生、これは開門調査の実現と水産資源の回復、両方を意味しておりますが、とりわけ水産資源の回復に向けては一層積極的に取り組み、漁業者の経営の安定が図られるように行ってまいります。
次に問四、今後のエネルギー政策についてですが、一点目は原子力発電の必要性についてのお尋ねでございます。
原子力政策を含め、国家のエネルギー戦略は、国が責任を持って決めていくべきものであると考えます。
現在、国において新たなエネルギー基本計画の策定作業が行われております。
私としては、中長期的には基幹エネルギーとなり得る代替エネルギーの開発を加速化させ、原子力発電への依存度は下げていくべきだとは考えておりますものの、代替エネルギーの現状を考えたとき、今、直ちに原子力発電を我が国でゼロにするということは現実的ではないと考えておりまして、安全性の確保を大前提として再稼働は必要と考えているところでございます。
次に、原子力規制委員会による新しい規制基準に対する適合性審査についてのお尋ねがございました。
原子力規制委員会による適合性審査に関する公聴会については、規制委員会が審査結果を取りまとめるに当たって、科学的、技術的意見を広く募集し、適宜、審査結果に反映させる手続の一つとして、このように記されております。
「立地自治体からの開催の要請に基づき、その協力を得て共催により、意見募集期間中に実施できること」となっております。
しかしながら、県としましては、この公聴会は、一つはその位置づけや対象、開催範囲などを明確に示した上で開催すべきであること。
規制委員会の責任において、規制委員会の主催で開催すべきであることと考えておりまして、その旨を原子力規制委員会に求めてまいりたいと考えているところでございます。
次に問五、農業行政についてのお尋ねでございます。
まず一点目が、米の生産調整対策見直しへの対応でございます。
残念なことに、主食用のお米の需要が減少傾向にございます。
人口そのものが減っていることや、高齢化が進んでいることが一つの要因となっている中でございますが、県としては本当に残念に思っているところでございます。
であるとするならば、こういう状況の中、県としては、これまで以上に市場が何を求めているのかという、いわゆるマーケットインと呼ばれる事柄を意識していきながら、需要に応じた生産に取り組むことが重要になっていくと考えています。
まず、主食用米についてでございますが、「さがびより」を核として、佐賀米の評価が一層高まっていくように、生産対策や販売対策にしっかりと取り組みをしてまいります。
また、大豆については、実際にこれらを必要とする実需者からの評価は大変高いものがございまして、転作の基幹作物として、生産性や品質のさらなる向上に努めていきたいと考えております。
さらに今後、転作作物として期待される幾つかのものがございます。
一つは、飼料用米でございます。
これは、生産・流通コストの削減や家畜への給与体系の確立などの課題解決に早急に取り組みながら定着を図ってまいります。
また、「佐賀酒」の評価の高まりに伴って、一層の増産が求められている酒造好適米については、県内の蔵元やJAなどと連携していきながら、作付の推進や栽培技術の向上などに積極的に取り組みまして、地元の米でつくったおいしい日本酒がふえていくように生産拡大に努めてまいります。
水田農業は、大きな変革期を再び迎えております。
今後の国の動向、あるいは需要に応じた米生産の定着状況、これらをしっかりと見ていきながら、本県水田農業のさらなる発展に向けてしっかりと対応をしてまいります。
次に、畜産の振興についてのお尋ねでございます。
昭和五十六年一月に県が多久市に建設をいたしました佐賀県食肉センターは、設置から三十年以上が経過をいたしました。
おっしゃるように、施設は随分老朽化しております。
作業の効率が下がっている、衛生管理に支障が生じてきているなど、更新ということを検討する時期を迎えていることは間違いなく、私も十分に認識をしております。
今後、我が国の人口減少や少子・高齢化が進むことによりまして、国内の食肉需要の伸びがなかなか期待できない中にありまして、本県の畜産の振興を図っていくためには、これまでの取り組みに加えまして、昨年、平成二十五年三月、輸出が開かれたEUなどの新たな海外市場に積極的に売り込むこととあわせて、日本を訪れる一千万人を超える外国人観光客なども視野に入れ、「佐賀牛」などの流通、販売を展開していくことが重要と考えられます。
こうした取り組みに必要となるグローバル対応可能な食肉処理施設については、消費者へ安心・安全な食肉を安定供給するため、HACCPなど厳格な衛生管理を基本に、対EU、対米等への輸出やハラール対応などの機能も具備したものが必要だと考えております。
なお、ハラールについては、国ごとに屠殺方法が異なることや、対EUへの輸出に当たっては動物愛護の観点が求められるなどの課題もございまして、詳しい調査検討が必要でございます。
さらには、口蹄疫などの家畜伝染病に対する危機管理への配慮も重要であると考えております。
こうしたことから、食肉処理施設の今後の整備に当たりましては、これらの観点を十分踏まえ、関係団体ともしっかり協議しながら、鋭意検討しているところでございます。
次に、問五の農業行政の三番目、六次産業化についてお答えをさせていただきます。
六次産業化といいますと、これまでは農林漁業者の方が御自身で販売や加工まで行われる農業経営の多角化の観点というものがございました。
もちろん、これらの取り組みも六次産業化の一つでございますが、今後は、これらに加えまして、商品化や販売力の面で高いノウハウを持っておられる二次産業や三次産業の事業者と、農林漁業者や団体とが連携をしながら、消費者や販売の店舗が求めているものを商品化していくなど、これもまたマーケットインの視点で六次産業化に取り組むことが必要だと考えております。
典型的な例で、既に行っていることとしては、蔵元が地元の米農家と連携をして、県産の酒米で酒づくりを行ったりしているということがございます。
このほか、東京エリアの女性をターゲットに展開している「FACTORY SAGA(ファクトリー サガ)」のプロジェクトでは、健康食でありますシリアルのグラノーラというものの販売専門店、このお店とのコラボレーションで、佐賀県産のイチゴや佐賀県産のノリを使ってグラノーラをつくる、販売するということで、県産食材を使った商品販売や開発を行っているところでもございます。
このように、二次産業や三次産業が持っているニーズと、一次産業の生産力との結びつきによる六次産業化を促進することで、佐賀県ならではの農林水産業ビジネスをつくり出していきたいと考えておりますし、こうした取り組みが、佐賀県の認知度の向上にもつながるものと考えております。
農業行政の四番目、県産農産物のブランド力の強化についてでございます。
こうした六次産業化も含め、県産農産物のブランド力の強化を図っていかなければ、激しい産地間競争に打ち勝つことはできないと思っております。
県産の農産物のブランド化を図ること、そして佐賀県そのもののブランド化を図ること、認知度の向上を図っていくこと、これらは全て三位一体であると私は考えております。
そのため、これまでもさまざまな取り組みをしてまいりまして、国内における激しい産地間競争の中、県内農産物をあえて消費者の方々に選んでいただくためには、さらにはできるだけ高く買っていただくためには、いいものを生産していかなければいけないということとあわせて、その存在を際立たせるような取り組みが必要だと考えています。
現在行っていることで申し上げますと、栽培方法や品質など高い基準、国内一厳しい基準とも言われております基準をクリアした最高級の果物を「Premier─S(プルミエ)」というブランドで市場に投入をして、積極的な情報発信を行っておりまして、現在はイチゴとミカンで行っておりますけれども、これらは出した瞬間に売れるといった非常に高い評価を得ております。
こうしたことによりまして、県産品全体が、これら「Premier─S(プルミエ)」がいわば品質を引っ張っていくという形で、佐賀県産の農産物は高品質だという評価を獲得していくという取り組みを行っているところでございます。
また海外では、大きな市場として有望なアメリカや欧州において国産和牛の輸入が解禁をされました。
また、和食がユネスコの無形文化遺産に登録されて日本食への関心が高まっていることなど、情勢が刻々と変化をしております。
こうした中で輸出促進を図っていくためには、とにかく情勢に敏感であるということが求められると思っております。
新しく起こること、世の中に対して公開されていることもあれば、まだ次に起こることについては公開されていないところもありますけれども、どれだけ敏感に情報をキャッチしていくのか、そして、そのことを自分たちの行動につなげていくのかということが求められると思っております。
輸出促進については、こうした情勢の変化に的確に対処し、対象国や品目をより広げていくことはもとより、現地において本県ブランドの一層の認知度向上に取り組んでいくことが必要であります。
このため、現地の実情に精通した輸入業者等と連携を強化して、これまで以上に招聘事業や店頭プロモーション活動などに積極的に取り組むこととあわせまして、マスメディア媒体への露出をふやすなど、現地における情報発信の強化にも取り組んでいくこととしております。
こうしたブランド力強化の取り組みによりまして、消費者から佐賀県産を買いたいと思っていただけるように、あるいは「佐賀牛」のようにちょっと高くても選んでいただけるようになって、ひいてはこのことが生産者の所得の向上につながるように努めてまいります。
次に問いの六番目、森林整備と林業の振興についてのお尋ねでございます。
まず一点目が、森林整備についてでございます。
県では、森林の機能が将来にわたって十分に発揮されることを目的として、平成十六年に「新しい佐賀の森林(もり)づくりビジョン」を策定しました。
このビジョンに基づいて、杉、ヒノキの人工林の適切な管理や針葉樹と広葉樹がまじり合った森林への誘導など多様な森林(もり)づくりに取り組んでおりまして、荒廃森林の解消などに努めております。
また、この多様な森林(もり)づくりを進めるに当たりましては、多くの県民の参加が必要でございまして、これとあわせて林業の振興を図ることも重要だと考えています。
このため、具体的には県や市町による公的な森林の整備、CSOによる森林保全活動への支援、林業者による森林整備への支援など、森林環境税事業を含めて、各種施策を通して、森林保全と林業振興の両面から効率的かつ効果的に森林の整備を進めることにしております。
今後とも、荒廃森林の解消を図ることはもちろんでございますが、さまざまな機会を通じて情報を発信し、森を守り、育てていくことの大切さに対する理解の醸成を図りながら、県民協働による多様な森林(もり)づくりに努めてまいります。
次に、林業の振興についてでございます。
議員御指摘のように、育てることに重点を置いた時代から、木材を生産し、そこから利益を得る新しい時代に入ってきたという認識を私も全く同じように考えているところでございます。
これをどのようにして活用するか、私どもに知恵が求められていると考えております。
近年、世界的な木材需要がふえている中で、輸入量が大きく減少をしております。
これは、これまでと大きく状況が変化していることだと思っておりまして、すなわち国産材の需要が増加をしているということでございます。
こうした状況をチャンスと捉えなければなりません。
そのためには、高性能の林業機械の導入など、まず生産コストを低減させていくこと、下げていくこと、そして、そもそも林業に携わっていただける高度な技術を持つ担い手の育成にこれまで以上に力を入れていかなければならないと思っております。
また一方で、出口対策として、公共事業に県産木材を利用することが必要になってまいります。
県では、既に公共施設にも県産木材を利用しておりますし、県独自の取り組みとしてクリーク防災事業への活用なども行っているところでございますし、民間の木材住宅への利用推進というものについても引き続き積極的に取り組んでまいります。
また、こうした取り組みに加えまして、木のよさ、県産木材を使うことの意義、こうしたことについても、広く県民の皆様に理解をしていただかなければならないと考えております。
時代は再び、林業、森、木の時代がやってきていると私も思っているところでございます。
今後ともこうした取り組みを積極的に推進することによりまして、林業や木材産業の関係者が意欲と希望を持って取り組めるように、本県林業の振興にしっかりと努めてまいります。
次、七番目のお尋ねは、佐賀県の成長戦略についてでございます。
まず一点目が、認知度向上の取り組みについてでございます。
地域の産業を発展させて成長を実感していくためには、例えば、県産品の購入や旅行など、消費者を具体的な行動に結びつける必要がございます。
そのためには、例えば、こういういいものがあるんだなということを消費者に知っていただく、ああ、すてきな場所があるんだなということを知っていただくというように、行動を起こすために必要な情報が消費者に届かなければなりません。
今年度から展開しております情報発信プロジェクト「FACTORY SAGA(ファクトリー サガ)」は、いわばそのための先駆けの取り組みでございます。
三十代を中心とする女性をターゲットにして、企業やブランドなどとコラボレーションをして佐賀県の情報を届けることで、佐賀県の魅力と触れる接点をつくっていこうというプロジェクトでございます。
こうしたことによって、佐賀県の存在感やイメージの向上を実現させていきたいと思っております。
今年度は、議員からもございましたが、三十代の女性という我々が目指すターゲットに非常に親和性が高い、親しみがある、支持されている出版社、宝島社とのコラボレーションを行っておりまして、このほか、先ほどお話のございましたグラノーラの専門店の「GANORI」、あるいは「ロマンシングサ・ガ」という大変人気のあるゲームコンテンツを開発している会社、スクウェア・エニックス、こうしたところとのコラボレーションをスタートさせたところでございます。
こうしたものは、いろんなところでいろんな人から大きな反響を得ているところでございまして、一番最近行ったのは、この「ロマンシング サ・ガ」、名前がたまたま「サガ」で、佐賀県の「佐賀」と一致するということでコラボレーションを行いましたけれども、特にインターネット上では非常に大きな反響を呼んでいるところでございまして、もともと音が一緒ということで、いつか何かやるかなと思っていたけれども、こうした形でやったのはすばらしいといった意見などが寄せられているところでございます。
また、女性の目線で宝島社からブランドムックを発行していただきました。
佐賀県は、旅行をしようにも一般的に発売されている旅行本が非常に少ないというところがありまして、このムックや旅行雑誌というものにおける情報提供というものに力を入れていかなければならないという観点で取り組みを行ってまいりましたが、宝島社の協力を得て、付録に有田焼をつけるという日本初の試みも加えて今回ブランドムックを発行して、二十代、三十代の女性から見たときに魅力のある佐賀県というものをテーマに情報発信をしたところでございます。
また、これとは別に「d design travel」というところからデザインに焦点を当てた佐賀県の紹介本も出ておりまして、これもまた大変な評判を呼んでいるところでございます。
やはり認知度向上のための取り組みは、やっていけばいくほどいろんな意味で反応があると思っているところでございまして、これまで取り組みが足りなかったということを反省するとともに、この認知度向上の取り組みについては、来年度はもっとしっかりやっていかなければならないと改めて感じているところでございます。
来年度は、佐賀県の情報がより多くのメディアで取り上げられるように専門の会社の活用も考えているところでございますし、先ほども申し上げたように、この佐賀県の情報がさまざまなところで取り上げられるためには、あるいは発信されていくためには、職員の意識を大きく変えなければいけないと思っております。
全ての職員が、自分たちが行う事柄が、誰に対してどれだけ届いていて、それがどういう行動に結びついているのかということを強く意識してもらわなければならないと思っておりまして、こうしたことを強く意識していただいて、県内外に情報をより多く届けていきたいと考えております。
こうした取り組みによりまして、物産や観光だけでなく、県政のさまざまな分野、医療や福祉についても同じでございますけれども、県として取り組んでいる事柄が、必要とする人たちにきっちり届くようになっていくと考えているところでございます。
今後とも、こうしたことに力を入れていくことによりまして、最終的には県内産業の成長につなげていきたいと考えているところでございます。
二番目が、雇用の場の確保についてでございます。
今年度に入りまして、企業マインドや設備投資意欲が改善傾向にございます。
今こそ、企業誘致や地場企業の発展を推進するチャンスであると考えております。
現在、環境・エネルギー関連産業、健康・医療関連産業、食品関連産業を重点誘致産業と位置づけておりまして、多くの新規学卒者の雇用が見込まれるなど、雇用効果の高い企業の誘致に積極的に取り組んでまいります。
また、唐津コスメティック構想の取り組みが本格的にスタートすることになりますので、化粧品関連産業も重点誘致産業に位置づけます。
また、海外の成長を取り込む外資系の誘致についても全力で取り組みをしてまいりたいと思っております。
地場企業の支援につきましては、国の競争的資金なども活用した研究開発支援を初め、トライアル発注制度や新年度から取り組みますデータ&デザイン新市場創出事業などによりまして、新商品の開発や販路開拓の支援にも取り組んでまいります。
さらには、県の制度金融による設備投資支援など、商工団体などともしっかりと連携をして、地場企業の発展のために積極的に取り組んでまいります。
いずれにしても、一人でも多くの方が地元佐賀県で働くことができるように積極的に企業誘致や地場企業の育成に取り組んで、さらなる雇用の場の確保に努めてまいります。
成長戦略の三番目、国際戦略と観光振興についての一番目、国際戦略についてのお尋ねでございます。
今後の国際戦略の方向性についてというお尋ねでございますが、経済の取り組みについては、今後、瀋陽は中国東北部の投資環境に関する情報収集、香港は「佐賀牛」を主とした県産品の販路拡大の地道な取り組み、上海は取引件数の拡大に力を入れていかなくてはならないと考えております。
また、青少年交流や観光客誘致等については、人や文化など多様な分野における交流のパイプをさらに太くしていき、それぞれの地域と佐賀県とをしっかりと結びつけるための拠点としていきたいと考えております。
さらに、こうした活動の実績について、県民や県内企業に情報を発信することについてもしっかり取り組んでまいります。
このような東アジアでの活動に加えまして、近年では県内企業の東南アジア展開や有田焼のヨーロッパ展開、唐津コスメティックバレー構想、アメリカへの「佐賀牛」輸出など、さまざまな地域、分野で新しい展開をスタートさせ、国際社会における経験と実力も少しずつ身につけてきたところでございます。
平成二十三年六月に策定した県の国際戦略は、計画期間の三年が終了することしの六月に改定をすることにしております。
次期の国際戦略では、巨大マーケットであり続ける隣国中国との経済交流をさらに進めるとともに、今日におけます国内外の情勢変化や新しい動きを踏まえて、全世界的な展開を視野に入れながら新しい変化にも柔軟に対応できるものにしたいと考えております。
今後、佐賀県が国際社会の中で海外の活力を取り込み、力強く生き抜いていくためには、海外の文化、宗教、価値観、生活習慣などの違いを理解しながら、お互いにメリットを得るような関係を国際社会との間に築いていくことが必要になります。
そのためには、県内に外国人観光客や外国人留学生などを数多く受け入れることで、外国人を理解し外国人と共生する社会づくりを進めていくことが重要であると考えておりまして、次期国際戦略の大きな柱の一つとして推進してまいります。
問七、成長戦略のうち、国際戦略と観光振興の最後、観光振興でございます。
そのうち、まず交通手段の整備についてのお尋ねがございました。
県では今後の本県の継続的な発展を実現するための一つの手法として、上海便、ソウル便の誘致を行いました。
昨年十二月に国際線専用施設がオープンしましたので、国際線の運航ダイヤの自由度が増すことになりました。
今後の新たな国際線の誘致活動にさらに弾みがつくものと考えております。
昨年一年間で日本を訪れた外国人の数は一千万人、政府では二〇二〇年には二千万人、二〇三〇年には三千万人と数をふやしていくことを目指しております。
こうしたことを考えますと、交通手段はまだまだ足りないと私どもとしても認識をしております。
県としては、これまで訪日外国人観光客が多い台湾や香港といった東アジア地域のLCCを中心に誘致活動を行ってきております。
タイミングを逸することのないよう、引き続きしっかりと取り組んでまいります。
次に、観光列車の誘致についてでございます。
観光列車の誘致については、地元沿線の熱意が何より重要というのがJR九州の意向でございますので、例えば唐津線沿線自治体が中心となって、地域の特色を生かした臨時観光列車の運行に取り組むとともに、JR九州に対して地元の熱意を伝えるなどをしてまいりました。
しかしながら、まだ実現していないということは、まだまだそれが足りないということだろうと考えております。
こうした動きに加えまして、沿線の観光資源の磨き上げにも取り組みながら、ぜひとも観光列車の実現に向けて取り組んでいきたいと考えております。
次に、特定複合観光施設区域の認定について、いわゆるカジノといったものでございますが、仮に本県の一部がこうした区域に認定されれば、カジノ施設を含む特定複合観光施設と呼ばれるものの立地が可能となります。
本国会で審議される法案は、基本的な骨格だけを示した推進法案となっておりまして、具体的な内容については推進法案の成立後に改めて制度設計されることになっております。
本県としては、当面は法案の行方を見ていきたいと考えておりますし、来るべきときに備えて情報収集にもあわせて努めてまいります。
次に、受け入れ環境やおもてなしの向上についてのお尋ねでございます。
観光客、とりわけ外国人観光客をふやしていくためには、受け入れ環境の整備が必要であります。
それによって観光客の満足度を高めていかなければなりません。
外国人観光客が我が国に来られた際に不満に思われていることが三つ、四つあると言われております。
一つ目がWiFi環境の問題、二つ目が言葉の問題、三つ目が両替所が少ないということ、そして四つ目がクレジットカードが使える店が少ないと言われております。
こうした事柄について、外国人観光客が不便を感じないように、県としてできることは取り組んでいかなければいけないと思っております。
そのために、まず、公衆無線LAN環境の整備支援について、広く観光客が訪れる場所まで拡大していくことを今回目指しておりますし、あわせて多言語のコールセンターを開設することも行う予定にしております。
さらには、両替所についても、普及について啓発をしていき、両替所の数をふやしていきたいと考えているところでございます。
こうした受け入れ環境の整備を充実させていくことによって、外国人の方々が観光しやすい地域にしていきたいと思っております。
新年度からは新しい体制のもとで、これまで以上に多くの観光客に本県を訪問して滞在していただくことができるように、総合計画では非常に高い目標を掲げておりますので、その実現に向けてしっかりと取り組んでまいります。
成長戦略の最後が、リニアコライダーの誘致についてのお尋ねでございます。
ILC──国際リニアコライダーの国内候補地については、素粒子物理学の研究者グループの立地評価結果は出されましたが、下村文部科学大臣が、研究者の出した提案がそのまま採用ということではないと述べられるなど、国としての判断はまだ示されておりません。
一方、文部科学省からの審議依頼を受けました日本学術会議からは、ILCそのものについて、国内の実施体制や海外からの研究者の参加の見通し、必要経費の国際分担の見通しなどの不確定要素を指摘した上で、国において二年から三年をかけて集中的な調査検討を進めることとの所見が示されました。
今後、国において、こうした課題に関して調査検討が進められますが、まずは将来的な実施の可否判断を行う際のデータ収集を行うとされておりまして、立地場所の検討はその後の議論になると聞いております。
ですので、当面は文部科学省における調査検討の状況を注視していくことになります。
いざ日本で実施するとの判断がなされた際には直ちに対応できるように、福岡県や経済界とも連携しながら、研究者からの情報収集や国との意見交換などに引き続き取り組んでまいります。
八番目が、有田焼創業四百年事業についてでございます。
有田焼創業四百年事業は、昨年九月に佐賀県プランを策定しました。
これに沿って、早急に着手すべきものから順次事業化しながら推進しております。
このプランの最終年度で、創業四百年となる二〇一六年、平成二十八年を目標年次と捉えれば、まだスタートしたばかりということになります。
したがいまして、今の時点で事業の成果について云々できるものではございませんが、オランダ王国大使館との協定締結やパリでのプロモーションの反応など、世界のトレンドをリードする欧州でのリブランディングや市場開拓に向けて一定の手応えを得たところでございまして、よいスタートが切れたのではないかと考えております。
一方、国内におきましては、東京五輪の開催決定や和食の無形文化遺産への登録など、陶磁器業界にとって新たな市場開拓の好機となる状況が生まれておりまして、こうした中、業界関係者からは国内での市場開拓に向けた取り組みを望む声も上がっております。
こうした状況も踏まえまして、平成二十六年度におきましては、新商品開発などを通じて欧州における市場開拓に取り組むこととあわせて、国内の市場における需要の喚起、拡大につながるような事業にも取り組んでいくこととしております。
また、御指摘のように、創業四百年を迎えます有田焼は本県を代表する地場産業でございまして、あわせて観光資源でもございます。
事業の推進に当たりましては、伊万里、武雄、嬉野、有田の四市町にまたがる伊万里・有田焼産地全体で取り組むとともに、県全体に浸透させていくことが重要であると考えております。
このため、県が昨年十月に設立をしました実行委員会には、関係の四市町のほか、佐賀県観光連盟や佐賀県芸術文化協会などにも参画をしていただいて、相互に連携協力しながら取り組みを進めております。
平成二十六年度におきましては、こうした体制のもと、伊万里・有田焼の特別企画展を開催して、肥前磁器の魅力を発信するとともに、国などが主催をされます伝統的工芸品全国大会を関係市町や関係団体との連携により開催して、焼き物文化とあわせて県内の伝統的地場産品を全国に発信することとしております。
有田焼創業四百年事業におきましては、ルーツを同じくする磁器産地が一つになり、産地再生に取り組みますとともに、有田焼を核として、観光や文化などほかの分野とも連携をして、広がりのある事業展開を図ることによりまして、「SAGAブランドの確立」や「佐賀県のプレゼンスの向上」を目指してまいります。
次に、問いの九番目、TPP協定についてのお尋ねでございます。
昨年三月のTPP交渉への参加表明に当たりまして、安倍総理はあらゆる努力によって日本の農や食を守ると言われました。
これまでの交渉においても、我が国は一貫して農産物の重要五項目を守り抜くという姿勢で交渉を続けてまいりました。
TPP交渉については、県は国に対し、交渉力を駆使し、守るべきものは守り、攻めるべきものは攻めることにより、国益にかなう最善の道を追求し、粘り強く交渉していただきたいということをこれまで幾度も要請してきたところでございます。
しかしながら、今回のシンガポールでの閣僚会合に臨むに当たり、甘利TPP担当大臣が重要五項目の関税について一部譲歩の可能性を示唆する発言をされておりまして、現在開催されている閣僚会合、あるいは今後の交渉において重要五項目が守られるのかどうか、予断を許さない状況にあると考えております。
県としては、TPP交渉の行方に重大な危機感を持っておりまして、安倍総理が国民に約束されたことや、国会決議の重みを十分踏まえて、重要五項目を守り抜くよう、これまでの県議会の議論も踏まえ、時期を逃すことなく、国へ申し入れをしてまいります。
次に問いの十番目、医療行政についてのお尋ねでございます。
一点目が医師、看護師の確保についてでございます。
厚生労働省の調査によりますと、佐賀県における人口十万人当たりの医師数は全国平均を上回っております。
ですが、産科、婦人科や小児科、麻酔科、救急科といった特定の診療科や、地域によって偏在が見られるなど、医師数が十分とまでは言えない状況でございます。
このため、県においては、これまで自治医科大学における医師の育成のほか、佐賀大学におけます佐賀県推薦入試制度、医師留学支援事業、女性医師の復職支援などの医師確保に積極的に取り組んでおります。
その結果、例えば、平成二十六年度の臨床研修医の人数が過去最高となると見込まれるなど、県全体の医師確保としては成果が出てきていると考えております。
今後とも、産科や小児科といった不足診療科だけでなく、総合内科といった新しい診療科、あるいは臨床研修医も含め、医師確保に努力をしてまいります。
次に、看護師の確保でございます。
看護師については、医療の高度化、高齢化の進展に伴う在宅看護の増加などによりまして、就労場所も拡大をしますし、ますます重要性が高まると認識をしております。
こうした中、看護職員の需給見通しについては、平成二十七年末においても常勤換算で四百名程度不足するものと見込まれておりまして、県内で働く看護師の確保は極めて重要な課題と考えております。
これまでの看護師等養成所への運営費補助に加えまして、今年度は看護師になりたい人をふやすことを目的として、看護職のイメージアップのためのPRや看護体験を行う「看護夢ナビ事業」を実施いたしました。
そもそも子供の数が減ってきておりますので、看護師になりたい母集団が小さくなってきております。
そういう中で、常勤換算で四百名程度足りないということは、同世代の中で看護師になりたいと思う人の割合を圧倒的にふやしていかなければならない、これが私どもの認識でございます。
おかげさまで、こうした取り組みもあって、来年度の看護師等養成所への入学志願者数は、前の年に比べてふえるといった成果があらわれております。
また、看護師の離職の防止や再就業の支援についても積極的に取り組んでおりまして、今後とも、県内の看護師の充足が図られるように、関係機関と連携の上、しっかり確保対策をやってまいります。
次に、救急医療についてのお尋ねでございます。
本県では、救急現場でICTを活用する新しい救急医療情報システム「99 さがネット」によりまして、救急隊と医療機関との間はもちろん、医療機関同士や、行政機関と医療機関の間でも情報共有が図られて、さらなる連携体制の強化に結びついたところでございます。
さらに先月、本県独自のドクターヘリが運航を開始いたしました。
このドクターヘリについては、佐賀大学医学部附属病院と佐賀県医療センター好生館という本県を代表する基幹病院が連携して運航をしております。
二つの救命救急センターが協力をすることで、本県の救急医療体制のさらなる盤石化につながっていくものと考えております。
また、伊万里有田共立病院や唐津赤十字病院など、県内各地域の中核医療施設でヘリポート整備が進められておりまして、今後、ドクターヘリがさらにその機能を発揮できるようになっていくものと期待しております。
救急医療は、救命率の向上や後遺症の軽減などにつながります。
県民が安心して生活できるための重要な医療分野でございます。
今後とも、消防機関や医療機関などの関係者同士の顔の見える関係づくりを強化することや、今ある制度や仕組みなどのよりよい運営方法の検討や改良を継続して行うことなどを通じて、県内の救急医療の一層の充実を図ってまいります。
次に、がん対策についてのお尋ねでございます。
がんの死亡を減らしていくためには、予防、早期発見、治療までの切れ目ない対策が必要であります。
これまで実施してきました総合的ながん対策をさらに進めることとあわせて、今回提出しております条例案、これの制定を契機に、近年課題となっております働く世代のがん対策を充実させたいと考えているところでございます。
このため、働く世代での罹患が増加傾向にございます大腸がんについて、職場での定期健康診断の際に市町の大腸がん検診を受けることができる仕組みをつくることにしました。
また、同じく働く世代で罹患が増加傾向にございます乳がんなど女性特有のがんにつきましても、市町におけます個別の勧奨、再勧奨、これらをコール・リコールと呼んでおりますけれども、こうした取り組みの支援や女性スタッフだけで検診を行うレディースデーの実施を促進して、検診率の向上につなげていくことにしております。
議員御指摘のように、働き盛りの方ががんにかかったために仕事を離れざるを得ないという現実があることは私も承知しております。
そのような方をできる限り減らすため、職域におけるがん予防やがん治療に対する理解を深めていくこととあわせて、がん治療と仕事の両立に悩む方々にもきちんと対応できる相談支援体制を構築することとしております。
また、肝炎肝がん対策として、ウイルス性の慢性肝炎患者などの定期通院費の助成制度を新たに開始することといたしております。
引き続き肝炎患者が一人でも多く治療に結びつくための仕組みづくりに努めていきたいと考えております。
このような取り組みを通じて、県民全てががんを正しく理解し、がんと向き合って生きることができる佐賀県を実現してまいります。
四番目が、難病対策についてのお尋ねでございます。
現行の医療費助成につきましては、対象となる疾患の範囲が限定されておりまして、難病に苦しんでおられる多くの方々が助成を受けられないという課題や、都道府県の超過負担といった課題がございました。
新たな制度では、助成対象が大幅に拡大され、多くの難病の方々がひとしく医療費助成を受けられる公平で安定的な制度となりました。
都道府県の超過負担についても解消されることとなっております。
制度の実施主体である県といたしましては、新しい制度を円滑に導入できるように、認定手続の準備や制度改正について関係者への確実な周知を図っていくこととしております。
また、難病にかかっていても服薬や通院を続けながら就労できる方が増加をしておりまして、就労は切実な問題となっております。
このため仕事と治療が両立できるように、全国初の民間主導による取り組みとして昨年発足いたしました「難病サポーターズクラブJAPAN」とも連携しながら、事業所の難病に対する理解促進に努めていくとともに、県独自の取り組みとして、知識、技能の習得とあわせて就業機会を提供するレッツ・チャレンジ雇用事業を引き続き実施することとしております。
こうした取り組みや地域の医療、福祉、就労など関係機関の一層の連携促進に努めまして、難病患者が有するさまざまな支援ニーズにできる限り対応して、難病患者の良質かつ適切な医療の確保と療養生活の質の向上を図ってまいります。
医療行政の五番目、国民健康保険の都道府県移管についてでございます。
国民健康保険の運営につきましては、昨年十二月の社会保障制度改革プログラム法において、都道府県が担うことを基本とするとされました。
ただ、その実現には解決すべき課題も多く、国と地方との間で丁寧な議論が必要だということで、一月三十一日から国保制度の基盤強化に関する国と地方の協議がスタートいたしました。
国保の都道府県への移管の時期は平成二十九年度までをめどとするとされております。
具体的な法案は平成二十七年の通常国会に提出することを目指すとされておりまして、まずは国において財政基盤の確立など持続可能な制度が構築されることが重要と考えております。
また、国保の運営等については、都道府県と市町村が適切に役割を分担することとされておりますが、保険料の賦課徴収や医療費の適正化を図る保険事業などにおいて、市町村のインセンティブが働くような仕組みを備えた制度が必要と考えております。
この国保の都道府県移管については、佐賀県はこうした動きが本格化する前から県と市町の協議の場などを通じて積極的に話し合いをし、協議を進めてまいりました。
市町村における国保の課題は非常に大きく、このままでは持続可能な制度であり得るとは考えられなかったからであります。
今、ようやく国においてこうしたことを全国ベースで行われるようになり、私としては大変いいことだと考えているところでございます。
ぜひともほかの国に例のない国民健康保険制度が引き続き持続可能なものとなっていくように、こうした国民健康保険の適切な運営によって、県民の皆様が安心して医療を受けられるように国に対して積極的に提案を行うこととあわせて、県としては、県内の市町とも十分協議を続けていきまして、県への移管が円滑に進められるように取り組みをしてまいります。
次に、福祉行政についてでございます。
一点目が、聴覚障害者への支援についてでございます。
聴覚障害者、聞こえに障害のある方に対する最も必要な支援はコミュニケーションをとっていく、意思疎通を行うための支援でございます。
ですので、今回新しくオープンをします聴覚障害者サポートセンターで実施する事業につきましては、手話通訳や要約筆記者の養成、難聴者や中途失聴者のための聞こえの相談などの相談支援に力を入れることにしております。
また、聾者と難聴者や中途失聴者の方々はもちろんでございますけれども、高齢に伴って聞こえに不安を覚える方もたくさんございます。
こうした方々にも広く利用していただけるようなセンターにしたいと考えております。
議員から御提案のございました手話言語条例についてでございますが、手話は極めて重要な意思疎通のための手段でございます。
これとあわせて、難聴者や中途失聴者にとって要約筆記による意思疎通支援というものもあわせて必要になってきております。
このほかにも意思疎通、コミュニケーションに困難を抱える障害者全体への支援をどうしていくかという課題もございます。
こうしたことがございますので、この手話言語条例については、障害者全体への支援の充実という観点とあわせて、制定の可否も含めて研究をしてまいります。
私がこのセンターを佐賀商工ビルの中に開設することとしたのは、障害のある方々が町の真ん中に集まって暮らしをしていくことが共生社会としての望ましい姿ではないかと考えたからでございます。
聴覚に障害のある方々に対する情報保障が当たり前となる社会をこの佐賀県から実現していくという強い気持ちを持って、今後ともしっかりと取り組んでまいります。
次に、虐待防止についてのお尋ねでございます。
まず、児童虐待についてでございますが、平成二十四年度に県の中央児童相談所で過去最多の百四十八件の相談対応を行っております。
また、高齢者虐待、障害者虐待についても、県や市町などへ多くの通報、届け出があっております。
高齢者虐待でいけば、平成二十四年度の期間で通報等が百六十一件、虐待が九十四件。
障害者虐待については平成二十四年十月から二十五年十二月とやや不規則でございますが、通報等が百四十五件、虐待が二十件ということでございます。
こうした虐待は、被害を受けた方々の人権を著しく侵害をいたします。
生命、身体の安全にかかわるだけでなくて、児童の心と体、心身の成長や人格の形成にも重大な影響を与えます。
高齢者の健康や生活を害し、障害者の自立や社会参加を妨げるものだと認識をしております。
また、虐待を行ってしまった保護者や養護者は周囲からの孤立やストレスなど、これはこれでさまざまな苦しみを抱えておられることが多くて、この保護者などへの支援もあわせて重要だと考えております。
県としては今後とも、虐待に対して高い危機意識を持って、市町を初め、保健、医療、福祉、教育などの関係機関や地域住民との連携を密にして、虐待の未然防止とともに、虐待事案の早期発見、早期対応にしっかりと取り組んでまいります。
次に、人口減少社会への対応についてのお尋ねでございます。
まず一点目、人口が減っていく中、どのように対応をしていくのかというお尋ねでございます。
私は、この人口減少について非常に大きな危機感を持っております。
もちろん国内市場が縮小をしていくということもございますが、地域の活力も停滞しますし、地域社会そのものが小さくなってしまいますし、高齢化が進むということは、すなわち、一般的に申し上げれば、働いていわば税金を稼ぐ世代の方が減り、そうした稼ぐ方々の世代によって支えられる世代の人たちがふえていくということになってしまいます。
それはすなわち国民負担率の上昇につながってまいります。
公的な負担、国民負担率の上昇に国民がどこまで耐えられるのかということを思いますと、本当に大丈夫なんだろうかと私も思っているところでございまして、議員と同様、大変高い危機感を持っているところでございます。
現時点において、人口減少そのものを抑制していく、あるいは影響を緩和する方策そのものはある意味わかっております。
一つは、自然減になっている状況に歯どめをかけること。
二つ目は、社会減を減らしていくこと、できれば社会増に持っていくこと。
そして三つ目は、できるだけ健康で長生きできる環境をつくること、この三つであろうと思っております。
そのために、少子化の対策、そして社会減を減らすための産業の振興、交流人口の拡大、さらには健康対策、そういったものを行っているわけでございますが、こうしたことを行うからといって簡単に人口減少がとまるというものではございません。
将来を考えたときにどうしていくのかということについて改めて考えなければいけないタイミングになっていると思っております。
来年度は総合計画二〇一一の最終年度となっております。
佐賀県の将来像に影響を与えます日本や世界の情勢変化や、それらの変化による社会への影響予測の調査など、次期総合計画の策定に向けた諸準備を行うことにしておりますので、次の総合計画の策定の中で人口減少問題についてもしっかりと取り組みをしてまいりたいと考えております。
日本に対して、また佐賀県に対してどのような影響を与えることになるのかということについて、まずはどのようになっていくのかということについて客観的にしっかりと研究をし、発表をしていきたいと考えているところでございます。
次に二番目が、女性が活躍できる社会づくりについてでございます。
女性の力を最大限発揮できるようにしていくことは、労働力人口の減少が懸念されるということもあって、新たな成長分野を支えていく人材確保にも不可欠だと考えております。
また、女性の労働参加の拡大や経営への参画促進は新たなサービスや製品の創出を促進して、社会全体に活力をもたらすだけでなく、家計の所得や購買力の増加により、人々がより豊かさを実感できるようになると考えております。
何より、一人の人間としたときに女性の自己実現ができるということの意味が一番大きいと私は考えています。
このため県では、保育所の整備など、女性が働きながら安心して子供を育てる環境を整備していくこととあわせまして、男性労働者の育児休業取得促進など、社会全体で女性の労働参加率を引き上げる取り組みを推進しています。
先月、本県の経済界を中心に、女性の社会進出を支援する「女性の大活躍推進佐賀県会議」が立ち上げられました。
この会議では、参加企業などに女性管理職の登用目標を自主的に設定してもらう取り組みや、女性の社会進出を支える環境整備に向けた提言活動などが展開されます。
県としても、女性が能力を発揮して生き生きと活躍していただけるように、この活動をしっかりと支援してまいります。
次に、少子化対策の重要性についてでございます。
県ではこれまで、主に子育てしやすい環境づくりを進めてまいりました。
例えば、待機児童については、実質的に佐賀県では待機児童数ゼロが達成できておりまして、こうした保育所を整備するという面におきましては一定の成果が出ていると考えております。
これからは休日にでも保育をしていただける環境であるとか、障害を持つ子供たちが保育してもらえる環境を充実させていくことなどが求められていると考えております。
とはいえ、こうした子育てしやすい環境づくりを進めていきましても少子化に歯どめがかかっておりません。
このたび新しくスタートしたのが、その前段となります結婚したい、あるいは子供が欲しい、そうした人たちの願いをかなえるための取り組みでございます。
四百十八人分の幸せを新しくつくり出すことを目指そうということで、この四、一、八に語呂合わせをして、「418(しあわせいっぱい)プロジェクト」と名前をつけましてスタートしているところでございます。
事業開始からまだ半年たっておりませんけれども、結婚の支援事業として婚活イベントを複数開催しまして、七十一組の方がカップルになられました。
また、「はじめまして赤ちゃん応援事業」という事業におけます人工授精費の助成でも九十件の申請実績があるなど、一定の成果はあるものと考えております。
来年度は、議員からももっと回数をふやしたらどうだという御提案がございましたが、こうしたこれまでの事業のさらなる充実を図ってまいりますこととあわせて、新たに会員制のお見合い事業を展開することで、より一層多くのカップルが誕生して、一組でも多く結婚につながることによって出生数が増加することを期待しております。
今後とも、関係する本部や市町が一体となりまして、結婚したい、子供が欲しいという願いがかなえられて、安心して子育てができる佐賀県となるようにしっかり取り組んでまいります。
次に、幼児教育の重要性についてでございます。
幼児期は、生活や遊びといった直接的、具体的な体験を通して、人として、また社会の一員として、よりよく生きるための基礎を獲得していく時期でございます。
この時期の教育は極めて重要だと考えております。
幼児期の教育を充実させ、向上心あふれる心豊かな子供を育てることは、健全で安定的な社会をつくり上げていく大切な素地となるものであると考えておりまして、県としても引き続き幼児教育の充実に努めてまいります。
次に、子ども・子育て支援新制度の周知についてのお尋ねでございます。
平成二十七年度から子ども・子育て支援新制度の実施が予定をされておりまして、その詳細について現在議論をされております。
一方で、確かに議員もおっしゃっておられるように、保護者の方からは、今のサービスがどう変わるのか、新しいサービスをどう選んでいけばいいのかといった相談を、私もよく受けます。
まだまだ十分に理解がされていない、必要な情報が行き届いていないと私自身も思っているところでございます。
この制度の詳細がまだわかっていないものですから、私どももやや遠慮しているところもあるんでありますけれども、やはり今からやっておかなければ、急に細かなことを言われてもわからないということにもなろうかと思っております。
さまざまな広報媒体を活用して、保護者の方がいきなりたくさんの情報を与えられて不安に思われることがないように、県としても市町とも協力してきめ細かに、そしてできるだけ早く情報提供を行っていくことを始めていきたいと考えております。
次に、問いの十三番、九州新幹線について三つお尋ねをいただきました。
一点目が、新鳥栖駅を生かした誘客促進についてでございます。
今回のダイヤ改正によりまして、山陽新幹線との直通であります「さくら」が新鳥栖駅に全便停車することになりました。
これは、もうスタート時から私どもが強くJR九州に求めていたところでございまして、今回このことが実現できたことは関係者の御努力のおかげであると考えておりますし、これをぜひとも大きく生かしていかなければならないと思います。
せっかく全便停車することになったのに、そこを使う方、乗りおりされる方が少ないというのでは、JR九州としても残念に思われることとなりましょうし、これからの新鳥栖駅、あるいは県の東部地域の窓口としての発展にも影響を与えかねないと思っておりまして、今回の全便停車を、ぜひとも関西、中国方面からより多くの観光客を呼び込む一つのポイントにしたいと思っているところでございます。
これまでも、もちろんさまざまな取り組みをしてきたところでございますが、今回、ここにとまるということで、しかもここには観光バスなどもたくさん停車をすることができるということになっております。
新鳥栖駅を九州観光の大きな拠点にすることが物理的にも可能になってきたと考えておりまして、具体的に何をどうしていくのかということについては、「新幹線さが未来づくり協議会」でしっかり議論をし、ここと連携を密にしていきながら、関西、中国方面の誘客促進に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
次に、在来線走行区間の安全対策についてでございますが、議員もよく御存じのように、西九州ルートは新鳥栖から武雄温泉までの間は在来線を活用するということになっておりまして、現在の長崎本線と佐世保線を新幹線の車両が走ることになります。
ただ、開業後の運行本数については、現時点で計画されておりますのは、新鳥栖駅から肥前山口までの間で、今よりも一時間に一本程度ふえる。
肥前山口から武雄温泉間、現在の佐世保線の区間ということでありますけれども、一時間に四本程度ふえるということが見込まれております。
一時間に一本程度ということであれば、これは一分程度の踏切の遮断時間の増でございます。
一時間に四本ということであれば、一時間に四分程度踏切の遮断時間がふえるということになりますので、この時間だけを見ますと、踏切において大きな渋滞が発生する可能性は低いと考えております。
ただ、沿線住民の皆様方が新幹線開業後の踏切での渋滞などについて不安をお持ちであるということについては、私ども十分理解をし、承知をしているところでございまして、まずは運行形態などについて丁寧にお知らせをしていく必要があると考えております。
沿線の市町に対しきちんと説明を行いながら、西九州ルートの開業後の姿を理解していただくように努めていくこととしております。
また現在、県と沿線市町におきまして、踏切ごとにどのような課題があるか抽出をしております。
沿線住民の皆様の不安解消が図られるように、関係市町としっかり協議を重ねてまいります。
三番目が、西九州ルートの情報発信についてでございます。
西九州ルートが開業することで、佐賀県に九州の縦軸──鹿児島ルートのことでございますが──と、この横軸、西九州ルートの両軸がそろうことになります。
関西、中国方面との人の交流が一層拡大をしてまいります。
観光を初めとする産業の振興が図られることが期待されます。
そのためには、何よりこうしたことになるということを知っていただかなければ、先ほどの観光のお話ではございませんが、知らない情報は活用のしようがない、知らない目的地──デスティネーションには行こうと思いようがないというところでございます。
特に、直通の列車が走ることになる関西、中国方面において西九州ルートを広くアピールしていくこと、この必要性は極めて重要だと考えておりまして、県としては、この西九州ルートにより、こうした地域の方々に対し、佐賀県が非常に身近になるんだということについて、今の段階から積極的に広報やPRを行っていかなければならないと考えております。
既に職員を派遣して、既に開業を経験した鹿児島ルートの沿線の県や市町村においてどのような取り組みを何年前から行って、どういった事柄は効果があり、どういった事柄は効果がなかったのか、あるいはどういったことをやっておけばよかったと思っているのか、こうした事柄について幾度となくヒアリングをしているところでございます。
また一方で、西九州ルートよりも数年前に開通いたします北陸新幹線の沿線県においてどのような取り組みをしているのかということについても、あわせて情報の収集を行わせ、そうしたことを見て、遅きに失しないような情報発信にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
次に問いの十四、社会資本整備について、大きく三つの問いをいただいております。
一点目が、暮らしに身近な道路の整備についてでございます。
県では、厳しい財政状況の中で、幹線道路ネットワークの整備や交通安全対策に重点化して道路の整備を行っております。
議員御指摘の日常の暮らしに密着した生活道路の整備については、地域からさまざまな要望が来ていることは私も認識をしておりますし、昨年十月の要望の提出の際にも、このことについてコメントがあったこともよく記憶をしているところでございます。
県としては、議員もよく御理解いただいているように、あれもこれもすぐにというわけにはまいりませんが、限られた財源の中で、ただ、国の緊急経済対策などもございますので、こうしたことも十分に活用していきながら、地域の期待に少しでも多く応えられるように努めていきたいと思っているところでございます。
次に、道路の老朽化対策についてでございます。
本県の橋梁やトンネルの多くは高度成長期以降につくられたものでございまして、今後、急速な施設の老朽化による機能低下が進みます。
これらの道路や施設は、それぞれの老朽化のスピードや、どうやってその機能を保全するのかという方法などが違っておりますので、一つ一つの施設の現状を踏まえながら、老朽化に備えた対策を計画的に進めていかなければなりません。
そこで、橋については佐賀県橋梁長寿命化修繕計画をつくりました。
この計画に基づきまして、損傷が大きくなる前に全ての橋梁について予防的な維持修繕を実施するということを決めておりまして、これによって橋梁の安全性を確保し、あわせて維持管理コストを縮減することとしております。
また、トンネルにつきましては、「佐賀県道路トンネル点検マニュアル」に基づきまして、平成二十三年度から二十四年度にかけて定期点検を実施し、補修が必要なトンネルについては、適宜対策工事を実施するなど適切な維持管理に努めているところでございます。
今後も、橋梁やトンネルだけでなく、全ての道路施設、さらに申し上げれば、あらゆる社会資本について老朽化対策などを計画的に進めていかなければならないと考えております。
こうしたことによりまして、県民が安全に安心して施設を利用できるように取り組みをしてまいります。
次に、港湾について整備と利活用、さらには佐志浜の土地利用についてのお尋ねでございます。
まずは、唐津港についてのお尋ねでございます。
唐津港は、物流、水産、観光レクリエーションなどの機能をあわせ持つ複合港でございまして、現在、東港地区におきましては、国内貨物の物流基地、大型旅客船の接岸と震災時の緊急物資輸送基地として、水深九メートル岸壁を国の直轄事業として整備中でございまして、大体平成二十七年度末には完成予定と伺っております。
引き続き早期の完成を国に働きかけてまいります。
また、利活用につきましては、県、市、そして地元関係者が一体となりまして、ポートセールスに取り組んでおります。
国内外の旅客船の誘致や、鋼材や機械、砕石などの貨物取扱量の増加を図りまして、唐津港が観光や物流拠点としてさらに発展するよう努めてまいります。
次に、佐志浜の埋立地の土地利用についてのお尋ねでございます。
平成十五年の四月に佐志浜埋立地は竣工をいたしました。
当初、住宅関連用地、その後、住宅関連用地、業務施設用地、商業施設用地の三つとして利活用を図ることとしましたが、具体的な引き合いがなく、計画の実現には至っておりません。
また昨年、唐津市が福岡ソフトバンクホークスファーム本拠地誘致に対してこの土地で名乗りを上げられましたが、実現できませんでした。
この埋立地は一定のまとまった土地でございます。
県北部においても貴重な土地と考えておりまして、地元の意向も踏まえて土地利用計画を見直して企業誘致に取り組むことにしたいと考えております。
次に、問いの十五、私からは最後でございますが、スポーツの推進についてのお尋ねでございます。
まず一点目が、これからのスポーツ推進の取り組みについてでございます。
二〇二〇年、平成三十二年に東京オリンピック・パラリンピック大会が開催されますことは、我が国の社会が変革する大きな契機になると考えます。
東京オリンピック・パラリンピックには、世界のさまざまな国や地域から、さまざまなアスリートや関係者、観光客が我が国を訪れます。
二〇二〇年までに東京だけでなく我が国を、そして佐賀県を、いろいろな国や地域のアスリート、外国人、障害のある人、高齢の方にとっても訪れやすい、住みやすい地域にしていかなければなりません。
また平成三十五年、二〇二三年の国民体育大会・全国障害者スポーツ大会を佐賀県で開催したいと考えておりますが、このことも同じように佐賀県の社会を大きく変える機会にする必要があると考えております。
そのキーワードは、ユニバーサルデザインだと考えております。
佐賀県では、年齢、障害の有無、性別、さまざまな社会的な要素に関係なく、誰もがそれぞれのスタイルでスポーツを楽しむことができる環境をつくっていくという意味でスポーツのユニバーサルデザイン化に取り組んでおります。
また、東京オリンピック・パラリンピックで佐賀県ゆかりのメダリストが出るようなスポーツの環境をつくっていきたいと考えております。
東京オリンピック・パラリンピック、その後の国民体育大会・全国障害者スポーツ大会の佐賀県での開催を一つの契機として、こうした取り組みをしっかりと進めてまいります。
次に、スポーツの競技水準の向上についてのお尋ねでございます。
佐賀県のアスリートやチームが世界や国内のトップレベルの舞台で活躍する東京オリンピック・パラリンピックで佐賀県ゆかりのメダリストが出るといった環境をつくっていくためには、単にトップアスリートを鍛えればいいということだけではなく、スポーツの裾野を広げることや、アスリートを育成する指導者の層を厚くすることなども必要であると考えております。
そうした中で、まずは指導者の育成やさらなる資質の向上のための取り組みを進めることにしております。
また、スポーツの裾野を広げるという意味で、日常的にスポーツを楽しむ人をふやしていくことが重要でありまして、年齢や障害の有無に関係なく、誰もがスポーツを楽しむことができる環境をつくってまいります。
このようなことは、一朝一夕に実現できるものばかりではございませんので、東京オリンピック・パラリンピック、その後の国民体育大会・全国障害者スポーツ大会での佐賀県での開催を一つの目標年次として、計画的な取り組みを進めてまいります。
そして三番目、私からは最後でございますが、スポーツによる地域の活性化についてでございます。
「さがんアスリート」を初めとする佐賀県のアスリートや、サッカー、バレーボール、ハンドボールなどの有力なチームが世界やトップレベルの舞台で活躍することや、県内でトップレベルの試合やスポーツ合宿、大規模なスポーツ大会などが開催されることは、県民の皆さんがスポーツを始めるきっかけや新しいことにチャレンジするきっかけになるとともに、スポーツを通じてたくさんの人が佐賀県を訪れたり、佐賀県の情報に触れることで地域経済の活性化や佐賀県のイメージアップ、情報発信につながります。
このようなスポーツの「ちから」を活用して佐賀県を元気な地域にしていきたいと考えております。
そのため、さまざまな情報発信を行うとともに、スポーツコミッションによる大会、合宿の誘致などスポーツによる佐賀県への誘客推進に取り組みます。
また、議員からも御指摘のあったサガン鳥栖については、J1所属の本県唯一のプロサッカーチームでございます。
これまでも活躍できるようなさまざまな形での支援を行ってまいりましたが、これからも佐賀県としてはJ1で活躍できるように、県民の皆様がサガン鳥栖を応援するという機運が盛り上がっていくというのがサガン鳥栖にとって何よりの支援だと考えているところでございまして、県としてもこうしたことに必要な支援をしっかりと行ってまいりたいと存じます。
私からは以上でございます。
◎川崎教育長 登壇=教育行政につきましてお答えをいたします。
今日の学校教育におきましては、グローバル化や情報化が急速に進展する社会経済環境にありまして、国際社会で、いわゆる生き抜く力を育むことを初めとして、学力向上や不登校、いじめ対策、特別支援教育の充実、それに、これからますます必要で重要となってくる情報利活用能力の向上など対応すべき課題も多くあります。
佐賀県教育の目指すべき目標は、これらの教育課題を克服しつつ、一人一人の個性と能力を最大限に伸ばすとともに、知・徳・体の人格にすぐれた社会有為な人材を育成することにあると認識いたしております。
それは、県民の期待と信頼に応えながら、勉学に、文化芸術に、そして体育、スポーツにすぐれた成果を発揮し、一人一人が希望に満ち、存在感のある自立する力を育み、支援することにあると捉えています。
目標の実現に当たりましては、教職員の意識や学校の教育力を高めることはもとよりのこと、県民と意識を共有しながら、家庭の教育力や社会の教育力を高め、社会全体の総合的な教育力によって取り組むことが重要であると考えています。
こうした認識に立ちまして、御指摘のまず学力向上についてでございますが、来年度に向けましては、秋田県や福井県に派遣しております教員からの現地報告も参酌しながら、これまで実施してきた取り組みを点検、検証し、見直すところは見直した上で「佐賀県総合計画二〇一一」に掲げます「全区分で全国平均以上」という目標の実現に向けまして、学校と家庭、地域が連携協力した実効性のある諸施策を実施してまいります。
次に、ICT利活用教育につきましては、平成二十三年度から先進的ICT利活用教育推進事業を工程に沿って計画的に推進しているところでございますが、いよいよ来年度は全国に先駆けて、四月から全県立高校の一年生に学習者用パソコンを導入することといたしております。
この導入を円滑に進めるため、生徒、保護者への丁寧な説明や教職員の資質能力の向上に努めますほか、学習者用パソコンを購入しやすくなるよう、県の育英資金貸付金の入学時加算を増額しますとともに、無利子で分割払いができる新たな貸付制度を創設することといたしております。
なお、この学習者用パソコンにつきましては、生活保護費の支給対象となることが確認されております。
続いて、県立高等学校の再編整備についてでありますが、本県におきましては、新たな生徒減少期への対応をどうするのか、社会経済や教育環境等の変化への対応をどうするのかという重大な教育課題があります。
これらの課題に的確に対処していくためには、「新たな生徒減少期に対応した佐賀県立高等学校再編整備実施計画」をタイムリーに策定して計画的に取り組む必要があります。
そこで、佐賀県立高等学校生徒減少期対策審議会の答申や国の動きなどを踏まえまして、これから論議を深めていくためのたたき台を去る十一月十四日に策定、公表し、お示しした次第であります。
現在、関係市町で地元説明会を開催するなどしながら、地域のさまざまな御意見や要望をお聞きしているところでございます。
これから、そうした意見や要望を集約し、整理しますとともに、県民の理解と納得が得られますようさらに論議を深め、十月ごろをめどに「新たな生徒減少期に対応した佐賀県立高等学校再編整備実施計画」を策定したいと考えております。
いずれにいたしましても、県教育委員会では知事部局とも連携協力しながら、「佐賀県総合計画二〇一一」の目標実現に向けた諸施策や社会経済状況の変化に応じた実効性のある施策を積極的かつ機動的に展開し、新たな教育県佐賀の構築に取り組む所存でございます。
◎長嶋警察本部長 登壇=県警察力の強化と検挙活動の推進等につきまして、三点御質問がございましたのでお答えを申し上げます。
まず、県警組織力の強化についてでございます。
御指摘のように、県警におきましても大量退職期を迎えまして、組織の急激な若返りが進んでおります。
こういった中、治安上の脅威、問題点等に迅速かつ的確に対処するため、第一線の警察機能を最大限に発揮できるよう県警察組織力を強化することが重要な課題であるというふうに認識しているところでございます。
こういった状況を踏まえまして、特に二つの観点から強化を図っているところでございます。
一つは、組織的基盤強化の観点でございます。
これまでにも初動警察活動強化のための通信指令課、若手警察官の早期育成を図るための人材育成室、安全なサイバー空間確保のためのサイバー犯罪対策室などの組織を設置したほか、警察官の増員措置による暴力団対策等の体制の強化をしてきたところであります。
引き続き、治安情勢に応じた対応ができるような組織体制の強化を図ってまいりたいと考えております。
もう一つは、人的基盤強化の観点からであります。
優秀な人材を採用することはもちろんでありますけれども、採用時教養を含め、若手警察官の現場対応能力を向上させるための実戦的総合訓練、ベテラン警察官による知識、技能等の伝承、その他各種訓練、研修等を強化するなどして早期戦力化を図っているところであります。
あわせまして、幹部職員の指揮能力の向上等にも積極的に取り組んでおります。
また、女性の視点を一層反映した警察運営を図るため、女性警察職員の意見を組織運営に積極的に吸い上げるとともに、優秀な人材の採用、登用の拡大を図るなどしているところであり、このような各種の施策を通じまして組織力の強化を図っているところでございます。
次に、検挙率向上方策及び未解決重要事件の早期解決についてでございます。
平成二十五年中における刑法犯の認知件数は、最多を記録しました平成十五年の約半数まで減少し、検挙率は三七・九%でございます。
これは、平成十五年の検挙率と比較しますと八・八ポイント向上し、全国平均と比較しまして八・一ポイントほど上回っている状況にございます。
刑法犯の特徴を見てみますと、認知件数の約八割というものは、空き巣や乗り物盗などの窃盗犯が占めており、この種の犯罪の検挙向上を図っていくことが必要不可欠であるというふうに考えております。
このほか、殺人、強盗、強制わいせつなどの重要犯罪も発生しており、被疑者、犯人の早期検挙を徹底し、犯罪抑止を図っていくことが重要であるというふうに認識しております。
こうした犯罪情勢を把握、分析することにより、捜査員を重点的に配置しまして捜査に当たらせるとともに、重要事件の発生に際しましては、捜査員等を大量に投入しまして初動捜査の徹底を図るようにしているところであります。
また、ベテラン捜査員が経験と技能を生かし、若手捜査員を指導する、いわゆる伝承教養でございますが、これによりまして捜査能力の向上に努めているところであります。
一方、鳥栖市飯田町における男性会社員殺人事件など数件の重要事件がいまだ解決に至っておりません。
捜査が長期化していることなどから、事件を風化させることのないよう専従の捜査体制をとり、情報提供の呼びかけなど事件解決に向けた捜査を継続的に行っているところでございます。
最後に、県警本部長としての決意ということでございます。
私自身、県民の皆様や来県された方々が安全と安心を実感できるような佐賀県にしようということで、県警として何ができるのか、何をすべきなのかを的確に判断し、常に県民のためになるのかどうかを考えながら活動することが大変重要であると考えております。
このことを全ての職員に徹底し、各種犯罪の検挙活動を推進し、長期化している事件の早期検挙にも努めてまいりたいと考えているところであります。
また、先ほどお話がありましたように、みずからもいろいろな機会、場面におきまして、県民の皆様の意見を伺うとともに、治安情勢や警察の対応などについて御説明をし、警察活動に対する御協力、御理解を得るように努めてまいりたいと考えております。
今後とも、職員一人一人が使命感と誇りを持って、積極かつ前向きに職務に取り組むことができるよう組織運営を行い、県民の皆様の期待と信頼に応えてまいる所存でございます。
どうかよろしくお願いを申し上げます。
◎指山清範君(拍手)登壇=おはようございます。
自由民主党の指山でございます。
平成二十六年二月定例県議会の質疑のスタートに当たり、自由民主党を代表して、県政の方針、施策の基本的な考え方について質問をいたします。
県民の皆さんや県議会と意思の疎通を図るという認識に立って、前向きでわかりやすい明確な答弁を求めます。
私の好きな言葉に「凡を転じて聖となす」という仏教の言葉があります。
凡、すなわち平凡なものを転じて、聖、すなわちすばらしいものに変えるという意味であります。
例えば、唐突ですが、将棋の駒に歩というものがあります。
この駒は一つずつしか前に進めない地味で小さな駒です。
面積も小さく、人口も少ない上に減り続けている、認知度も向上させなければならない佐賀県に相通じるものがあると思うのであります。
しかし、この歩も、たとえ一つずつしか前に進めなくても、着実に前に進めば、やがては金と同じ力を持つ駒に変身いたします。
同様に佐賀県も知恵を絞り出し、努力を続ければ、事と次第によっては大きく変化を遂げることができる、そう信じてやみませんし、そう考えると、またやる気も一層生まれてくるのではないでしょうか。
大事なことは、大きく変化を遂げるまでのプロセスです。
そこに可能性がある限り、チャンスがある限り、多くの素材の中から宝を探し出し、磨きをかけて全身全霊を傾けていけば、ナンバーワンのもの、あるいはオンリーワンのものをつくり出すことができる、そう思っています。
知事にはそういう気概を持って、たとえどんな状況に陥ろうとも、前を向いて一歩一歩、歩みを進めていただきたいと思います。
それでは、古川知事や教育長、県警本部長に心に深く響く答弁を期待し、以下、具体的に質問を進めてまいります。
しばしおつき合いのほど、お願い申し上げます。
まず、県政運営の基本方針についてであります。
古川知事は、三期十一年にわたって県政の運営を行ってこられました。
これまで知事は、トライアル発注やパーキングパーミット、我が国で初めてとなる国連公共サービス賞の受賞につながった県民協働といった全国に先駆けた取り組みを始めてこられました。
さらに昨年は、「拓く。
」をキーワードに、フルマラソン化した「さが桜マラソン」の開催、佐賀県医療センター好生館や九州国際重粒子線がん治療センターの開設、有明佐賀空港では、ソウル便の開設や国際線専用施設の運用開始、新しい情報発信プロジェクト「FACTORY SAGA(ファクトリーサガ)」による情報発信などに取り組まれ、佐賀県がいろいろな分野で全国へ、そして世界へと道を開いた一年であったと、私も同様に感じています。
ただ、これらの取り組みの成果を県内の景気浮揚や雇用促進につなげて、県民が取り組みの効果として実感できるようにすることが必要ではないかと考えています。
平成二十六年度は、古川県政が始まって三期十二年目を迎えるとともに、総合計画二〇一一の最終年に当たり、仕上げの年にしていかなければなりません。
そういう中で知事は、昨年の「拓く。
」から一歩進んで、「駆ける。
」をキーワードに掲げられ、県政運営に取り組んでいきたいと表明されました。
そこで、次の点についてお伺いいたします。
「駆ける。
」に込めた思いについて、まず伺います。
知事は、ことしのキーワードを「駆ける。
」と表明されたところでありますが、どのような思いで「駆ける。
」とされたのか、まずお伺いをさせていただきます。
次に、県政運営の基本方針についてであります。
知事は、三期目最終年の県政運営をどのような意識で進められ、具体的にどのような施策に力を込めて取り組まれるのかお伺いいたします。
◎古川知事 登壇=指山清範議員の自民党代表質問にお答えさせていただきます。
まず最初に、県政運営の基本方針について、ことしの言葉「駆ける。
」に込めた思いについてのお尋ねがございました。
議員からもございましたが、昨年は「拓く。
」をキーワードに県政の運営に取り組んでまいりました。
ソウル便の開設、国際線専用施設の運用の開始など、世界に向けて開くということが実現できたのではないかと思っております。
ことしは、空港関連で申し上げますと、五月に「春秋航空日本」による成田便が就航をいたします。
こうしたことを通じて、有明佐賀空港をLCCの拠点空港としてさらに発展させていきたい、こうした思いとともに、二〇一六年の有田焼四百年に向けた欧州最大の見本市「メゾン・エ・オブジェ」への出展、また、二〇二三年の国民体育大会・全国障害者スポーツ大会開催を契機としたスポーツのユニバーサルデザイン化など、世界へ、そして全国へ大きく羽ばたくような年にしたい、そういう思いでこの言葉とさせていただきました。
次に、県政運営の基本方針について、三期目最終年としてどのような施策に力を入れて取り組むのかというお尋ねでございます。
ことしは「佐賀県総合計画二〇一一」の計画期間の最終年度でございます。
総合計画に掲げた全ての施策について、目標の達成を主眼に置いて県政運営に取り組んでいきたい、このことに尽きます。
また、施策を推進するに当たりましては、議員からも御指摘をいただきましたが、ユニバーサルデザイン──UDを特別な配慮としてではなく、これからの社会のあり方の前提として考えていくということとともに、あらゆる県政の場面において、情報発信というものについて、全ての職員がこれを強く意識していくということを求めていきたいと考えております。
具体的な施策につきましては、本県におきます交流人口の拡大と需要の創出が期待でき、地域に立脚した産業でもあります観光や、障害のある人もない人も、あらゆる世代の誰もがそれぞれのスタイルでスポーツを楽しむことができるスポーツのUD化に力を入れて取り組んでまいりたいと考えております。
また、取り組みが順調に進んでいない施策については、その課題や問題点を解決するための事業の追加や見直しを行いました。
必要なものについては予算を計上しているところでございまして、総合計画の最終年度ということでございますから、それに向けて進捗をしっかり図り、目標の達成に近づけるようにしてまいりたいと思っております。
これからの一年間は、短期的には総合計画に掲げる目標の達成、さらには総合計画には十年後の目指す姿というものも掲げておりまして、こうした姿に一歩でも近づくように全力で取り組んでまいります。
続いて、財政運営についてお伺いいたします。
二月七日に平成二十六年度地方財政計画が発表されました。
その規模は八十三兆三千六百七億円となり、前年度よりも一兆四千四百五十三億円増となっています。
また、一般財源の総額は六十兆三千五百七十七億円となり、前年度よりも六千五十一億円増となっています。
しかし、地方交付税は総額で前年度より千七百六十九億円減の十六兆八千八百五十五億円となっています。
そこでお伺いいたします。
国の平成二十六年度地方財政対策の評価についてお伺いいたします。
国の平成二十六年度の地方財政対策は、地方の安定的な財政運営に必要となる地方の一般財源総額について、平成二十五年度地方財政計画と実質的に同水準を確保することを基本として講じられていますが、知事はどのように評価されていますか。
次に、佐賀県の歳入確保対策についてお伺いいたします。
平成二十六年度地方財政対策により一般財源総額は確保されたものの、地方交付税については、地方税収入が一定程度増加することにより、前年度よりも減額となっています。
このことは、税収が地方財政対策どおりに伸びなければ厳しいということになります。
平成二十六年度予算については税収が交付税の減以上に伸びる見込みであり、問題ないと考えていますが、いわゆる自主財源が乏しく、地方交付税に依存した本県の財政体質は変わっておらず、地方交付税の動向は今後も注視し続けなければならない状況に、これでよいのかと思いを抱くところであります。
ついては、長期的な課題とはなりますが、今後、地方交付税の増減におびえなくてもよいよう、国の経済対策に積極的に取り組むとともに、これを契機にさらに県内の経済浮揚に取り組むなど、これまで以上に県税収入等をふやすための施策に取り組んでいく必要があると考えますが、どのように認識されているのかお伺いをいたします。
◎古川知事 = 次に、財政運営についてのお尋ねでございます。
まず一点目が、国の平成二十六年度地方財政対策の評価についてのお尋ねでございます。
平成二十六年度地方財政対策におきましては、地方財政計画に設けられました歳出特別枠や交付税の別枠加算の存廃、平成二十五年度に行われました給与の臨時特例の取り扱い、地方法人課税のあり方など多岐にわたる論点がございましたが、これらの論点について一つずつ申し上げますと、まず、歳出特別枠につきましては、実質的に前年度水準を確保されました。
次に、交付税の別枠加算につきましては、これは地方税収がふえていっておりますので、その分ということもあって一部が縮小されながらも、必要な額は確保されました。
また、このほか給与の臨時特例については、平成二十五年度限りとされました。
地方財政計画の給与関係経費については、必要額が復元されました。
さらに、地方法人課税のあり方については、地方法人特別税・譲与税の一部を廃止しまして、法人事業税に復元をされました。
これとあわせて、法人住民税の一部が国税化されて、その全額が交付税原資とされました。
こうしたことは、大体地方の意見でございまして、結果から見れば、地方の意見を取り入れていただいた地方財政対策になったものと考えております。
総合的に見ましても、地方が地域経済の活性化に取り組みながら安定的に財政運営を行うことができるようにということで、一般財源総額については社会保障分なども含めまして、平成二十五年度の地方財政計画の水準を相当上回る額で確保されました。
赤字地方債であります臨時財政対策債については、これを抑制していただくようにたびたび求めてきたところでございますが、これも抑制されることになり、地方の債務残高の抑制が図られているところでございます。
こうしたことから、平成二十六年度地方財政対策については、私としては評価できるものと考えております。
次に、佐賀県の歳入確保対策についてのお尋ねでございます。
平成二十六年度当初予算の歳入における地方交付税と地方交付税の代替であります臨時財政対策債の合計額は約千七百億円です。
歳入に占める割合は約四割になります。
議員御指摘のように、本県財政は大きく地方交付税、そして臨時財政対策債に依存をしている状況でございます。
このような状況は一朝一夕に変えられるものではございませんが、財政状況が地方交付税の多い、少ないによって決まるという状況は好ましいものではないと思っております。
そのためには自主財源、特に県税収入をふやしていかなければなりません。
県内産業、企業の発展や県民所得向上のための施策、あるいは人口定住増加、こうしたことのための施策を力強く実施していくことが必要であると考えて行っているところでございます。
このため、国の財政対策について、県はもちろんでございますけれども、民間においても積極的に活用をしていただくように働きかけを行っております。
これとあわせて、平成二十六年度の当初予算におきましては、交流人口の増大を目指して、インバウンド拡大のための観光施策に力を入れることにいたしました。
あわせて、有田焼の新たな発展を目指すための事業の展開、県内企業の海外展開や地場産業の国際化の推進、これらを図るためのジェトロの誘致などを行うことにして必要な予算を計上しているところでございます。
また、積極果敢な企業誘致の活動も展開しているところでございまして、去年からことしにかけて既に多くの企業の立地を見ているところでございますが、あわせて現在もさまざまな企業と交渉を行っているところでございます。
このような努力によりまして、少しでも自主財源をふやして、財政運営の自主性、自立性を高められるように、県一丸となって努力をしてまいります。
三点目に、有明海の再生についてお伺いいたします。
本県有明海は、近年、潮の流れの低下や、赤潮や貧酸素水塊の発生など、有明海の環境は非常に厳しいものがあると認識しています。
このような中、貝類資源を見ると、近年、漁獲が大きく落ち込んでおり、干潟に生息するアゲマキは依然として漁獲が見られず、冬場の風物詩であるタイラギの潜水器漁についても二年連続で休漁を余儀なくされるなど、漁船漁業の現状は厳しい状況が続いています。
また、ノリ養殖業は、集団管理等の漁業者の方々の努力もあり、幸いにも昨年まで十年連続日本一となっておりますが、本漁期は早くから大規模な珪藻赤潮が発生し、鹿島や太良地先を中心に全域で色落ち被害が発生しており、予断を許さない状況となっています。
一方、開門調査については、昨年の十二月二十日までに開門する司法上の義務を国は履行せず、その後、開門問題に関して、開門派と開門反対派による間接強制の申し立てや開門派の間接強制に対抗するための訴訟が国から提起されるなど、ますます混迷を深め、司法上での決着は長期化が予想されます。
林農林水産大臣は、開門問題の解決のためには話し合いが必要だとの考えを示され、粘り強く話し合いを呼びかけていきたいと言われていますが、話し合いでの解決の糸口すらいまだに見えない状況であります。
有明海で暮らす漁業者からは、二枚貝類などの漁業不振が長期化する中、期限までの開門調査の実施を信じ頑張ってきましたが、開門されなかったことから、国に裏切られたことに対する怒りの声や、有明海の再生についての先行きが見えないことに対する不満の声が上がっています。
県議会としても、開門調査についてはこれまで多くの決議、意見書を提出し、開門調査の実施を求めてきたところであり、判決の期限までに開門されなかったことについては極めて遺憾であります。
宝の海・有明海の再生は、漁業者だけでなく、誰もが願う共通の目標であり、有明海を一日も早く再生するためには、環境変化の原因の究明のために開門調査を実施するとともに、漁業生産の安定を図るための取り組みも重要であると考えています。
そこで、次の点についてお伺いいたします。
開門調査の実現に向けた今後の取り組みについて、まずお尋ねをいたします。
開門調査について、開門の是非を争う複数の訴訟により事態は複雑になっており、また開門に反対されている長崎県側の状況は依然として強固であり、問題解決のための話し合いについても、その道筋がいまだ見えない状況にあります。
こうした中、開門調査の実現に向けて今後どのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。
次に、有明海の水産資源の回復についてお尋ねいたします。
開門調査の先行きが不透明な中で、漁業者が安定した暮らしを送れるよう、水産資源の回復のための取り組みを積極的に実施することが必要と考えますが、知事の所見を伺います。
◎古川知事 = 次に問三、有明海の再生についてのお尋ねでございます。
まず一問目が、有明海の再生のうち開門調査の実現に向けた今後の取り組みについてのお尋ねでございます。
佐賀県側としては、これまでもさまざまなチャネルを通じて、開門調査の実現に向けて取り組んでまいりました。
これからも引き続きやっていかなければならないと思っております。
こうした中、福岡、熊本との三県連携についても模索をしてまいりましたが、現時点では、開門調査の実現に向け、足並みをそろえて行動をしていくということにはなっていない状況でございます。
県としては引き続き、これまで同様、さまざまなチャネルを通じた開門調査の実現に向けた取り組みを行ってまいりますが、司法がこれだけ混迷をしている中で、どうしても司法、裁判の状況を見ざるを得ないという声があるのは事実でございまして、司法上の行方がどうなるかが一つのポイントだと考えております。
このため、司法の状況をしっかり把握して予測をしていくために、県に法律の専門家を配置することを行ってまいります。
有明海の再生に関連して二つ目の御質問、水産資源の回復についてでございますが、この水産資源の回復というのは、有明海の再生に向けて、開門調査の実施と並んで必要なことであると考えております。
この取り組みについては、これまで国と長崎県を含む四県で調整を図りながら進めてきておりました。
このうち、国が実施してまいりました調査や技術開発事業については、平成二十六年度には終わることになっております。
こうしたことを踏まえて、開門調査に対する立場にかかわらず、四県の関係者が話し合いを行っていきながら、これまで実施してきた水産資源の回復の事業の総括を行った上で、有明海の再生、すなわちここでいう有明海の再生は、水産資源の回復ということでございますが、平成二十七年度以降の事業の継続、拡充や新たな視点からの取り組みなど、国に対して必要な施策の実現を求めてまいります。
県としては、有明海の再生、これは開門調査の実現と水産資源の回復、両方を意味しておりますが、とりわけ水産資源の回復に向けては一層積極的に取り組み、漁業者の経営の安定が図られるように行ってまいります。
四点目は、今後のエネルギー政策についてであります。
まず、原子力発電の必要性について伺います。
エネルギーは、人間のあらゆる活動を支える基盤であり、安定的で社会の負担の少ないエネルギー供給体制の実現は、我が国がさらなる発展を遂げていくための前提条件であると考えます。
今、我が国の全原子力発電所が停止した結果、平成二十四年時点における我が国のエネルギー自給率は六%まで落ち込み、国際的に見ても自給率の非常に低い脆弱なエネルギー供給構造を抱える状況となっています。
この原子力を代替するために、石油や天然ガスの海外からの輸入が拡大することとなり、電源として化石燃料に依存する割合が東日本大震災前の六割から九割に急増しました。
日本の貿易収支は、化石燃料の輸入増加の影響等から、平成二十三年に三十一年ぶりに赤字に転落し、エネルギー分野にとどまらず、マクロ経済上の問題となっています。
また、化石燃料依存の増大により、温室効果ガスの排出量が発電部門を中心に増加に転じており、地球温暖化問題への対応についても困難をもたらしています。
さらに、電気料金も上昇することとなり、電力多消費型産業を中心に企業収益を圧迫し、雇用状況などにも悪影響が生じ始めています。
一方、夏季及び冬季には、電力供給不足による停電を避けるため、政府において電力供給対策が行われており、平成二十四年、平成二十五年に節電要請などの対策が講じられた結果、電力の需給バランスは維持されましたが、老朽火力発電所を含め、火力発電をフル稼働させることで何とか補っている状況にあり、発電施設の故障などにより電力供給不足に陥る懸念は依然として残っています。
こうした中、太陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギーは、地球温暖化対策やエネルギー自給率の向上、エネルギーの多様化などの観点から、今後さらに普及を図っていく必要があると考えます。
しかしながら、平成二十四年度における我が国の再生可能エネルギーの総発電電力量に占める割合はわずか一・六%にすぎず、現時点では再生可能エネルギーは十分な電力供給源とはいえない状況にあります。
こうした我が国のエネルギー事情を考慮すると、原子力発電の依存度については、省エネルギー、再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより可能な限り低減させる必要はあるにしても、現時点では安全性の確保を大前提とした上で、原子力発電を引き続き活用していくべきであると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
次に、新規制基準に対する適合性審査についてお伺いいたします。
原子力規制委員会では、玄海原子力発電所三号機、四号機を初め、これまでに事業者から新規制基準に対する適合性確認のための申請がなされたプラントについて、再稼働の前提となる審査が進められているところであります。
そのような中、同委員会では先般、新規制基準に対する適合性審査の結果を取りまとめるに当たっては、科学的、技術的意見を広く聞くとともに、地元で公聴会を実施することもあるといったことも言われているようであります。
このことについて、今後、県としてはどのように対応していくのかお伺いをいたします。
◎古川知事 = 次に問四、今後のエネルギー政策についてですが、一点目は原子力発電の必要性についてのお尋ねでございます。
原子力政策を含め、国家のエネルギー戦略は、国が責任を持って決めていくべきものであると考えます。
現在、国において新たなエネルギー基本計画の策定作業が行われております。
私としては、中長期的には基幹エネルギーとなり得る代替エネルギーの開発を加速化させ、原子力発電への依存度は下げていくべきだとは考えておりますものの、代替エネルギーの現状を考えたとき、今、直ちに原子力発電を我が国でゼロにするということは現実的ではないと考えておりまして、安全性の確保を大前提として再稼働は必要と考えているところでございます。
次に、原子力規制委員会による新しい規制基準に対する適合性審査についてのお尋ねがございました。
原子力規制委員会による適合性審査に関する公聴会については、規制委員会が審査結果を取りまとめるに当たって、科学的、技術的意見を広く募集し、適宜、審査結果に反映させる手続の一つとして、このように記されております。
「立地自治体からの開催の要請に基づき、その協力を得て共催により、意見募集期間中に実施できること」となっております。
しかしながら、県としましては、この公聴会は、一つはその位置づけや対象、開催範囲などを明確に示した上で開催すべきであること。
規制委員会の責任において、規制委員会の主催で開催すべきであることと考えておりまして、その旨を原子力規制委員会に求めてまいりたいと考えているところでございます。
五点目は、農業行政についてであります。
農業は、食料の安定的な供給という役割はもとより、地域経済社会を支える重要な産業であります。
しかしながら、最近の農業を取り巻く情勢を見ると、農産物価格の低迷が続く一方で、重油や配合飼料などの生産資材価格の高騰が続いており、農家の経営環境は厳しさを増しています。
また、国内市場が縮小傾向にある一方で、アジアを中心とする新興国では、経済発展に伴い、市場規模が質、量ともに拡大し続けているなど、大きく変化をしています。
こうした中、国では、昨年十二月、「農林水産業・地域の活力創造プラン」を取りまとめ、農林水産業の産業としての競争力を強化するために、米の生産調整の見直しを初めとしたさまざまな改革を打ち出されたところであります。
このように農業が大きな転換期を迎えている中で、本県農業が持続的に発展していくためには、今後ともその振興にしっかり取り組み、農家の方々が将来に希望を持って経営に取り組めるようにしていかなければならないと考えています。
そこで、次の点についてお伺いいたします。
まずは、米の生産調整対策見直しへの対応についてであります。
国は五年後をめどに、行政による生産数量目標の配分に頼らずとも、生産者や関係団体が中心となって、円滑に需要に応じた生産が行える状況になるように進めるという方向へ大きくかじを切りました。
しかしながら生産現場からは、「本当に米の需給バランスを保つことができるのか」、「米価が下がり、農家の所得が確保できなくなるのではないか」といった不安の声も聞くところであります。
県では、これまで「さがびより」や、大豆や麦の作付を進めてこられたところであり、最近ではおいしい日本酒への関心が高まる中、酒造好適米の生産拡大を求める動きも見られるところであります。
このような中、米の生産調整の見直しについて、県はどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
次に、畜産の振興について伺います。
本県の畜産については、肉用牛、酪農、養豚、養鶏など多様な経営が県内各地で展開されており、本県農業算出額の約四分の一の三百億円を占める重要な部門となっています。
特に、肉用牛の中でも「佐賀牛」については、本県を代表する高級ブランドとしてその銘柄が確立され、今や国内はもとより、海外でも高い評価を受けています。
こうした中、本県のすぐれた畜産物の生産拡大を図っていくためには、国内での販売促進はもとより、海外をターゲットに「佐賀牛」等の輸出をさらに伸ばしていくことが重要であると考えます。
そうした中、多久市にある県内唯一の食肉処理施設である佐賀県食肉センターについては、設置から三十年以上が経過して老朽化が進み、より高度な衛生管理ができないことや、改修したとしても輸出対応の施設認定が困難であると聞いております。
今後の本県畜産の振興に当たっては、より厳格な衛生基準や「佐賀牛」等の輸出拡大にも対応できるような施設整備の検討段階だと聞いておりますが、県はこのような施設整備について、どのように考えているのかお伺いをいたします。
次に、六次産業化について伺います。
国では、農林水産業の競争力の強化を図るための施策の一つとして六次産業化の推進を掲げ、その市場規模を現在の一兆円から、二〇二〇年までに十兆円にふやすといった大きな目標を設定し、六次産業化への取り組みを強化することとされています。
県内でも、生産者の方々が加工品づくりや消費者への直接販売などに取り組まれていますが、魅力ある商品づくりや販路確保の面で大変苦労されているとの声も聞くところであります。
この六次産業化については、例えば、県内にある地場企業や誘致した食品関連の企業と、地域の農林漁業者や団体とが連携し、事業化を行うようなものももっと進めていく必要があるのではないかと考えています。
県では今後、どのような六次産業化を目指していこうとしているのかお伺いをいたします。
最後に、県産農産物のブランド力の強化について伺います。
県産農産物の有利販売を行っていくためには、国内では消費者に選ばれる高品質な農産物づくりはもとより、イメージアップや認知度向上などの取り組みはこれまで以上に強化し、消費地における県産農産物のブランド力を一層向上させ、他県より際立たせていくことが重要だと考えます。
また、海外では「佐賀牛」やイチゴ、ミカン、「佐賀海苔有明海一番」、佐賀酒など、本県が有する世界に誇れる農産物や加工食品について、ブランドとしての認知度を高め、経済成長が著しい国などへの販路を拡大していくことが必要と考えます。
政府においても、和食ブームや円安が追い風となって農林水産物の輸出が過去最高となったことから、輸出を拡大させ、現在の輸出高が四千五百億円から一兆円へ倍増を目指すということが示されました。
県では、こうした県産農産物のブランド力の強化へ向け、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
◎古川知事 = 次に問五、農業行政についてのお尋ねでございます。
まず一点目が、米の生産調整対策見直しへの対応でございます。
残念なことに、主食用のお米の需要が減少傾向にございます。
人口そのものが減っていることや、高齢化が進んでいることが一つの要因となっている中でございますが、県としては本当に残念に思っているところでございます。
であるとするならば、こういう状況の中、県としては、これまで以上に市場が何を求めているのかという、いわゆるマーケットインと呼ばれる事柄を意識していきながら、需要に応じた生産に取り組むことが重要になっていくと考えています。
まず、主食用米についてでございますが、「さがびより」を核として、佐賀米の評価が一層高まっていくように、生産対策や販売対策にしっかりと取り組みをしてまいります。
また、大豆については、実際にこれらを必要とする実需者からの評価は大変高いものがございまして、転作の基幹作物として、生産性や品質のさらなる向上に努めていきたいと考えております。
さらに今後、転作作物として期待される幾つかのものがございます。
一つは、飼料用米でございます。
これは、生産・流通コストの削減や家畜への給与体系の確立などの課題解決に早急に取り組みながら定着を図ってまいります。
また、「佐賀酒」の評価の高まりに伴って、一層の増産が求められている酒造好適米については、県内の蔵元やJAなどと連携していきながら、作付の推進や栽培技術の向上などに積極的に取り組みまして、地元の米でつくったおいしい日本酒がふえていくように生産拡大に努めてまいります。
水田農業は、大きな変革期を再び迎えております。
今後の国の動向、あるいは需要に応じた米生産の定着状況、これらをしっかりと見ていきながら、本県水田農業のさらなる発展に向けてしっかりと対応をしてまいります。
次に、畜産の振興についてのお尋ねでございます。
昭和五十六年一月に県が多久市に建設をいたしました佐賀県食肉センターは、設置から三十年以上が経過をいたしました。
おっしゃるように、施設は随分老朽化しております。
作業の効率が下がっている、衛生管理に支障が生じてきているなど、更新ということを検討する時期を迎えていることは間違いなく、私も十分に認識をしております。
今後、我が国の人口減少や少子・高齢化が進むことによりまして、国内の食肉需要の伸びがなかなか期待できない中にありまして、本県の畜産の振興を図っていくためには、これまでの取り組みに加えまして、昨年、平成二十五年三月、輸出が開かれたEUなどの新たな海外市場に積極的に売り込むこととあわせて、日本を訪れる一千万人を超える外国人観光客なども視野に入れ、「佐賀牛」などの流通、販売を展開していくことが重要と考えられます。
こうした取り組みに必要となるグローバル対応可能な食肉処理施設については、消費者へ安心・安全な食肉を安定供給するため、HACCPなど厳格な衛生管理を基本に、対EU、対米等への輸出やハラール対応などの機能も具備したものが必要だと考えております。
なお、ハラールについては、国ごとに屠殺方法が異なることや、対EUへの輸出に当たっては動物愛護の観点が求められるなどの課題もございまして、詳しい調査検討が必要でございます。
さらには、口蹄疫などの家畜伝染病に対する危機管理への配慮も重要であると考えております。
こうしたことから、食肉処理施設の今後の整備に当たりましては、これらの観点を十分踏まえ、関係団体ともしっかり協議しながら、鋭意検討しているところでございます。
次に、問五の農業行政の三番目、六次産業化についてお答えをさせていただきます。
六次産業化といいますと、これまでは農林漁業者の方が御自身で販売や加工まで行われる農業経営の多角化の観点というものがございました。
もちろん、これらの取り組みも六次産業化の一つでございますが、今後は、これらに加えまして、商品化や販売力の面で高いノウハウを持っておられる二次産業や三次産業の事業者と、農林漁業者や団体とが連携をしながら、消費者や販売の店舗が求めているものを商品化していくなど、これもまたマーケットインの視点で六次産業化に取り組むことが必要だと考えております。
典型的な例で、既に行っていることとしては、蔵元が地元の米農家と連携をして、県産の酒米で酒づくりを行ったりしているということがございます。
このほか、東京エリアの女性をターゲットに展開している「FACTORY SAGA(ファクトリー サガ)」のプロジェクトでは、健康食でありますシリアルのグラノーラというものの販売専門店、このお店とのコラボレーションで、佐賀県産のイチゴや佐賀県産のノリを使ってグラノーラをつくる、販売するということで、県産食材を使った商品販売や開発を行っているところでもございます。
このように、二次産業や三次産業が持っているニーズと、一次産業の生産力との結びつきによる六次産業化を促進することで、佐賀県ならではの農林水産業ビジネスをつくり出していきたいと考えておりますし、こうした取り組みが、佐賀県の認知度の向上にもつながるものと考えております。
農業行政の四番目、県産農産物のブランド力の強化についてでございます。
こうした六次産業化も含め、県産農産物のブランド力の強化を図っていかなければ、激しい産地間競争に打ち勝つことはできないと思っております。
県産の農産物のブランド化を図ること、そして佐賀県そのもののブランド化を図ること、認知度の向上を図っていくこと、これらは全て三位一体であると私は考えております。
そのため、これまでもさまざまな取り組みをしてまいりまして、国内における激しい産地間競争の中、県内農産物をあえて消費者の方々に選んでいただくためには、さらにはできるだけ高く買っていただくためには、いいものを生産していかなければいけないということとあわせて、その存在を際立たせるような取り組みが必要だと考えています。
現在行っていることで申し上げますと、栽培方法や品質など高い基準、国内一厳しい基準とも言われております基準をクリアした最高級の果物を「Premier─S(プルミエ)」というブランドで市場に投入をして、積極的な情報発信を行っておりまして、現在はイチゴとミカンで行っておりますけれども、これらは出した瞬間に売れるといった非常に高い評価を得ております。
こうしたことによりまして、県産品全体が、これら「Premier─S(プルミエ)」がいわば品質を引っ張っていくという形で、佐賀県産の農産物は高品質だという評価を獲得していくという取り組みを行っているところでございます。
また海外では、大きな市場として有望なアメリカや欧州において国産和牛の輸入が解禁をされました。
また、和食がユネスコの無形文化遺産に登録されて日本食への関心が高まっていることなど、情勢が刻々と変化をしております。
こうした中で輸出促進を図っていくためには、とにかく情勢に敏感であるということが求められると思っております。
新しく起こること、世の中に対して公開されていることもあれば、まだ次に起こることについては公開されていないところもありますけれども、どれだけ敏感に情報をキャッチしていくのか、そして、そのことを自分たちの行動につなげていくのかということが求められると思っております。
輸出促進については、こうした情勢の変化に的確に対処し、対象国や品目をより広げていくことはもとより、現地において本県ブランドの一層の認知度向上に取り組んでいくことが必要であります。
このため、現地の実情に精通した輸入業者等と連携を強化して、これまで以上に招聘事業や店頭プロモーション活動などに積極的に取り組むこととあわせまして、マスメディア媒体への露出をふやすなど、現地における情報発信の強化にも取り組んでいくこととしております。
こうしたブランド力強化の取り組みによりまして、消費者から佐賀県産を買いたいと思っていただけるように、あるいは「佐賀牛」のようにちょっと高くても選んでいただけるようになって、ひいてはこのことが生産者の所得の向上につながるように努めてまいります。
六点目は、森林の整備と林業の振興についてであります。
我が国の国土の約七割を占める森林は、木材の供給のみならず、国土の保全や水源の涵養、地球温暖化の防止など多面的機能を通じて、私たちの日常生活に欠くことのできないさまざまな恩恵をもたらしています。
しかしながら、長引く木材価格の低迷により林業生産活動は停滞し、間伐などの手入れがなされず荒廃した森林が増加し、森林の有する多面的機能の低下が懸念されています。
このような中、国においては、森林・林業基本計画に基づき、森林の有する多面的機能の発揮と林業の持続的かつ健全な発展に向けて総合的な施策が講じられています。
特に地球温暖化の防止については、森林吸収源対策として、毎年五十二万ヘクタールの間伐などの森林整備等を進めていくこととされています。
県においては、平成二十年度に「佐賀県森林環境税」を導入し、県民協働による荒廃森林の再生に取り組まれ、一定の成果があったものと考えています。
県内にはまだ多くの荒廃した森林が存在していることなどから、引き続き計画的な森林の整備を進められることを期待しているところであります。
一方、戦後を中心に造成された全国約一千万ヘクタールの人工林を活用して、林業を産業として再生することが重要な課題となっています。
国では、木を使うことにより森を育てるということを目的に、公共建築物木材利用促進法を制定し、公共施設等での木材利用に努めるとともに、国産材の加工技術の向上にも官民挙げて取り組まれ、これまで以上に幅広い分野での木材需要の拡大が進んでいると聞いています。
このような取り組みの結果、我が国の木材自給率は着実に上昇しており、最近では木材価格も上昇傾向にあるなど、明るい兆しも少し見えてきました。
また、本県においては、佐賀平野における間伐材などを利用したクリーク防災事業が本格化するなど、県産木材の利用は広がりを見せており、大いに期待しているところであります。
林業は、これまでの育てることに重点を置いた時代を脱して、木材を生産し、そこから利益を得る新しい時代に入ってきているのではないでしょうか。
そこで、次の点についてお伺いいたします。
森林の整備について、まずお尋ねいたします。
県においては、いまだ多くの荒廃した森林が存在し、森林の有する多面的機能の低下が懸念される中、今後の森林整備についてはどのように進めていくおつもりなのかお伺いをいたします。
次に、林業の振興についてお伺いいたします。
林業を取り巻く環境が大きく変化する中、今後、林業の振興にどのように取り組んでいくおつもりなのかお伺いをいたします。
◎古川知事 = 次に問いの六番目、森林整備と林業の振興についてのお尋ねでございます。
まず一点目が、森林整備についてでございます。
県では、森林の機能が将来にわたって十分に発揮されることを目的として、平成十六年に「新しい佐賀の森林(もり)づくりビジョン」を策定しました。
このビジョンに基づいて、杉、ヒノキの人工林の適切な管理や針葉樹と広葉樹がまじり合った森林への誘導など多様な森林(もり)づくりに取り組んでおりまして、荒廃森林の解消などに努めております。
また、この多様な森林(もり)づくりを進めるに当たりましては、多くの県民の参加が必要でございまして、これとあわせて林業の振興を図ることも重要だと考えています。
このため、具体的には県や市町による公的な森林の整備、CSOによる森林保全活動への支援、林業者による森林整備への支援など、森林環境税事業を含めて、各種施策を通して、森林保全と林業振興の両面から効率的かつ効果的に森林の整備を進めることにしております。
今後とも、荒廃森林の解消を図ることはもちろんでございますが、さまざまな機会を通じて情報を発信し、森を守り、育てていくことの大切さに対する理解の醸成を図りながら、県民協働による多様な森林(もり)づくりに努めてまいります。
次に、林業の振興についてでございます。
議員御指摘のように、育てることに重点を置いた時代から、木材を生産し、そこから利益を得る新しい時代に入ってきたという認識を私も全く同じように考えているところでございます。
これをどのようにして活用するか、私どもに知恵が求められていると考えております。
近年、世界的な木材需要がふえている中で、輸入量が大きく減少をしております。
これは、これまでと大きく状況が変化していることだと思っておりまして、すなわち国産材の需要が増加をしているということでございます。
こうした状況をチャンスと捉えなければなりません。
そのためには、高性能の林業機械の導入など、まず生産コストを低減させていくこと、下げていくこと、そして、そもそも林業に携わっていただける高度な技術を持つ担い手の育成にこれまで以上に力を入れていかなければならないと思っております。
また一方で、出口対策として、公共事業に県産木材を利用することが必要になってまいります。
県では、既に公共施設にも県産木材を利用しておりますし、県独自の取り組みとしてクリーク防災事業への活用なども行っているところでございますし、民間の木材住宅への利用推進というものについても引き続き積極的に取り組んでまいります。
また、こうした取り組みに加えまして、木のよさ、県産木材を使うことの意義、こうしたことについても、広く県民の皆様に理解をしていただかなければならないと考えております。
時代は再び、林業、森、木の時代がやってきていると私も思っているところでございます。
今後ともこうした取り組みを積極的に推進することによりまして、林業や木材産業の関係者が意欲と希望を持って取り組めるように、本県林業の振興にしっかりと努めてまいります。
七項目めは、佐賀県の成長戦略についてであります。
国において、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略という三本の矢から成るアベノミクスを打ち出し、失われた二十年からの脱却を目指し、我が国の経済再生に向けて取り組んでいます。
三本目の矢である国の成長戦略、日本再興戦略は、昨年六月に決定され、その実行を加速し、強化するため、昨年十月には成長戦略の当面の実行方針がまとめられるとともに、産業競争力強化法や国家戦略特区法など、成長戦略の推進に関連する法律が臨時国会で可決、成立いたしました。
先月には産業競争力強化法に基づき、成長戦略関連の重点施策の実行を加速化、深化させる「産業競争力の強化に関する実行計画」が決定されるなど、成長戦略の迅速かつ着実な実施に向けて作業が進められています。
こういった中、一月の月例経済報告では、景気の基調判断について、昨年十二月までの「緩やかに回復しつつある。
」から「緩やかに回復している。
」とし、四カ月ぶりに上方修正されるとともに、今国会の施政方針演説において、安倍首相は景気回復の実感を全国津々浦々にまで届けようではないかと述べられており、経済再生の取り組みが、本県を含む地方、そして中小企業に及び、県民が景気回復を十分に感じられるようになることを大いに期待しているところであります。
本県においても、企業誘致、中小企業への支援、観光振興などさまざまな産業振興施策に取り組まれていますが、県におかれては、日本再興戦略など国の動きも踏まえるとともに、本県の将来をしっかりと見据えながら施策の推進に努めていただきたいと考えています。
そこでまず、認知度向上の取り組みについてお尋ねをいたします。
県内産業をより一層成長させるためには、何よりも佐賀県の認知度向上が必要であり、そのためには情報発信の取り組みが欠かせないと考えています。
県では、今年度から東京エリアにおいて、新しい情報発信の取り組みとして、企業やブランド等とコラボレーションしていく情報発信プロジェクト「FACTORY SAGA(ファクトリー サガ)」に取り組まれています。
今年度は、若い女性に人気の出版社、宝島社とのコラボレーションやシリアルの一種、グラノーラ専門店「GANORI」とのコラボレーションを展開されていますが、認知度向上のために今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
続いて、雇用の場の確保という点から質問をいたします。
去る一月三十一日に佐賀労働局が発表した県内の十二月の有効求人倍率は〇・八三倍と、四カ月連続して増加し、過去二十年で最も高い数値となっています。
また、今春卒業予定で就職を希望する県立高校生の就職内定率も、昨年十二月末現在で九三・六%と過去十年間で最も高くなっており、国内の経済対策により、ようやく県内においても景気回復の動きが見られるようになってきたのではないかと思っています。
一方、新規高卒者の県内就職率を見ると、その割合は毎年度六割程度にとどまっています。
今後も佐賀県が発展していくためには、多くの若者に佐賀県に住んでいただくことが不可欠であり、その環境づくりのためにも、しっかりと雇用の場の確保に努めていただきたいと考えています。
そこで、県においては、今日の経済情勢を踏まえ、今後、企業誘致にどのように取り組んでいくのか。
また、雇用の場の確保のためには、企業誘致とともに地場企業を発展させていくことが大切ですが、県は地場企業の支援のため、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
次に、国際戦略と観光振興についてお尋ねいたします。
県では、これまで以上の国際戦略の推進と世界を意識した観光施策の推進に取り組んでいくため、関連性が深い国際部門と観光部門で構成する国際・観光部を来年度新たに設置することとされており、私も今回の組織改正には大いに期待するところであります。
現在、世界ではあらゆる分野でグローバル化が進展していますが、国内においては人口減少や少子・高齢化に伴い市場の縮小が避けられない状況にあり、今後、佐賀県が持続的に発展していくためには、とりわけ国際戦略と観光施策の推進に力を入れていく必要があると考えています。
そこでまず、国際戦略についてお尋ねをいたします。
県議会の国際交流推進議員連盟において、昨年一月、ミャンマーへ、そして、ことし一月には発展著しいベトナムへと視察に行かせていただきました。
ミャンマーは最後のフロンティアと呼ばれ、日本経済界も注目するところであり、電力や上下水道の整備はこれからですが、これが整えば魅力はさらに増すと思います。
ベトナムにおいても、進出してもらうための優遇措置などがすごく手厚いものがあり、日本企業を渇望している様子がうかがえました。
古川知事も一度ベトナムへ足を運んでいただき、我々がお会いしたハナム省の知事さんにもお会いいただければ、その実態がよくおわかりいただけると思います。
ぜひ御検討いただければと思います。
県では、瀋陽、香港、上海の海外拠点を設置し、県産品の販路拡大や県内企業の海外展開、学校間交流の促進など、国際戦略に基づくさまざまな取り組みが進められています。
私は、これからの国際戦略に関しては、開設から二年半となる海外拠点の検証を行うとともに、今後は東南アジアを初め、全世界に視野を広げることも必要であると考えています。
さらに、海外の活力を県内に取り込み、佐賀県を持続的に発展させていくためには、外国人と共生する地域づくりにも力を入れるべきであると考えます。
県は、今後の国際戦略の方向性についてどのように考えているのかお伺いをいたします。
次に、観光振興についてお尋ねいたします。
私は、観光の振興に当たっては、本県の認知度向上のための情報発信はもとより、観光客を直接呼び込むための交通手段の整備、新たな観光資源の誘致や既存の観光資源の磨き上げなどさまざまな施策を行っていくことが必要であると考えています。
外国人観光客を直接呼び込むための交通手段としては、現在、有明佐賀空港に上海便とソウル便がおのおの週三往復で運航していますが、昨年十二月にオープンした国際線専用施設の有効活用の観点からも、上海便やソウル便に次ぐ新たな国際線の誘致が有効であると考えます。
また、近年「ななつ星」や「海幸山幸」、「いさぶろう・しんぺい」、「はやとの風」、「A列車で行こう」など全国的に脚光を浴びている観光列車、JR九州さんではこれをD&S列車と言うそうであります。
ちなみに、D&Sとはデザイン・アンド・ストーリー、沿線地域の文化や歴史など御当地のストーリーに基づいてデザインされた列車であるということであります。
このD&S列車も、本県で実現すれば鉄道そのものが観光目的になりますし、また、観光客を呼び込む有効な手段となり得るのではないかと考えています。
さらに、カジノ施設の立地が可能となる「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」が昨年十二月の臨時国会へ上程され、ことしの通常国会で審議される予定となっています。
この法案が成立し、現実のものとなれば、観光客、特に海外からの観光客誘致、ひいては地域の活性化の起爆剤となり得るものであり、本県でも前向きに対応するべきだと考えます。
加えて、本県に実際に来ていただいた観光客に各地域で満足していただくことが本県の観光地としての評判の向上には不可欠であり、リピーターの確保にもつながるものと考えられることから、各地域における受け入れ環境の整備など、おもてなしを向上させることも必要です。
県では、交通手段の整備を初め、D&S列車の誘致やカジノ施設の立地が可能となる特定複合観光施設区域の認定、受け入れ環境の整備などの施策にどのように取り組むのかお伺いをいたします。
次に、国際リニアコライダーの誘致についてお尋ねをいたします。
国際リニアコライダーについては、脊振山地が大規模な素粒子物理学の国際研究所の立地候補として挙がっており、それが実現すれば佐賀県の成長の大きな起爆剤になるものと期待していたところであります。
しかしながら、昨年夏に研究者グループから「ILCの国内候補地として、北上サイトを最適と評価する。
」との評価結果が公表されました。
ただし、ILCに対する国の正式な取り組み方針は示されておらず、脊振地域が選ばれる可能性が全くなくなった状況ではありません。
そこにチャンスが少しでもある限りは、今後も引き続き福岡県と一緒になって脊振地域への誘致実現に取り組んでいくべきだと思いますが、このことに対するお考えをお伺いいたします。
◎古川知事 = 次、七番目のお尋ねは、佐賀県の成長戦略についてでございます。
まず一点目が、認知度向上の取り組みについてでございます。
地域の産業を発展させて成長を実感していくためには、例えば、県産品の購入や旅行など、消費者を具体的な行動に結びつける必要がございます。
そのためには、例えば、こういういいものがあるんだなということを消費者に知っていただく、ああ、すてきな場所があるんだなということを知っていただくというように、行動を起こすために必要な情報が消費者に届かなければなりません。
今年度から展開しております情報発信プロジェクト「FACTORY SAGA(ファクトリー サガ)」は、いわばそのための先駆けの取り組みでございます。
三十代を中心とする女性をターゲットにして、企業やブランドなどとコラボレーションをして佐賀県の情報を届けることで、佐賀県の魅力と触れる接点をつくっていこうというプロジェクトでございます。
こうしたことによって、佐賀県の存在感やイメージの向上を実現させていきたいと思っております。
今年度は、議員からもございましたが、三十代の女性という我々が目指すターゲットに非常に親和性が高い、親しみがある、支持されている出版社、宝島社とのコラボレーションを行っておりまして、このほか、先ほどお話のございましたグラノーラの専門店の「GANORI」、あるいは「ロマンシングサ・ガ」という大変人気のあるゲームコンテンツを開発している会社、スクウェア・エニックス、こうしたところとのコラボレーションをスタートさせたところでございます。
こうしたものは、いろんなところでいろんな人から大きな反響を得ているところでございまして、一番最近行ったのは、この「ロマンシング サ・ガ」、名前がたまたま「サガ」で、佐賀県の「佐賀」と一致するということでコラボレーションを行いましたけれども、特にインターネット上では非常に大きな反響を呼んでいるところでございまして、もともと音が一緒ということで、いつか何かやるかなと思っていたけれども、こうした形でやったのはすばらしいといった意見などが寄せられているところでございます。
また、女性の目線で宝島社からブランドムックを発行していただきました。
佐賀県は、旅行をしようにも一般的に発売されている旅行本が非常に少ないというところがありまして、このムックや旅行雑誌というものにおける情報提供というものに力を入れていかなければならないという観点で取り組みを行ってまいりましたが、宝島社の協力を得て、付録に有田焼をつけるという日本初の試みも加えて今回ブランドムックを発行して、二十代、三十代の女性から見たときに魅力のある佐賀県というものをテーマに情報発信をしたところでございます。
また、これとは別に「d design travel」というところからデザインに焦点を当てた佐賀県の紹介本も出ておりまして、これもまた大変な評判を呼んでいるところでございます。
やはり認知度向上のための取り組みは、やっていけばいくほどいろんな意味で反応があると思っているところでございまして、これまで取り組みが足りなかったということを反省するとともに、この認知度向上の取り組みについては、来年度はもっとしっかりやっていかなければならないと改めて感じているところでございます。
来年度は、佐賀県の情報がより多くのメディアで取り上げられるように専門の会社の活用も考えているところでございますし、先ほども申し上げたように、この佐賀県の情報がさまざまなところで取り上げられるためには、あるいは発信されていくためには、職員の意識を大きく変えなければいけないと思っております。
全ての職員が、自分たちが行う事柄が、誰に対してどれだけ届いていて、それがどういう行動に結びついているのかということを強く意識してもらわなければならないと思っておりまして、こうしたことを強く意識していただいて、県内外に情報をより多く届けていきたいと考えております。
こうした取り組みによりまして、物産や観光だけでなく、県政のさまざまな分野、医療や福祉についても同じでございますけれども、県として取り組んでいる事柄が、必要とする人たちにきっちり届くようになっていくと考えているところでございます。
今後とも、こうしたことに力を入れていくことによりまして、最終的には県内産業の成長につなげていきたいと考えているところでございます。
二番目が、雇用の場の確保についてでございます。
今年度に入りまして、企業マインドや設備投資意欲が改善傾向にございます。
今こそ、企業誘致や地場企業の発展を推進するチャンスであると考えております。
現在、環境・エネルギー関連産業、健康・医療関連産業、食品関連産業を重点誘致産業と位置づけておりまして、多くの新規学卒者の雇用が見込まれるなど、雇用効果の高い企業の誘致に積極的に取り組んでまいります。
また、唐津コスメティック構想の取り組みが本格的にスタートすることになりますので、化粧品関連産業も重点誘致産業に位置づけます。
また、海外の成長を取り込む外資系の誘致についても全力で取り組みをしてまいりたいと思っております。
地場企業の支援につきましては、国の競争的資金なども活用した研究開発支援を初め、トライアル発注制度や新年度から取り組みますデータ&デザイン新市場創出事業などによりまして、新商品の開発や販路開拓の支援にも取り組んでまいります。
さらには、県の制度金融による設備投資支援など、商工団体などともしっかりと連携をして、地場企業の発展のために積極的に取り組んでまいります。
いずれにしても、一人でも多くの方が地元佐賀県で働くことができるように積極的に企業誘致や地場企業の育成に取り組んで、さらなる雇用の場の確保に努めてまいります。
成長戦略の三番目、国際戦略と観光振興についての一番目、国際戦略についてのお尋ねでございます。
今後の国際戦略の方向性についてというお尋ねでございますが、経済の取り組みについては、今後、瀋陽は中国東北部の投資環境に関する情報収集、香港は「佐賀牛」を主とした県産品の販路拡大の地道な取り組み、上海は取引件数の拡大に力を入れていかなくてはならないと考えております。
また、青少年交流や観光客誘致等については、人や文化など多様な分野における交流のパイプをさらに太くしていき、それぞれの地域と佐賀県とをしっかりと結びつけるための拠点としていきたいと考えております。
さらに、こうした活動の実績について、県民や県内企業に情報を発信することについてもしっかり取り組んでまいります。
このような東アジアでの活動に加えまして、近年では県内企業の東南アジア展開や有田焼のヨーロッパ展開、唐津コスメティックバレー構想、アメリカへの「佐賀牛」輸出など、さまざまな地域、分野で新しい展開をスタートさせ、国際社会における経験と実力も少しずつ身につけてきたところでございます。
平成二十三年六月に策定した県の国際戦略は、計画期間の三年が終了することしの六月に改定をすることにしております。
次期の国際戦略では、巨大マーケットであり続ける隣国中国との経済交流をさらに進めるとともに、今日におけます国内外の情勢変化や新しい動きを踏まえて、全世界的な展開を視野に入れながら新しい変化にも柔軟に対応できるものにしたいと考えております。
今後、佐賀県が国際社会の中で海外の活力を取り込み、力強く生き抜いていくためには、海外の文化、宗教、価値観、生活習慣などの違いを理解しながら、お互いにメリットを得るような関係を国際社会との間に築いていくことが必要になります。
そのためには、県内に外国人観光客や外国人留学生などを数多く受け入れることで、外国人を理解し外国人と共生する社会づくりを進めていくことが重要であると考えておりまして、次期国際戦略の大きな柱の一つとして推進してまいります。
問七、成長戦略のうち、国際戦略と観光振興の最後、観光振興でございます。
そのうち、まず交通手段の整備についてのお尋ねがございました。
県では今後の本県の継続的な発展を実現するための一つの手法として、上海便、ソウル便の誘致を行いました。
昨年十二月に国際線専用施設がオープンしましたので、国際線の運航ダイヤの自由度が増すことになりました。
今後の新たな国際線の誘致活動にさらに弾みがつくものと考えております。
昨年一年間で日本を訪れた外国人の数は一千万人、政府では二〇二〇年には二千万人、二〇三〇年には三千万人と数をふやしていくことを目指しております。
こうしたことを考えますと、交通手段はまだまだ足りないと私どもとしても認識をしております。
県としては、これまで訪日外国人観光客が多い台湾や香港といった東アジア地域のLCCを中心に誘致活動を行ってきております。
タイミングを逸することのないよう、引き続きしっかりと取り組んでまいります。
次に、観光列車の誘致についてでございます。
観光列車の誘致については、地元沿線の熱意が何より重要というのがJR九州の意向でございますので、例えば唐津線沿線自治体が中心となって、地域の特色を生かした臨時観光列車の運行に取り組むとともに、JR九州に対して地元の熱意を伝えるなどをしてまいりました。
しかしながら、まだ実現していないということは、まだまだそれが足りないということだろうと考えております。
こうした動きに加えまして、沿線の観光資源の磨き上げにも取り組みながら、ぜひとも観光列車の実現に向けて取り組んでいきたいと考えております。
次に、特定複合観光施設区域の認定について、いわゆるカジノといったものでございますが、仮に本県の一部がこうした区域に認定されれば、カジノ施設を含む特定複合観光施設と呼ばれるものの立地が可能となります。
本国会で審議される法案は、基本的な骨格だけを示した推進法案となっておりまして、具体的な内容については推進法案の成立後に改めて制度設計されることになっております。
本県としては、当面は法案の行方を見ていきたいと考えておりますし、来るべきときに備えて情報収集にもあわせて努めてまいります。
次に、受け入れ環境やおもてなしの向上についてのお尋ねでございます。
観光客、とりわけ外国人観光客をふやしていくためには、受け入れ環境の整備が必要であります。
それによって観光客の満足度を高めていかなければなりません。
外国人観光客が我が国に来られた際に不満に思われていることが三つ、四つあると言われております。
一つ目がWiFi環境の問題、二つ目が言葉の問題、三つ目が両替所が少ないということ、そして四つ目がクレジットカードが使える店が少ないと言われております。
こうした事柄について、外国人観光客が不便を感じないように、県としてできることは取り組んでいかなければいけないと思っております。
そのために、まず、公衆無線LAN環境の整備支援について、広く観光客が訪れる場所まで拡大していくことを今回目指しておりますし、あわせて多言語のコールセンターを開設することも行う予定にしております。
さらには、両替所についても、普及について啓発をしていき、両替所の数をふやしていきたいと考えているところでございます。
こうした受け入れ環境の整備を充実させていくことによって、外国人の方々が観光しやすい地域にしていきたいと思っております。
新年度からは新しい体制のもとで、これまで以上に多くの観光客に本県を訪問して滞在していただくことができるように、総合計画では非常に高い目標を掲げておりますので、その実現に向けてしっかりと取り組んでまいります。
成長戦略の最後が、リニアコライダーの誘致についてのお尋ねでございます。
ILC──国際リニアコライダーの国内候補地については、素粒子物理学の研究者グループの立地評価結果は出されましたが、下村文部科学大臣が、研究者の出した提案がそのまま採用ということではないと述べられるなど、国としての判断はまだ示されておりません。
一方、文部科学省からの審議依頼を受けました日本学術会議からは、ILCそのものについて、国内の実施体制や海外からの研究者の参加の見通し、必要経費の国際分担の見通しなどの不確定要素を指摘した上で、国において二年から三年をかけて集中的な調査検討を進めることとの所見が示されました。
今後、国において、こうした課題に関して調査検討が進められますが、まずは将来的な実施の可否判断を行う際のデータ収集を行うとされておりまして、立地場所の検討はその後の議論になると聞いております。
ですので、当面は文部科学省における調査検討の状況を注視していくことになります。
いざ日本で実施するとの判断がなされた際には直ちに対応できるように、福岡県や経済界とも連携しながら、研究者からの情報収集や国との意見交換などに引き続き取り組んでまいります。
八点目は、有田焼創業四百年事業についてであります。
本県の地場産業の有田焼は、二年後の二〇一六年に創業四百年を迎えますが、現状としては、長引く消費の低迷などもあり、売り上げはピーク時の五分の一以下に激減し、窯業界はかつてない厳しい状況にあります。
こうした中、県では、有田焼創業四百年を機に日本磁器発祥の地としての誇りと自信を取り戻し、低迷している産地を再生していくため、昨年九月に「有田焼創業四百年事業『佐賀県プラン』」を取りまとめられたところであります。
現在、このプランに沿って順次事業に着手されていますが、海外での市場開拓に向けては、知事も先頭に立ってオランダ王国大使館とのクリエイティブ産業の連携協定や、フランス・パリでのプロモーション活動などに積極的に取り組まれています。
聞くところによれば、プロモーションの反応もよかったと聞き及んでいます。
そのような中、今議会に提案されている平成二十六年度当初予算額での事業費は五億円を上回り、今年度予算額の四倍へと増額されており、海外展開を主体とした市場開拓を初め、産業基盤の整備、国内外への情報発信など、引き続き意欲的に事業を推進されようとしています。
ただ、その一方で、県内の状況を見ると、地元有田町ではいち早く実行委員会が設置され、既に取り組みは始まっているものの、ルーツを同じくする県内の他産地や県民の皆さんへの浸透度は、まだ決して高いとは言えない状況にあります。
有田焼は本県を代表する地場産業であり、また貴重な観光資源でもあります。
この有田焼が創業四百年という大きな節目を迎えようとしており、これからの取り組みに当たっては、事業計画にもある伝統的工芸品全国大会の開催による県内の伝統的地場産品のPRなどを通して県内での盛り上げを図りながら、その効果を全体的に波及させていくことも必要であります。
そこで、この有田焼創業四百年事業について、これまでの取り組みを振り返りどのように評価されているのか。
また、二年後に迫った二〇一六年に向け、今後どのように取り組まれていくのか知事の所見をお伺いいたします。
◎古川知事 = 八番目が、有田焼創業四百年事業についてでございます。
有田焼創業四百年事業は、昨年九月に佐賀県プランを策定しました。
これに沿って、早急に着手すべきものから順次事業化しながら推進しております。
このプランの最終年度で、創業四百年となる二〇一六年、平成二十八年を目標年次と捉えれば、まだスタートしたばかりということになります。
したがいまして、今の時点で事業の成果について云々できるものではございませんが、オランダ王国大使館との協定締結やパリでのプロモーションの反応など、世界のトレンドをリードする欧州でのリブランディングや市場開拓に向けて一定の手応えを得たところでございまして、よいスタートが切れたのではないかと考えております。
一方、国内におきましては、東京五輪の開催決定や和食の無形文化遺産への登録など、陶磁器業界にとって新たな市場開拓の好機となる状況が生まれておりまして、こうした中、業界関係者からは国内での市場開拓に向けた取り組みを望む声も上がっております。
こうした状況も踏まえまして、平成二十六年度におきましては、新商品開発などを通じて欧州における市場開拓に取り組むこととあわせて、国内の市場における需要の喚起、拡大につながるような事業にも取り組んでいくこととしております。
また、御指摘のように、創業四百年を迎えます有田焼は本県を代表する地場産業でございまして、あわせて観光資源でもございます。
事業の推進に当たりましては、伊万里、武雄、嬉野、有田の四市町にまたがる伊万里・有田焼産地全体で取り組むとともに、県全体に浸透させていくことが重要であると考えております。
このため、県が昨年十月に設立をしました実行委員会には、関係の四市町のほか、佐賀県観光連盟や佐賀県芸術文化協会などにも参画をしていただいて、相互に連携協力しながら取り組みを進めております。
平成二十六年度におきましては、こうした体制のもと、伊万里・有田焼の特別企画展を開催して、肥前磁器の魅力を発信するとともに、国などが主催をされます伝統的工芸品全国大会を関係市町や関係団体との連携により開催して、焼き物文化とあわせて県内の伝統的地場産品を全国に発信することとしております。
有田焼創業四百年事業におきましては、ルーツを同じくする磁器産地が一つになり、産地再生に取り組みますとともに、有田焼を核として、観光や文化などほかの分野とも連携をして、広がりのある事業展開を図ることによりまして、「SAGAブランドの確立」や「佐賀県のプレゼンスの向上」を目指してまいります。
九問目は、TPP協定についてであります。
我が国は、昨年七月からTPP交渉会合に参加し、これまでマレーシア、ブルネイ、インドネシア、シンガポールなどでの交渉会合に挑み、参加国との交渉を行ってきました。
昨年十二月にシンガポールで開催された閣僚会合では、目標とされていた平成二十五年末までの交渉妥結に向けた調整が行われましたが、関税撤廃を議論する物品市場アクセスの分野を初め、国有企業の取り扱い、知的財産の保護などの分野で交渉が難航したとされ、妥結には至らなかったところであります。
我が国は、これまで物品市場アクセスの分野では、農産物の重要五項目を守るという姿勢で交渉を続けてきましたが、二十二日から開催される閣僚会合を前に、甘利TPP担当大臣から重要五項目について、「一つ残らず微動だにしないということでは交渉にならない」という発言があったほか、政府が牛肉、豚肉の関税を引き下げるなどの譲歩案を検討しているとの報道もあり、TPP交渉の行方に懸念が広がっています。
現在、シンガポールにおいて、あすまでの日程で閣僚会合が開催されていますが、仮に重要五項目の関税が撤廃される方向になれば、安い農産物が大量に輸入されることになり、本県を初め地域の農業が大きな打撃をこうむることは明らかであります。
TPP交渉については、今後とも国益をかけた極めて厳しい交渉が続くと予想されますが、衆参両院の決議を守るということが政府の交渉方針となっていますので、政府はいかなる状況においても国会決議を守る姿勢を断固として貫き、しっかりと交渉を続けてほしいと考えています。
また、政府は今もなお、交渉内容について十分な情報を開示していません。
TPPは、食の安全、医療、保険、ISD条項など国民生活に直結する問題であり、国民に対する情報開示は不可欠であり、早急に十分な情報開示を行うべきだと考えています。
県議会も、これまでTPPについて反対の意見書を五回、全会一致で可決をしています。
知事と一緒に要請活動も行ってきました。
TPP交渉が大詰めを迎える中、県は国に対して改めて行動を起こすべきだと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
◎古川知事 = 次に、問いの九番目、TPP協定についてのお尋ねでございます。
昨年三月のTPP交渉への参加表明に当たりまして、安倍総理はあらゆる努力によって日本の農や食を守ると言われました。
これまでの交渉においても、我が国は一貫して農産物の重要五項目を守り抜くという姿勢で交渉を続けてまいりました。
TPP交渉については、県は国に対し、交渉力を駆使し、守るべきものは守り、攻めるべきものは攻めることにより、国益にかなう最善の道を追求し、粘り強く交渉していただきたいということをこれまで幾度も要請してきたところでございます。
しかしながら、今回のシンガポールでの閣僚会合に臨むに当たり、甘利TPP担当大臣が重要五項目の関税について一部譲歩の可能性を示唆する発言をされておりまして、現在開催されている閣僚会合、あるいは今後の交渉において重要五項目が守られるのかどうか、予断を許さない状況にあると考えております。
県としては、TPP交渉の行方に重大な危機感を持っておりまして、安倍総理が国民に約束されたことや、国会決議の重みを十分踏まえて、重要五項目を守り抜くよう、これまでの県議会の議論も踏まえ、時期を逃すことなく、国へ申し入れをしてまいります。
十問目は、医療行政についてであります。
昨年は、佐賀県医療センター好生館の移転新築や九州国際重粒子線がん治療センターの開設、さらに第六次佐賀県保健医療計画や第二次佐賀県がん対策推進計画がスタートするなど、県全体の医療行政において大きな節目の年であったと感じています。
県内各地に目を向けると、西部医療圏では平成二十四年三月から伊万里有田共立病院が新たな地で、地域のかなめの医療機関として診療を開始し、北部医療圏では地域の中核医療機関である唐津赤十字病院が、平成二十八年五月の移転改築を目指し、着々と準備を進められていると聞いています。
しかしその一方で、医療機関としてその機能を十分に発揮してもらい、県民誰もが安心して医療を受けられる環境を整えるためには、施設や設備面といったハードの充実だけではなく、そこで働く医師や看護師等の人材確保を初め、さまざまな課題があると考えます。
去る一月十七日、本県独自のドクターヘリの運航が開始されました。
県民の命を守るという重要な使命を携え、県民の大きな期待を背負い、真新しい機体が佐賀の空へ飛び立っていきました。
かつて佐賀は、全国に先駆けた種痘が実施されるなど医療の先進地として名をはせた地でありますが、この歴史と伝統を踏まえ、県の医療体制の充実に向けた新たなステップへの飛躍を強く願うところであります。
そこで、本県の医療体制の充実に向けて、次の点について伺います。
まず、医師、看護師の確保についてであります。
全国的な医師不足の状況の中、県内の公的病院などにおいても、産科や小児科など不足診療科の医師確保には大変苦労されていると伺っています。
県では、これまでも修学資金制度やさまざまな事業を活用しながら医師確保に取り組まれていますが、いまだ特定の診療科や地域による偏在が見られるなど、医師数が必ずしも十分とは言えません。
また、看護師は医師とともに医療提供体制を支える重要な人材であり、今後、患者にとって一番身近な存在である看護師の役割はますます大きくなっていくものと考えますが、需給見通しでは今後も不足が見込まれると聞いております。
県の医療体制を支える医師、看護師の確保について、県は県民の命を守るという重要な施策として、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
続いて、救急医療について伺います。
県では、県内の救急車にタブレット型端末iPadを配備し、救急隊員が現場で受け入れ可能な救急医療機関などを確認できるという先進的な救急医療情報システムを導入しました。
また、先月十七日には時速二百六十キロメートルで県内全域を短時間でカバーできる佐賀県独自のドクターヘリが運航されています。
先ほど申し上げました。
今後も県民の安全・安心のため、地域救急医療のさらなる充実を求めていきたいと考えていますが、県としては今後、救急医療の整備をどのようにしていくお考えなのかお伺いをいたします。
次に、がん対策についてお伺いいたします。
今議会に提案されている「佐賀県がんを生きる社会づくり条例(案)」には、働く世代のがん対策の充実も、がんの予防、早期発見、治療などとともにうたわれており、他県にはない特徴だと思っております。
働き盛りの方ががんにかかると、本人が不本意ながら仕事をやめざるを得ないという状況もたびたびあると耳にしており、職場の理解も含めて、仕事と治療が両立できる環境が重要であると考えます。
また、がん検診はがん死亡率の低下に即効性があると言われておりますが、県民のがん検診受診率は依然として低く、がん検診受診率をいかに高めていくかが課題となっています。
県としては、がん対策をどのように進めていくのか、知事の所見をお伺いいたします。
続いて、難病対策についてお伺いいたします。
県議会では、難病の患者さん及びその家族の方々を支援するため、佐賀県議会難病対策推進議員連盟を結成し、勉強会や先進事例調査を行い、難病対策について日々研さんに努め、知事への政策提案等を行っています。
難病患者の方は、病気の原因が不明で治療法も確立しておらず、慢性化していることから、療養上の悩みや不安を抱えて生活しておられ、家族の方も介護や精神的な負担が大きいのが実情であります。
佐賀県内にも特定疾患だけで六千人近くの患者さんがいますし、特定疾患以外の人数については把握すらされていないと聞いております。
また、小児の難病患者は八百人弱、しかし、二十の誕生日を過ぎると病気が治ることはないのに医療費の公費負担はなくなってしまいます。
そういう現実の中で、今国会に「難病の患者に対する医療等に関する法律案」が提案されています。
法案には、新たな医療費助成制度や難病の医療に関する調査及び研究の推進などがうたわれており、難病対策の一層の取り組みが期待されるところであります。
県としては難病対策をどのように進めていくのか、知事の所見をお伺いいたします。
最後に、国民健康保険の都道府県移管についてお伺いいたします。
国民健康保険は、制度発足から約半世紀にわたって国民皆保険の中核として国民の健康を支えてきました。
しかし、現在では増大する医療費に対して十分な保険料収入の確保が難しく、財政運営は非常に厳しい状況が続いています。
このような中、国民健康保険のあり方について社会保障制度改革国民会議で議論、検討が行われ、昨年十二月には「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」、通称社会保障制度改革プログラム法が制定され、その中に国民健康保険の運営について、財政運営を初めとして都道府県が担うことを基本とする旨明記されたところであります。
国民健康保険は医療を支える基盤的な制度であり、県民が安心して生活できるよう、将来にわたって安定した運営を行うことが求められていますが、国民健康保険の都道府県移管について、県としてどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
◎古川知事 = 次に問いの十番目、医療行政についてのお尋ねでございます。
一点目が医師、看護師の確保についてでございます。
厚生労働省の調査によりますと、佐賀県における人口十万人当たりの医師数は全国平均を上回っております。
ですが、産科、婦人科や小児科、麻酔科、救急科といった特定の診療科や、地域によって偏在が見られるなど、医師数が十分とまでは言えない状況でございます。
このため、県においては、これまで自治医科大学における医師の育成のほか、佐賀大学におけます佐賀県推薦入試制度、医師留学支援事業、女性医師の復職支援などの医師確保に積極的に取り組んでおります。
その結果、例えば、平成二十六年度の臨床研修医の人数が過去最高となると見込まれるなど、県全体の医師確保としては成果が出てきていると考えております。
今後とも、産科や小児科といった不足診療科だけでなく、総合内科といった新しい診療科、あるいは臨床研修医も含め、医師確保に努力をしてまいります。
次に、看護師の確保でございます。
看護師については、医療の高度化、高齢化の進展に伴う在宅看護の増加などによりまして、就労場所も拡大をしますし、ますます重要性が高まると認識をしております。
こうした中、看護職員の需給見通しについては、平成二十七年末においても常勤換算で四百名程度不足するものと見込まれておりまして、県内で働く看護師の確保は極めて重要な課題と考えております。
これまでの看護師等養成所への運営費補助に加えまして、今年度は看護師になりたい人をふやすことを目的として、看護職のイメージアップのためのPRや看護体験を行う「看護夢ナビ事業」を実施いたしました。
そもそも子供の数が減ってきておりますので、看護師になりたい母集団が小さくなってきております。
そういう中で、常勤換算で四百名程度足りないということは、同世代の中で看護師になりたいと思う人の割合を圧倒的にふやしていかなければならない、これが私どもの認識でございます。
おかげさまで、こうした取り組みもあって、来年度の看護師等養成所への入学志願者数は、前の年に比べてふえるといった成果があらわれております。
また、看護師の離職の防止や再就業の支援についても積極的に取り組んでおりまして、今後とも、県内の看護師の充足が図られるように、関係機関と連携の上、しっかり確保対策をやってまいります。
次に、救急医療についてのお尋ねでございます。
本県では、救急現場でICTを活用する新しい救急医療情報システム「99 さがネット」によりまして、救急隊と医療機関との間はもちろん、医療機関同士や、行政機関と医療機関の間でも情報共有が図られて、さらなる連携体制の強化に結びついたところでございます。
さらに先月、本県独自のドクターヘリが運航を開始いたしました。
このドクターヘリについては、佐賀大学医学部附属病院と佐賀県医療センター好生館という本県を代表する基幹病院が連携して運航をしております。
二つの救命救急センターが協力をすることで、本県の救急医療体制のさらなる盤石化につながっていくものと考えております。
また、伊万里有田共立病院や唐津赤十字病院など、県内各地域の中核医療施設でヘリポート整備が進められておりまして、今後、ドクターヘリがさらにその機能を発揮できるようになっていくものと期待しております。
救急医療は、救命率の向上や後遺症の軽減などにつながります。
県民が安心して生活できるための重要な医療分野でございます。
今後とも、消防機関や医療機関などの関係者同士の顔の見える関係づくりを強化することや、今ある制度や仕組みなどのよりよい運営方法の検討や改良を継続して行うことなどを通じて、県内の救急医療の一層の充実を図ってまいります。
次に、がん対策についてのお尋ねでございます。
がんの死亡を減らしていくためには、予防、早期発見、治療までの切れ目ない対策が必要であります。
これまで実施してきました総合的ながん対策をさらに進めることとあわせて、今回提出しております条例案、これの制定を契機に、近年課題となっております働く世代のがん対策を充実させたいと考えているところでございます。
このため、働く世代での罹患が増加傾向にございます大腸がんについて、職場での定期健康診断の際に市町の大腸がん検診を受けることができる仕組みをつくることにしました。
また、同じく働く世代で罹患が増加傾向にございます乳がんなど女性特有のがんにつきましても、市町におけます個別の勧奨、再勧奨、これらをコール・リコールと呼んでおりますけれども、こうした取り組みの支援や女性スタッフだけで検診を行うレディースデーの実施を促進して、検診率の向上につなげていくことにしております。
議員御指摘のように、働き盛りの方ががんにかかったために仕事を離れざるを得ないという現実があることは私も承知しております。
そのような方をできる限り減らすため、職域におけるがん予防やがん治療に対する理解を深めていくこととあわせて、がん治療と仕事の両立に悩む方々にもきちんと対応できる相談支援体制を構築することとしております。
また、肝炎肝がん対策として、ウイルス性の慢性肝炎患者などの定期通院費の助成制度を新たに開始することといたしております。
引き続き肝炎患者が一人でも多く治療に結びつくための仕組みづくりに努めていきたいと考えております。
このような取り組みを通じて、県民全てががんを正しく理解し、がんと向き合って生きることができる佐賀県を実現してまいります。
四番目が、難病対策についてのお尋ねでございます。
現行の医療費助成につきましては、対象となる疾患の範囲が限定されておりまして、難病に苦しんでおられる多くの方々が助成を受けられないという課題や、都道府県の超過負担といった課題がございました。
新たな制度では、助成対象が大幅に拡大され、多くの難病の方々がひとしく医療費助成を受けられる公平で安定的な制度となりました。
都道府県の超過負担についても解消されることとなっております。
制度の実施主体である県といたしましては、新しい制度を円滑に導入できるように、認定手続の準備や制度改正について関係者への確実な周知を図っていくこととしております。
また、難病にかかっていても服薬や通院を続けながら就労できる方が増加をしておりまして、就労は切実な問題となっております。
このため仕事と治療が両立できるように、全国初の民間主導による取り組みとして昨年発足いたしました「難病サポーターズクラブJAPAN」とも連携しながら、事業所の難病に対する理解促進に努めていくとともに、県独自の取り組みとして、知識、技能の習得とあわせて就業機会を提供するレッツ・チャレンジ雇用事業を引き続き実施することとしております。
こうした取り組みや地域の医療、福祉、就労など関係機関の一層の連携促進に努めまして、難病患者が有するさまざまな支援ニーズにできる限り対応して、難病患者の良質かつ適切な医療の確保と療養生活の質の向上を図ってまいります。
医療行政の五番目、国民健康保険の都道府県移管についてでございます。
国民健康保険の運営につきましては、昨年十二月の社会保障制度改革プログラム法において、都道府県が担うことを基本とするとされました。
ただ、その実現には解決すべき課題も多く、国と地方との間で丁寧な議論が必要だということで、一月三十一日から国保制度の基盤強化に関する国と地方の協議がスタートいたしました。
国保の都道府県への移管の時期は平成二十九年度までをめどとするとされております。
具体的な法案は平成二十七年の通常国会に提出することを目指すとされておりまして、まずは国において財政基盤の確立など持続可能な制度が構築されることが重要と考えております。
また、国保の運営等については、都道府県と市町村が適切に役割を分担することとされておりますが、保険料の賦課徴収や医療費の適正化を図る保険事業などにおいて、市町村のインセンティブが働くような仕組みを備えた制度が必要と考えております。
この国保の都道府県移管については、佐賀県はこうした動きが本格化する前から県と市町の協議の場などを通じて積極的に話し合いをし、協議を進めてまいりました。
市町村における国保の課題は非常に大きく、このままでは持続可能な制度であり得るとは考えられなかったからであります。
今、ようやく国においてこうしたことを全国ベースで行われるようになり、私としては大変いいことだと考えているところでございます。
ぜひともほかの国に例のない国民健康保険制度が引き続き持続可能なものとなっていくように、こうした国民健康保険の適切な運営によって、県民の皆様が安心して医療を受けられるように国に対して積極的に提案を行うこととあわせて、県としては、県内の市町とも十分協議を続けていきまして、県への移管が円滑に進められるように取り組みをしてまいります。
十一点目は、福祉行政についてであります。
古川知事は、ユニバーサルデザインを県政の基本に据えて、高齢者も障害者も誰もが安心して暮らせる社会を目指して、パーキングパーミットの推進を初め、地域共生ステーションへの支援、「バリアフリーさが映画祭」の開催など新たな視点からの取り組みを進められてきたと感じています。
このような古川知事の施策の取り組みについては私も評価をしていますし、ユニバーサルデザインを特別な配慮としてではなく、これからの社会の前提としていく必要があるとの考えには全く同感であります。
しかしながら、まさにこれからしっかりと取り組んでいくべき施策や解決すべき課題も残されているように感じているところであります。
そこで、次の点についてお伺いいたします。
まずは、聴覚障害者への支援についてであります。
ことしは聴覚障害者サポートセンターのオープンを控えており、聴覚障害者への支援がこの機会に充実されるものと期待していますが、サポートセンターではどのような取り組みを予定しているのかお伺いをいたします。
また、その後の聴覚障害者支援の取り組みについてどのような展開を考えているのか。
例えば、手話が言語であるとの認識に基づき、手話の普及を進める手話言語条例の制定などは考えられないのかお伺いをいたします。
次に、虐待防止についてお伺いをいたします。
県では、これまで課題となっていた児童や高齢者、障害者など、いわゆる社会的弱者に対する虐待について、その防止に向けた普及啓発や相談体制の強化などさまざまな対策を講じてこられました。
児童の虐待防止については、平成十二年十一月にいわゆる児童虐待防止法が施行され、これまで児童相談所や市町の相談体制の強化や、虐待防止に係る普及啓発を行い、虐待が起きたと思われる場合には通告を受け、速やかな対応を行っていると聞いております。
高齢者の虐待防止については、平成十八年四月にいわゆる高齢者虐待防止法が施行され、これまで「佐賀県高齢者虐待対応マニュアル」に基づく市町への助言や研修会の開催、介護施設等への指導監督時における虐待防止に係る指導を行ってこられたと伺っています。
中でも認知症高齢者が虐待を受ける割合が高いことから、各種広報媒体を活用した県民への広報、認知症サポーターの養成などに取り組むとともに、認知症の早期発見、早期治療のための認知症疾患医療センターの指定、認知症に係る相談に応じる認知症コールセンターが開設され、家族などの相談に対応されています。
障害者の虐待防止については、平成二十四年十月にいわゆる障害者虐待防止法が施行され、約一年半が経過したところであります。
同法に基づき、県には障害者権利擁護センターが、市町には障害者虐待防止センターが設置され、虐待防止に係る普及啓発や虐待が起きた場合の通報、届け出を受理し、速やかな対応を行っていると聞いています。
このようなさまざまな取り組みにもかかわらず、全国的に見ると、新聞などの報道ではいまだに痛ましい事件が後を絶たず、さらには児童や高齢者、障害者に対する虐待件数が年々増加しているという印象さえ受けているところであり、これらの虐待を防止するためには、県としてこれまで以上に取り組みを強化する必要があると考えています。
県では、児童、高齢者、障害者それぞれに対する虐待の状況をどう認識し、虐待の防止に向け今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
◎古川知事 = 次に、福祉行政についてでございます。
一点目が、聴覚障害者への支援についてでございます。
聴覚障害者、聞こえに障害のある方に対する最も必要な支援はコミュニケーションをとっていく、意思疎通を行うための支援でございます。
ですので、今回新しくオープンをします聴覚障害者サポートセンターで実施する事業につきましては、手話通訳や要約筆記者の養成、難聴者や中途失聴者のための聞こえの相談などの相談支援に力を入れることにしております。
また、聾者と難聴者や中途失聴者の方々はもちろんでございますけれども、高齢に伴って聞こえに不安を覚える方もたくさんございます。
こうした方々にも広く利用していただけるようなセンターにしたいと考えております。
議員から御提案のございました手話言語条例についてでございますが、手話は極めて重要な意思疎通のための手段でございます。
これとあわせて、難聴者や中途失聴者にとって要約筆記による意思疎通支援というものもあわせて必要になってきております。
このほかにも意思疎通、コミュニケーションに困難を抱える障害者全体への支援をどうしていくかという課題もございます。
こうしたことがございますので、この手話言語条例については、障害者全体への支援の充実という観点とあわせて、制定の可否も含めて研究をしてまいります。
私がこのセンターを佐賀商工ビルの中に開設することとしたのは、障害のある方々が町の真ん中に集まって暮らしをしていくことが共生社会としての望ましい姿ではないかと考えたからでございます。
聴覚に障害のある方々に対する情報保障が当たり前となる社会をこの佐賀県から実現していくという強い気持ちを持って、今後ともしっかりと取り組んでまいります。
次に、虐待防止についてのお尋ねでございます。
まず、児童虐待についてでございますが、平成二十四年度に県の中央児童相談所で過去最多の百四十八件の相談対応を行っております。
また、高齢者虐待、障害者虐待についても、県や市町などへ多くの通報、届け出があっております。
高齢者虐待でいけば、平成二十四年度の期間で通報等が百六十一件、虐待が九十四件。
障害者虐待については平成二十四年十月から二十五年十二月とやや不規則でございますが、通報等が百四十五件、虐待が二十件ということでございます。
こうした虐待は、被害を受けた方々の人権を著しく侵害をいたします。
生命、身体の安全にかかわるだけでなくて、児童の心と体、心身の成長や人格の形成にも重大な影響を与えます。
高齢者の健康や生活を害し、障害者の自立や社会参加を妨げるものだと認識をしております。
また、虐待を行ってしまった保護者や養護者は周囲からの孤立やストレスなど、これはこれでさまざまな苦しみを抱えておられることが多くて、この保護者などへの支援もあわせて重要だと考えております。
県としては今後とも、虐待に対して高い危機意識を持って、市町を初め、保健、医療、福祉、教育などの関係機関や地域住民との連携を密にして、虐待の未然防止とともに、虐待事案の早期発見、早期対応にしっかりと取り組んでまいります。
十二問目は、人口減少社会についてであります。
我が国は、少子・高齢化が進み、人口減少局面に入っています。
総人口は長期にわたって減少が続き、平成二十二年の一億二千八百六万人から、二十年後の平成四十二年に一億一千六百六十二万人となり、平成六十年には一億人を割ると推計されています。
また、総人口の減少に伴い、生産年齢人口も平成七年を頂点に減少に転じています。
佐賀県においても、平成二十二年の八十五万人が三十年後の平成五十二年には六十八万人となり、約二割、十七万人の人口が減少すると見込まれており、生産年齢人口は五十二万人から三十六万人へと十六万人弱減少すると予想されています。
先進国で例を見ないスピードでの少子・高齢化、人口減少の進行は、経済社会全体に大きな影響を及ぼすものであります。
我が国がいかにして社会経済の活力を維持し、豊かな国民生活を維持していくかが問われることとなります。
このことについては、まず国において、日本の置かれた状況を虚心坦懐に直視した上で、諸問題の解決に取り組む必要がありますが、佐賀県においても長期的な視野に立った取り組みが求められていると考えています。
現在、企業誘致や外国人観光客の受け入れなどの産業施策や、「418(しあわせいっぱい)プロジェクト」などの少子化対策の施策も取り組まれており、一定の評価はしていますが、二十年後、三十年後、さらにその先の佐賀県の将来を見据え、県としてもしっかりと取り組みを進めてもらいたいと考えています。
そうした視点から、次の点についてお伺いいたします。
まず、人口減少社会への対応についてであります。
日本において、人口減少社会は避けて通れない問題であり、経済を初め地域のあり方など、さまざまな分野に及ぶ課題であります。
県としても極めて深刻な課題として危機意識を持ち、この問題にしっかりと向き合い、取り組みを行う必要があると考えています。
今後の人口減少社会への対応について、知事はどのように考えているのかお伺いをいたします。
次に、女性が活躍できる社会づくりについてお伺いをいたします。
生産年齢人口の減少が大きな課題となる中で、地域経済の活性化を図るためには人材力をより高める必要があり、その柱の一つとして女性人材の活用が挙げられます。
この女性人材の活用促進は、安倍内閣の成長戦略の中核に位置づけられているものでありますが、県としてどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
続いて、少子化対策の重要性についてお伺いいたします。
まず、少子化対策についてであります。
県は、これまで少子化対策として、保育所の拡充や育児休業の取得促進等に取り組まれてきましたが、依然として少子化に歯どめがかかっていない状況であります。
先日、県内の婚活イベントを見学してまいりました。
二十から四十七歳の男女約三十名近くが参加されており、皆さん楽しそうにイベントに参加されておりました。
前に婚活イベントに参加をして結婚までたどり着いた方に話を聞きました。
「出会ったときどんな感じでしたか」と聞きましたら、やはり「ビビビときた」というふうにおっしゃっておられました。
その方いわく、「たくさんの出会いの場があると、たくさんのチャンスが生まれる。
だから、たくさんのチャンスの場を独身の方々につくってあげてほしい」、そのように言っておられました。
婚活イベントがいつもどこかで開催されている、そのような状況をつくり出すことが重要だと思っています。
そのため県では、少子化対策の取り組みとして「418(しあわせいっぱい)プロジェクト」を展開しておられますが、現時点での取り組みをどう評価しているのか。
また、今後どのように施策を推進していくのかお伺いをいたします。
続いて、幼児教育の重要性についてお伺いをいたします。
少子化対策の取り組みが進み、子供の数が増加することは非常にすばらしいことでありますが、佐賀県の活力を維持向上させるためには、一方で子供たちの教育をしっかりと行うことも大切であると考えています。
特に、学校教育の出発点である幼児期の教育は、「三つ子の魂百まで」、あるいは「人生において必要な知恵は全て幼稚園の砂場で学んだ」というような言葉にあらわされるように極めて重要だと考えています。
知事は、幼児教育についてどのように考えているのかお伺いをいたします。
続いて、子ども・子育て支援新制度の周知についてお伺いをいたします。
幼児教育や保育の質と量の確保を図るため、平成二十七年度から子ども・子育て支援新制度の実施が予定されており、現在、国に設置された子ども・子育て会議において、制度についての検討が行われていると聞いておりますが、実際にサービスを受ける保護者からは、制度の内容について十分に情報が行き届いておらず、どう判断していいのか迷うというような声も聞いております。
子ども・子育て支援新制度の内容については、保護者に対してしっかりと情報提供を行っていくべきだと考えますが、県としてどのように取り組むのかお伺いをいたします。
◎古川知事 = 次に、人口減少社会への対応についてのお尋ねでございます。
まず一点目、人口が減っていく中、どのように対応をしていくのかというお尋ねでございます。
私は、この人口減少について非常に大きな危機感を持っております。
もちろん国内市場が縮小をしていくということもございますが、地域の活力も停滞しますし、地域社会そのものが小さくなってしまいますし、高齢化が進むということは、すなわち、一般的に申し上げれば、働いていわば税金を稼ぐ世代の方が減り、そうした稼ぐ方々の世代によって支えられる世代の人たちがふえていくということになってしまいます。
それはすなわち国民負担率の上昇につながってまいります。
公的な負担、国民負担率の上昇に国民がどこまで耐えられるのかということを思いますと、本当に大丈夫なんだろうかと私も思っているところでございまして、議員と同様、大変高い危機感を持っているところでございます。
現時点において、人口減少そのものを抑制していく、あるいは影響を緩和する方策そのものはある意味わかっております。
一つは、自然減になっている状況に歯どめをかけること。
二つ目は、社会減を減らしていくこと、できれば社会増に持っていくこと。
そして三つ目は、できるだけ健康で長生きできる環境をつくること、この三つであろうと思っております。
そのために、少子化の対策、そして社会減を減らすための産業の振興、交流人口の拡大、さらには健康対策、そういったものを行っているわけでございますが、こうしたことを行うからといって簡単に人口減少がとまるというものではございません。
将来を考えたときにどうしていくのかということについて改めて考えなければいけないタイミングになっていると思っております。
来年度は総合計画二〇一一の最終年度となっております。
佐賀県の将来像に影響を与えます日本や世界の情勢変化や、それらの変化による社会への影響予測の調査など、次期総合計画の策定に向けた諸準備を行うことにしておりますので、次の総合計画の策定の中で人口減少問題についてもしっかりと取り組みをしてまいりたいと考えております。
日本に対して、また佐賀県に対してどのような影響を与えることになるのかということについて、まずはどのようになっていくのかということについて客観的にしっかりと研究をし、発表をしていきたいと考えているところでございます。
次に二番目が、女性が活躍できる社会づくりについてでございます。
女性の力を最大限発揮できるようにしていくことは、労働力人口の減少が懸念されるということもあって、新たな成長分野を支えていく人材確保にも不可欠だと考えております。
また、女性の労働参加の拡大や経営への参画促進は新たなサービスや製品の創出を促進して、社会全体に活力をもたらすだけでなく、家計の所得や購買力の増加により、人々がより豊かさを実感できるようになると考えております。
何より、一人の人間としたときに女性の自己実現ができるということの意味が一番大きいと私は考えています。
このため県では、保育所の整備など、女性が働きながら安心して子供を育てる環境を整備していくこととあわせまして、男性労働者の育児休業取得促進など、社会全体で女性の労働参加率を引き上げる取り組みを推進しています。
先月、本県の経済界を中心に、女性の社会進出を支援する「女性の大活躍推進佐賀県会議」が立ち上げられました。
この会議では、参加企業などに女性管理職の登用目標を自主的に設定してもらう取り組みや、女性の社会進出を支える環境整備に向けた提言活動などが展開されます。
県としても、女性が能力を発揮して生き生きと活躍していただけるように、この活動をしっかりと支援してまいります。
次に、少子化対策の重要性についてでございます。
県ではこれまで、主に子育てしやすい環境づくりを進めてまいりました。
例えば、待機児童については、実質的に佐賀県では待機児童数ゼロが達成できておりまして、こうした保育所を整備するという面におきましては一定の成果が出ていると考えております。
これからは休日にでも保育をしていただける環境であるとか、障害を持つ子供たちが保育してもらえる環境を充実させていくことなどが求められていると考えております。
とはいえ、こうした子育てしやすい環境づくりを進めていきましても少子化に歯どめがかかっておりません。
このたび新しくスタートしたのが、その前段となります結婚したい、あるいは子供が欲しい、そうした人たちの願いをかなえるための取り組みでございます。
四百十八人分の幸せを新しくつくり出すことを目指そうということで、この四、一、八に語呂合わせをして、「418(しあわせいっぱい)プロジェクト」と名前をつけましてスタートしているところでございます。
事業開始からまだ半年たっておりませんけれども、結婚の支援事業として婚活イベントを複数開催しまして、七十一組の方がカップルになられました。
また、「はじめまして赤ちゃん応援事業」という事業におけます人工授精費の助成でも九十件の申請実績があるなど、一定の成果はあるものと考えております。
来年度は、議員からももっと回数をふやしたらどうだという御提案がございましたが、こうしたこれまでの事業のさらなる充実を図ってまいりますこととあわせて、新たに会員制のお見合い事業を展開することで、より一層多くのカップルが誕生して、一組でも多く結婚につながることによって出生数が増加することを期待しております。
今後とも、関係する本部や市町が一体となりまして、結婚したい、子供が欲しいという願いがかなえられて、安心して子育てができる佐賀県となるようにしっかり取り組んでまいります。
次に、幼児教育の重要性についてでございます。
幼児期は、生活や遊びといった直接的、具体的な体験を通して、人として、また社会の一員として、よりよく生きるための基礎を獲得していく時期でございます。
この時期の教育は極めて重要だと考えております。
幼児期の教育を充実させ、向上心あふれる心豊かな子供を育てることは、健全で安定的な社会をつくり上げていく大切な素地となるものであると考えておりまして、県としても引き続き幼児教育の充実に努めてまいります。
次に、子ども・子育て支援新制度の周知についてのお尋ねでございます。
平成二十七年度から子ども・子育て支援新制度の実施が予定をされておりまして、その詳細について現在議論をされております。
一方で、確かに議員もおっしゃっておられるように、保護者の方からは、今のサービスがどう変わるのか、新しいサービスをどう選んでいけばいいのかといった相談を、私もよく受けます。
まだまだ十分に理解がされていない、必要な情報が行き届いていないと私自身も思っているところでございます。
この制度の詳細がまだわかっていないものですから、私どももやや遠慮しているところもあるんでありますけれども、やはり今からやっておかなければ、急に細かなことを言われてもわからないということにもなろうかと思っております。
さまざまな広報媒体を活用して、保護者の方がいきなりたくさんの情報を与えられて不安に思われることがないように、県としても市町とも協力してきめ細かに、そしてできるだけ早く情報提供を行っていくことを始めていきたいと考えております。
十三点目は、九州新幹線についてであります。
本年三月十五日のダイヤ改正により、九州新幹線新鳥栖駅に山陽新幹線との直通「さくら」が全て停車することとなり、停車本数は現在の十六本から三十六本と二倍以上にふえることになります。
これにより、新鳥栖駅の利便性が大きく向上し、特に観光面で関西・中国方面を初めとする広い範囲で人の交流がさらに盛んとなり、地域振興につながることが期待されているところであります。
また、新鳥栖駅が停車駅の一つとなる西九州ルートは、おおむね八年後の開業に向けて整備が進められているところであります。
西九州ルートは、在来線走行区間の安全面に配慮しながら整備を進めていくことは必要でありますが、新幹線効果を最大限に発揮させるためには、西九州ルートの開業時に、関西・中国方面を中心にいかに多くの観光客を呼び込んでいくかが重要だと考えています。
そこで、次の点について伺います。
まず、新鳥栖駅を生かした誘客促進についてであります。
佐賀県の新たな玄関口である新鳥栖駅から多くの観光客を呼び込むことは、観光を初めとする地域の振興を図っていく上で重要なことだと考えています。
JR九州さんにおいても、新幹線からの二次交通アクセスを充実させて、沿線だけでなく九州全域ににぎわいと元気を拡大していくということを示されております。
今回のダイヤ改正は大きなチャンスでありますが、県は今後、関西・中国方面などからの誘客にどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
続いて、在来線走行区間の安全対策についてお尋ねをいたします。
西九州ルートは、新鳥栖駅─武雄温泉間が在来線走行区間となっており、在来線の沿線住民は、開業後の運行本数の増加に伴い、踏切部での渋滞等が増すのではないかと懸念を抱いています。
このような沿線住民の不安を解消するため、在来線走行区間の安全対策について、県は今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
次に、西九州ルートの情報発信についてお伺いいたします。
西九州ルートの開業効果を県内に広く波及させるためには、開業時に多くの観光客に本県を訪れていただくことが何よりも大切だと感じています。
西九州ルートや佐賀県の認知度を高めていくため、今の段階から積極的に情報発信していく必要があると考えますが、どのように考えられているのかお伺いをいたします。
◎古川知事 = 次に、問いの十三番、九州新幹線について三つお尋ねをいただきました。
一点目が、新鳥栖駅を生かした誘客促進についてでございます。
今回のダイヤ改正によりまして、山陽新幹線との直通であります「さくら」が新鳥栖駅に全便停車することになりました。
これは、もうスタート時から私どもが強くJR九州に求めていたところでございまして、今回このことが実現できたことは関係者の御努力のおかげであると考えておりますし、これをぜひとも大きく生かしていかなければならないと思います。
せっかく全便停車することになったのに、そこを使う方、乗りおりされる方が少ないというのでは、JR九州としても残念に思われることとなりましょうし、これからの新鳥栖駅、あるいは県の東部地域の窓口としての発展にも影響を与えかねないと思っておりまして、今回の全便停車を、ぜひとも関西、中国方面からより多くの観光客を呼び込む一つのポイントにしたいと思っているところでございます。
これまでも、もちろんさまざまな取り組みをしてきたところでございますが、今回、ここにとまるということで、しかもここには観光バスなどもたくさん停車をすることができるということになっております。
新鳥栖駅を九州観光の大きな拠点にすることが物理的にも可能になってきたと考えておりまして、具体的に何をどうしていくのかということについては、「新幹線さが未来づくり協議会」でしっかり議論をし、ここと連携を密にしていきながら、関西、中国方面の誘客促進に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
次に、在来線走行区間の安全対策についてでございますが、議員もよく御存じのように、西九州ルートは新鳥栖から武雄温泉までの間は在来線を活用するということになっておりまして、現在の長崎本線と佐世保線を新幹線の車両が走ることになります。
ただ、開業後の運行本数については、現時点で計画されておりますのは、新鳥栖駅から肥前山口までの間で、今よりも一時間に一本程度ふえる。
肥前山口から武雄温泉間、現在の佐世保線の区間ということでありますけれども、一時間に四本程度ふえるということが見込まれております。
一時間に一本程度ということであれば、これは一分程度の踏切の遮断時間の増でございます。
一時間に四本ということであれば、一時間に四分程度踏切の遮断時間がふえるということになりますので、この時間だけを見ますと、踏切において大きな渋滞が発生する可能性は低いと考えております。
ただ、沿線住民の皆様方が新幹線開業後の踏切での渋滞などについて不安をお持ちであるということについては、私ども十分理解をし、承知をしているところでございまして、まずは運行形態などについて丁寧にお知らせをしていく必要があると考えております。
沿線の市町に対しきちんと説明を行いながら、西九州ルートの開業後の姿を理解していただくように努めていくこととしております。
また現在、県と沿線市町におきまして、踏切ごとにどのような課題があるか抽出をしております。
沿線住民の皆様の不安解消が図られるように、関係市町としっかり協議を重ねてまいります。
三番目が、西九州ルートの情報発信についてでございます。
西九州ルートが開業することで、佐賀県に九州の縦軸──鹿児島ルートのことでございますが──と、この横軸、西九州ルートの両軸がそろうことになります。
関西、中国方面との人の交流が一層拡大をしてまいります。
観光を初めとする産業の振興が図られることが期待されます。
そのためには、何よりこうしたことになるということを知っていただかなければ、先ほどの観光のお話ではございませんが、知らない情報は活用のしようがない、知らない目的地──デスティネーションには行こうと思いようがないというところでございます。
特に、直通の列車が走ることになる関西、中国方面において西九州ルートを広くアピールしていくこと、この必要性は極めて重要だと考えておりまして、県としては、この西九州ルートにより、こうした地域の方々に対し、佐賀県が非常に身近になるんだということについて、今の段階から積極的に広報やPRを行っていかなければならないと考えております。
既に職員を派遣して、既に開業を経験した鹿児島ルートの沿線の県や市町村においてどのような取り組みを何年前から行って、どういった事柄は効果があり、どういった事柄は効果がなかったのか、あるいはどういったことをやっておけばよかったと思っているのか、こうした事柄について幾度となくヒアリングをしているところでございます。
また一方で、西九州ルートよりも数年前に開通いたします北陸新幹線の沿線県においてどのような取り組みをしているのかということについても、あわせて情報の収集を行わせ、そうしたことを見て、遅きに失しないような情報発信にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
十四点目は、社会資本の整備についてであります。
国の平成二十六年度予算において、国民の安全・安心の確保や地域経済の活性化などの分野を重点化し、社会資本の防災・減災や老朽化対策を進めるほか、基幹的交通インフラ整備による国際競争力の強化や、通学路対策などによる安全な暮らしの実現を図ることとされています。
このような中、本県でもこれまで以上に安全・安心な暮らしを望む声が高まっており、また、経済成長を実現させるための物流や交流の活性化の取り組みも求められていると感じています。
しかしながら、本県の道路を初めとする社会資本の整備水準は全国に比べてまだまだ低い水準にあり、県民ニーズを踏まえながら、県民が安全・安心で快適に暮らせる地域づくり、そして、産業や観光の振興など地域活性化に寄与する社会資本の整備を着実に進めることが必要だと考えています。
そこで、次の点について伺います。
まず、暮らしに身近な道路の整備についてであります。
県では、広域幹線道路ネットワークとして西九州自動車道、有明海沿岸道路、佐賀唐津道路、国道四百九十八号の整備が最優先に進められており、これら広域幹線道路については将来の本県の発展に寄与するとともに、災害時には防災機能を発揮するものとして期待しているところであります。
そうした中、昨年夏、私たち自民党佐賀県連は、県内全ての市と町を回って関係者と懇談会を開催したところ、日常の暮らしに密着した生活道路について、延べ六十路線以上に上る整備要望が出され、これら整備に対する県民ニーズの高さを痛感したところであります。
具体的には、地域や集落を結ぶ道路の拡幅や見直しの改善、歩行者の安全確保のための歩道設置、渋滞緩和のための交差点改良のほか、豪雨などによる災害時の対策などさまざまであり、昨年十月、自民党佐賀県連として知事へこれら要望を提出し、可能な限り一つでも多く対処してほしいと対応を要請しましたが、古川知事には少しでも多く実現できるようにしたいと応じていただきました。
県では、予算上の制約があることは認識していますが、多くの県民から寄せられたこれら暮らしに身近な道路の整備に関する要望に一つでも多く対応してほしいと考えており、今後どのように整備を進めていくのか、知事の所見を伺います。
続いて、道路の老朽化対策について伺います。
道路は広域的な交流、物流を促進し、企業誘致や観光振興といった産業面のみならず、通勤通学や救急医療といった県民の日々の暮らしを支える最も基礎的な社会資本ですが、橋梁やトンネルを初めとする道路施設は建設から相当の年数が経過し、老朽化が進行している状況にあります。
例えば、佐賀県が管理する道路橋約二千四百橋において、建設後五十年以上が経過した道路橋の割合は、平成二十五年四月時点で約一五%となっており、これが十年後には約三七%、二十年後には約五六%と加速度的に増加していく傾向にあると聞いています。
老朽化した施設を放置すれば、落橋や崩壊等による道路の通行どめや第三者への被害が発生するなど、県民の安全・安心を脅かすばかりでなく、施設の更新に係る経費も膨大となることから、本県においても事前防災の考え方による国土強靱化を推進し、必要な命を守り抜く防災対策を着実に進めていくべきだと考えています。
今後、加速度的に老朽化していく道路施設の中でも、特に重要な構造物である橋梁やトンネルについて、早急な老朽化対策が必要だと考えていますが、今後どのように進めていくのかお伺いをいたします。
三点目は、港湾の整備と利活用についてであります。
港湾は、国内の輸出入貨物量の九九・七%を取り扱っており、国民生活と産業活動を支える重要な物流基盤です。
エネルギーの九割以上及び食料の六割を海外に依存する資源少国である我が国においては、製造品の輸出や、食料、資源の輸入などの貿易が、経済活動と国民生活を支えている重要な社会資本となっています。
県内には伊万里港と唐津港という二つの重要港湾があり、伊万里港においては七ツ島地区において水深十三メートル岸壁とガントリークレーンが昨年四月二十日から供用を開始するなど、国際コンテナ貨物を取り扱う国際貿易港として着実な歩みを続けており、今後ともさらに利活用の促進が図られ、地域の経済発展に貢献することが期待されています。
一方、唐津港は古くから大陸との交易の要衝として栄え、唐津城や虹の松原など歴史や自然の観光資源に恵まれた港であり、東アジアに向けた観光港としても大きなポテンシャルを持つものの、十分に生かし切れていないと考えています。
このため、唐津港の早期整備と利活用促進を図っていくことが必要と考えますが、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
また、唐津港佐志浜地区の埋立地のうち、当初、住宅関連用地として計画されていた約八ヘクタールについては、社会経済情勢の変化もあり、土地利用が進んでいないと聞いております。
佐志浜埋立地は、唐津港の航路、泊地のしゅんせつ土受け入れのため、地元の貴重な財産であった砂浜、海を埋め立ててできた土地です。
地元の活性化につながる土地利用を早く実現するべきであり、現在の社会経済情勢のニーズに合わせて有効利用を図るべきと考えますが、知事の所見を伺います。
◎古川知事 = 次に問いの十四、社会資本整備について、大きく三つの問いをいただいております。
一点目が、暮らしに身近な道路の整備についてでございます。
県では、厳しい財政状況の中で、幹線道路ネットワークの整備や交通安全対策に重点化して道路の整備を行っております。
議員御指摘の日常の暮らしに密着した生活道路の整備については、地域からさまざまな要望が来ていることは私も認識をしておりますし、昨年十月の要望の提出の際にも、このことについてコメントがあったこともよく記憶をしているところでございます。
県としては、議員もよく御理解いただいているように、あれもこれもすぐにというわけにはまいりませんが、限られた財源の中で、ただ、国の緊急経済対策などもございますので、こうしたことも十分に活用していきながら、地域の期待に少しでも多く応えられるように努めていきたいと思っているところでございます。
次に、道路の老朽化対策についてでございます。
本県の橋梁やトンネルの多くは高度成長期以降につくられたものでございまして、今後、急速な施設の老朽化による機能低下が進みます。
これらの道路や施設は、それぞれの老朽化のスピードや、どうやってその機能を保全するのかという方法などが違っておりますので、一つ一つの施設の現状を踏まえながら、老朽化に備えた対策を計画的に進めていかなければなりません。
そこで、橋については佐賀県橋梁長寿命化修繕計画をつくりました。
この計画に基づきまして、損傷が大きくなる前に全ての橋梁について予防的な維持修繕を実施するということを決めておりまして、これによって橋梁の安全性を確保し、あわせて維持管理コストを縮減することとしております。
また、トンネルにつきましては、「佐賀県道路トンネル点検マニュアル」に基づきまして、平成二十三年度から二十四年度にかけて定期点検を実施し、補修が必要なトンネルについては、適宜対策工事を実施するなど適切な維持管理に努めているところでございます。
今後も、橋梁やトンネルだけでなく、全ての道路施設、さらに申し上げれば、あらゆる社会資本について老朽化対策などを計画的に進めていかなければならないと考えております。
こうしたことによりまして、県民が安全に安心して施設を利用できるように取り組みをしてまいります。
次に、港湾について整備と利活用、さらには佐志浜の土地利用についてのお尋ねでございます。
まずは、唐津港についてのお尋ねでございます。
唐津港は、物流、水産、観光レクリエーションなどの機能をあわせ持つ複合港でございまして、現在、東港地区におきましては、国内貨物の物流基地、大型旅客船の接岸と震災時の緊急物資輸送基地として、水深九メートル岸壁を国の直轄事業として整備中でございまして、大体平成二十七年度末には完成予定と伺っております。
引き続き早期の完成を国に働きかけてまいります。
また、利活用につきましては、県、市、そして地元関係者が一体となりまして、ポートセールスに取り組んでおります。
国内外の旅客船の誘致や、鋼材や機械、砕石などの貨物取扱量の増加を図りまして、唐津港が観光や物流拠点としてさらに発展するよう努めてまいります。
次に、佐志浜の埋立地の土地利用についてのお尋ねでございます。
平成十五年の四月に佐志浜埋立地は竣工をいたしました。
当初、住宅関連用地、その後、住宅関連用地、業務施設用地、商業施設用地の三つとして利活用を図ることとしましたが、具体的な引き合いがなく、計画の実現には至っておりません。
また昨年、唐津市が福岡ソフトバンクホークスファーム本拠地誘致に対してこの土地で名乗りを上げられましたが、実現できませんでした。
この埋立地は一定のまとまった土地でございます。
県北部においても貴重な土地と考えておりまして、地元の意向も踏まえて土地利用計画を見直して企業誘致に取り組むことにしたいと考えております。
十五点目は、スポーツの推進についてであります。
平成二十三年八月に施行されたスポーツ基本法に、スポーツは「国民が生涯にわたり心身ともに健康で文化的な生活を営む上で不可欠のもの」とあるように、県民の心身の健康の保持増進、次世代を担う青少年の心身の健全な発達や人格の形成、人と人、地域と地域の交流の促進による地域の一体感や活力の醸成、地域の活性化などに寄与するものであります。
また、佐賀県ゆかりの選手、チームが、世界や国内トップレベルの舞台で活躍することは、県民に夢と感動、活力を与えてくれます。
昨年九月、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックが開催されることが決定しました。
我が国でのオリンピック・パラリンピック大会の開催は、国民、県民のスポーツへの関心を高めるとともに、さまざまなアスリート、スタッフ、観光客が我が国を訪れることで、国際親善や我が国経済の活性化などにもつながるものだと考えます。
また、昨年の十一月議会で、知事が平成三十五年の国民体育大会・全国障害者スポーツ大会の佐賀県への招致を表明されましたが、県議会においても両大会の開催が障害のあるなしに関係なく、多くの県民がスポーツに親しむとともに、スポーツの持つ力で地域の活性化を図る一つの契機となるとして、佐賀県への招致を決議したところであります。
このような中で、佐賀県としてスポーツの一層の推進を図り、スポーツの持つさまざまな「ちから」を活用して、佐賀県をさらに住みやすい、元気な地域にしていくことが必要と考えます。
そこで、次の点について伺います。
まず、これからのスポーツ推進の取り組みについてであります。
二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開催、それに続く平成三十五年の国民体育大会及び全国障害者スポーツ大会の佐賀県への招致は、本県のスポーツ推進の大きな契機となるものと考えます。
また、ユニバーサルデザインによる社会づくりの実現を目指すためには、国民体育大会と全国障害者スポーツ大会の融合化を進めていくべきだと考えます。
このようなことから、この二つの大会を一つの目標として、佐賀県の一層のスポーツ推進を図っていく必要があると考えますが、今後、本県のスポーツ推進にどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
次に、本県スポーツの競技水準の向上についてお伺いいたします。
佐賀県ゆかりの選手やチームが、世界や国内トップレベルの舞台で活躍するためには、佐賀県の競技水準の一層の向上を図っていく必要があります。
お隣福岡県では、運動能力にすぐれた小中学生を選抜して育成し、適性競技を見きわめて国際舞台へ送り出すタレント発掘事業を二〇〇四年からスタートさせ、フェンシングや競泳、アーチェリーなどジュニア大会で二十六人の日本一を誕生させて、現在も世界の頂点を目指して努力していると聞いております。
競技水準の向上は一朝一夕にできるものではないことから、福岡県のように計画的に取り組んでいく必要がありますが、このことについてどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
三点目に、スポーツによる地域の活性化についてお伺いをいたします。
県内にはサガン鳥栖を初め、バレーボールやハンドボールなど有力なチームがあり、全国の舞台での活躍などが地域に誇りや元気を与えています。
また、昨年四月に開催されたフルマラソン化された「さが桜マラソン」には、全国から一万人のランナーが集まり、約六万人の観衆でにぎわっていました。
また、J1サガン鳥栖のホームゲームには十万人を超えるサポーターがスタジアムに足を運ぶなど、盛り上がりを見せています。
地域の活性化、佐賀県のイメージアップ、情報発信に大いに寄与していると考えています。
これからはこのようなスポーツによる地域の活性化にしっかりと取り組む必要があると考えますが、地域の活性化にどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
特に、サガン鳥栖については、県内唯一のプロサッカーチームであり、Jリーグの理念の実現として、地域貢献の活動を積極的に展開されており、J1での活躍が地域の活力や全国への情報発信にもつながるなど、地域活性化の観点から大きな財産となっています。
このため、これからもJ1に定着して活躍してもらうことが必要であると考えますが、どのように支援していかれるのかお伺いをいたします。
◎古川知事 = 次に、問いの十五、私からは最後でございますが、スポーツの推進についてのお尋ねでございます。
まず一点目が、これからのスポーツ推進の取り組みについてでございます。
二〇二〇年、平成三十二年に東京オリンピック・パラリンピック大会が開催されますことは、我が国の社会が変革する大きな契機になると考えます。
東京オリンピック・パラリンピックには、世界のさまざまな国や地域から、さまざまなアスリートや関係者、観光客が我が国を訪れます。
二〇二〇年までに東京だけでなく我が国を、そして佐賀県を、いろいろな国や地域のアスリート、外国人、障害のある人、高齢の方にとっても訪れやすい、住みやすい地域にしていかなければなりません。
また平成三十五年、二〇二三年の国民体育大会・全国障害者スポーツ大会を佐賀県で開催したいと考えておりますが、このことも同じように佐賀県の社会を大きく変える機会にする必要があると考えております。
そのキーワードは、ユニバーサルデザインだと考えております。
佐賀県では、年齢、障害の有無、性別、さまざまな社会的な要素に関係なく、誰もがそれぞれのスタイルでスポーツを楽しむことができる環境をつくっていくという意味でスポーツのユニバーサルデザイン化に取り組んでおります。
また、東京オリンピック・パラリンピックで佐賀県ゆかりのメダリストが出るようなスポーツの環境をつくっていきたいと考えております。
東京オリンピック・パラリンピック、その後の国民体育大会・全国障害者スポーツ大会の佐賀県での開催を一つの契機として、こうした取り組みをしっかりと進めてまいります。
次に、スポーツの競技水準の向上についてのお尋ねでございます。
佐賀県のアスリートやチームが世界や国内のトップレベルの舞台で活躍する東京オリンピック・パラリンピックで佐賀県ゆかりのメダリストが出るといった環境をつくっていくためには、単にトップアスリートを鍛えればいいということだけではなく、スポーツの裾野を広げることや、アスリートを育成する指導者の層を厚くすることなども必要であると考えております。
そうした中で、まずは指導者の育成やさらなる資質の向上のための取り組みを進めることにしております。
また、スポーツの裾野を広げるという意味で、日常的にスポーツを楽しむ人をふやしていくことが重要でありまして、年齢や障害の有無に関係なく、誰もがスポーツを楽しむことができる環境をつくってまいります。
このようなことは、一朝一夕に実現できるものばかりではございませんので、東京オリンピック・パラリンピック、その後の国民体育大会・全国障害者スポーツ大会での佐賀県での開催を一つの目標年次として、計画的な取り組みを進めてまいります。
そして三番目、私からは最後でございますが、スポーツによる地域の活性化についてでございます。
「さがんアスリート」を初めとする佐賀県のアスリートや、サッカー、バレーボール、ハンドボールなどの有力なチームが世界やトップレベルの舞台で活躍することや、県内でトップレベルの試合やスポーツ合宿、大規模なスポーツ大会などが開催されることは、県民の皆さんがスポーツを始めるきっかけや新しいことにチャレンジするきっかけになるとともに、スポーツを通じてたくさんの人が佐賀県を訪れたり、佐賀県の情報に触れることで地域経済の活性化や佐賀県のイメージアップ、情報発信につながります。
このようなスポーツの「ちから」を活用して佐賀県を元気な地域にしていきたいと考えております。
そのため、さまざまな情報発信を行うとともに、スポーツコミッションによる大会、合宿の誘致などスポーツによる佐賀県への誘客推進に取り組みます。
また、議員からも御指摘のあったサガン鳥栖については、J1所属の本県唯一のプロサッカーチームでございます。
これまでも活躍できるようなさまざまな形での支援を行ってまいりましたが、これからも佐賀県としてはJ1で活躍できるように、県民の皆様がサガン鳥栖を応援するという機運が盛り上がっていくというのがサガン鳥栖にとって何よりの支援だと考えているところでございまして、県としてもこうしたことに必要な支援をしっかりと行ってまいりたいと存じます。
私からは以上でございます。
十六点目は、教育行政についてであります。
近年世界では、ICTの進歩や交通網の発展などにより、人、物、金が国境を越えて移動するグローバル化が急速に進展しており、経済を初め、さまざまな分野で国際社会との相互連携、相互依存の関係はますます深まり、競争も一層激しさを増しています。
また、二十一世紀は新しい知識、情報、技術が、政治、経済、文化を初め、社会のあらゆる領域における活動の基盤として飛躍的に重要性を増す社会、いわゆる知識基盤社会であると言われています。
社会の変化のスピードも一昔前とは比べ物にならず、こうした中で次世代を担う子供たちに社会の大きな変化にも柔軟に対応し、生き抜くことができる力を身につけさせるためには、国際的視野やコミュニケーション能力、情報活用能力を育み、また基礎的、基本的な知識や技能はもとより、思考力、判断力、表現力や学ぶ意欲などを含めた確かな学力の定着を図ることが一層の急務となっています。
県教育委員会では、これまで学力向上やICTを利活用した教育の推進、グローバル人材の育成などの諸課題に取り組んできたところですが、来年度は総合計画二〇一一の最終年度であり、佐賀県教育としての一つの区切りを迎えることから、改めてこうした社会情勢を踏まえながら、いわば仕上げの年としてしっかりと取り組んでもらいたいと考えています。
まず、児童生徒の学力向上については、全国学力・学習状況調査の「全区分で全国平均以上」という目標を目指す中、県教育委員会では本年度、全国調査で常に上位にある秋田県と福井県に教員を派遣しており、来年度はその成果を踏まえた実効性のある施策が求められるところであります。
例えば秋田県では、全県的なテストを活用した学力向上のPDCAサイクルを確立しており、また一方で、児童生徒には自学ノートによる自宅での勉強や早寝早起きなどの生活習慣が定着していると聞いています。
佐賀県でもこうした事例を参考に、学校での指導法の改善に加え、学校と家庭、地域が連携して子供たちの学力向上に取り組むことが必要ではないかと考えています。
次に、先進的ICT利活用教育については、いよいよことし四月からは県立高校でも電子黒板に加えて学習用パソコンが導入され、本格的にICT利活用教育が実施されることとなっています。
しかしながら、このICT利活用教育は新たな教育手法であり、全国的に見ても先駆的な取り組みであります。
対象となる児童生徒や保護者が不安に感じることがないよう、特に高校受験を間近に控えた中学三年生やその保護者に対して、ICT利活用教育に取り組む目的等について丁寧に説明するとともに、指導に当たる教員の能力の向上を含め、学校側の受け入れ体制を十分に整え、滞りなく四月を迎えてもらいたいと考えています。
また、県内の中学校卒業者数の減少が続く中、今後さらに生徒が急激に減少することが見込まれており、今後の新たな生徒減少期にあっても県立高校の質的充実を図っていくため、昨年十一月十四日に「新たな生徒減少期に対応した佐賀県立高等学校再編整備実施計画」が、たたき台でありますが策定され、公表されました。
再編計画策定の予定は、本年十月ごろをめどとされています。
県立高校はそれぞれの地域において、まちづくりという点からも大変重要な存在であり、各学校関係者にはさまざまな思いもあることから、県立高校の再編を進めていくことは大変難しい面があると思われますが、今後も地域の関係者に対して県立高校の再編の必要性と目的について丁寧に説明し、理解と納得を得る必要があると考えています。
このような重要課題への対処を初めとして、いじめや体罰などの問題の対処なども含めて、これからの佐賀県教育にどのように取り組んでいくのか、教育長の所見を伺います。
◎川崎教育長 登壇=教育行政につきましてお答えをいたします。
今日の学校教育におきましては、グローバル化や情報化が急速に進展する社会経済環境にありまして、国際社会で、いわゆる生き抜く力を育むことを初めとして、学力向上や不登校、いじめ対策、特別支援教育の充実、それに、これからますます必要で重要となってくる情報利活用能力の向上など対応すべき課題も多くあります。
佐賀県教育の目指すべき目標は、これらの教育課題を克服しつつ、一人一人の個性と能力を最大限に伸ばすとともに、知・徳・体の人格にすぐれた社会有為な人材を育成することにあると認識いたしております。
それは、県民の期待と信頼に応えながら、勉学に、文化芸術に、そして体育、スポーツにすぐれた成果を発揮し、一人一人が希望に満ち、存在感のある自立する力を育み、支援することにあると捉えています。
目標の実現に当たりましては、教職員の意識や学校の教育力を高めることはもとよりのこと、県民と意識を共有しながら、家庭の教育力や社会の教育力を高め、社会全体の総合的な教育力によって取り組むことが重要であると考えています。
こうした認識に立ちまして、御指摘のまず学力向上についてでございますが、来年度に向けましては、秋田県や福井県に派遣しております教員からの現地報告も参酌しながら、これまで実施してきた取り組みを点検、検証し、見直すところは見直した上で「佐賀県総合計画二〇一一」に掲げます「全区分で全国平均以上」という目標の実現に向けまして、学校と家庭、地域が連携協力した実効性のある諸施策を実施してまいります。
次に、ICT利活用教育につきましては、平成二十三年度から先進的ICT利活用教育推進事業を工程に沿って計画的に推進しているところでございますが、いよいよ来年度は全国に先駆けて、四月から全県立高校の一年生に学習者用パソコンを導入することといたしております。
この導入を円滑に進めるため、生徒、保護者への丁寧な説明や教職員の資質能力の向上に努めますほか、学習者用パソコンを購入しやすくなるよう、県の育英資金貸付金の入学時加算を増額しますとともに、無利子で分割払いができる新たな貸付制度を創設することといたしております。
なお、この学習者用パソコンにつきましては、生活保護費の支給対象となることが確認されております。
続いて、県立高等学校の再編整備についてでありますが、本県におきましては、新たな生徒減少期への対応をどうするのか、社会経済や教育環境等の変化への対応をどうするのかという重大な教育課題があります。
これらの課題に的確に対処していくためには、「新たな生徒減少期に対応した佐賀県立高等学校再編整備実施計画」をタイムリーに策定して計画的に取り組む必要があります。
そこで、佐賀県立高等学校生徒減少期対策審議会の答申や国の動きなどを踏まえまして、これから論議を深めていくためのたたき台を去る十一月十四日に策定、公表し、お示しした次第であります。
現在、関係市町で地元説明会を開催するなどしながら、地域のさまざまな御意見や要望をお聞きしているところでございます。
これから、そうした意見や要望を集約し、整理しますとともに、県民の理解と納得が得られますようさらに論議を深め、十月ごろをめどに「新たな生徒減少期に対応した佐賀県立高等学校再編整備実施計画」を策定したいと考えております。
いずれにいたしましても、県教育委員会では知事部局とも連携協力しながら、「佐賀県総合計画二〇一一」の目標実現に向けた諸施策や社会経済状況の変化に応じた実効性のある施策を積極的かつ機動的に展開し、新たな教育県佐賀の構築に取り組む所存でございます。
最後に、県警組織力の強化と検挙活動の推進等についてお伺いをいたします。
大量退職時代の中、今後十年間で佐賀県警察官の約三割が退職していく予定であり、県警組織の弱体化が懸念されるところ、佐賀県の安全・安心を確保していくために、県警組織力の強化が重要な課題です。
また、県警の組織力強化により検挙活動をさらに推進するとともに、未解決重要事件の早期解決を図り、県民の期待に応えていかなければならないところだと考えています。
そこで、次の点についてお伺いをいたします。
まず、県警組織力の強化についてであります。
県民が安全で安心して暮らせる社会を実現していくために、県警はどのような取り組みを行っているのかお伺いをいたします。
次に、検挙率向上方策及び未解決重要事件の早期解決についてお尋ねをいたします。
刑法犯認知件数は、平成十五年に比べて平成二十四年度は約半分に減少しております。
検挙数も同様に減少しているところでありますが、この十四年間、検挙率は三割から四割、同じ水準を維持しております。
刑法犯等犯罪率の検挙率を向上させるとともに、殺人事件等の未解決重要事件の早期解決のために、県警はどのような取り組みを行っているのかお伺いをいたします。
最後に、県警本部長の決意についてお伺いをいたします。
県警本部長は駐在所勤務なども含めて現場の経験が豊富だと聞いております。
また、私も時々参加している朝食会に月に一度、必ず参加されていると聞いており、県民の中へ溶け込もうとしているという気持ちのあらわれではないかと感じているところであります。
県警として、県警組織力の強化及び検挙率向上方策、未解決重要事件の早期解決に取り組まれているところでありますが、これらの取り組みに対する県警本部長としての決意をお伺いしたいと思いますので、ぜひ御自身の言葉で語っていただきたいと思います。
◎長嶋警察本部長 登壇=県警察力の強化と検挙活動の推進等につきまして、三点御質問がございましたのでお答えを申し上げます。
まず、県警組織力の強化についてでございます。
御指摘のように、県警におきましても大量退職期を迎えまして、組織の急激な若返りが進んでおります。
こういった中、治安上の脅威、問題点等に迅速かつ的確に対処するため、第一線の警察機能を最大限に発揮できるよう県警察組織力を強化することが重要な課題であるというふうに認識しているところでございます。
こういった状況を踏まえまして、特に二つの観点から強化を図っているところでございます。
一つは、組織的基盤強化の観点でございます。
これまでにも初動警察活動強化のための通信指令課、若手警察官の早期育成を図るための人材育成室、安全なサイバー空間確保のためのサイバー犯罪対策室などの組織を設置したほか、警察官の増員措置による暴力団対策等の体制の強化をしてきたところであります。
引き続き、治安情勢に応じた対応ができるような組織体制の強化を図ってまいりたいと考えております。
もう一つは、人的基盤強化の観点からであります。
優秀な人材を採用することはもちろんでありますけれども、採用時教養を含め、若手警察官の現場対応能力を向上させるための実戦的総合訓練、ベテラン警察官による知識、技能等の伝承、その他各種訓練、研修等を強化するなどして早期戦力化を図っているところであります。
あわせまして、幹部職員の指揮能力の向上等にも積極的に取り組んでおります。
また、女性の視点を一層反映した警察運営を図るため、女性警察職員の意見を組織運営に積極的に吸い上げるとともに、優秀な人材の採用、登用の拡大を図るなどしているところであり、このような各種の施策を通じまして組織力の強化を図っているところでございます。
次に、検挙率向上方策及び未解決重要事件の早期解決についてでございます。
平成二十五年中における刑法犯の認知件数は、最多を記録しました平成十五年の約半数まで減少し、検挙率は三七・九%でございます。
これは、平成十五年の検挙率と比較しますと八・八ポイント向上し、全国平均と比較しまして八・一ポイントほど上回っている状況にございます。
刑法犯の特徴を見てみますと、認知件数の約八割というものは、空き巣や乗り物盗などの窃盗犯が占めており、この種の犯罪の検挙向上を図っていくことが必要不可欠であるというふうに考えております。
このほか、殺人、強盗、強制わいせつなどの重要犯罪も発生しており、被疑者、犯人の早期検挙を徹底し、犯罪抑止を図っていくことが重要であるというふうに認識しております。
こうした犯罪情勢を把握、分析することにより、捜査員を重点的に配置しまして捜査に当たらせるとともに、重要事件の発生に際しましては、捜査員等を大量に投入しまして初動捜査の徹底を図るようにしているところであります。
また、ベテラン捜査員が経験と技能を生かし、若手捜査員を指導する、いわゆる伝承教養でございますが、これによりまして捜査能力の向上に努めているところであります。
一方、鳥栖市飯田町における男性会社員殺人事件など数件の重要事件がいまだ解決に至っておりません。
捜査が長期化していることなどから、事件を風化させることのないよう専従の捜査体制をとり、情報提供の呼びかけなど事件解決に向けた捜査を継続的に行っているところでございます。
最後に、県警本部長としての決意ということでございます。
私自身、県民の皆様や来県された方々が安全と安心を実感できるような佐賀県にしようということで、県警として何ができるのか、何をすべきなのかを的確に判断し、常に県民のためになるのかどうかを考えながら活動することが大変重要であると考えております。
このことを全ての職員に徹底し、各種犯罪の検挙活動を推進し、長期化している事件の早期検挙にも努めてまいりたいと考えているところであります。
また、先ほどお話がありましたように、みずからもいろいろな機会、場面におきまして、県民の皆様の意見を伺うとともに、治安情勢や警察の対応などについて御説明をし、警察活動に対する御協力、御理解を得るように努めてまいりたいと考えております。
今後とも、職員一人一人が使命感と誇りを持って、積極かつ前向きに職務に取り組むことができるよう組織運営を行い、県民の皆様の期待と信頼に応えてまいる所存でございます。
どうかよろしくお願いを申し上げます。
以上、サガン鳥栖のサポーターナンバーと同じ17項目にわたって質問をさせていただきました。
結びに、先日、ある方から、我が国においてこれまでの近代化の流れの中で、歴史をつくる県と、つくられた歴史の結果を受け入れていく県があったが、幕末より明治にかけての佐賀県は歴史をつくる県であったと御教示をいただきました。
総合計画2011で「新しき世に佐賀あり。
」とうたう佐賀県が再び歴史をつくる県となりますよう、心から期待するものであります。
昨年暮れ、九十五歳で亡くなられた南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領は、南アフリカのアパルトヘイト政策に反対する運動へ身を投じて逮捕、そして終身刑を宣告されました。
しかし、四十五歳から七十一歳で釈放されるまで、獄中にあった二十七年間、その志を曲げることなく、誰もが不可能と諦めかけていたアパルトヘイト政策撤廃を、その不屈の精神でなし遂げました。
同様に、たとえ地味で小さな佐賀県であったとしても、不可能だと安易に諦めてしまうのではなく、わずかでも可能性がある限りは、その可能性を信じて行動し続けることが「新しき世に佐賀あり。
」を実現できる道であると信じてやみません。
富士山に登ると心に強く決めた人だけが登ることができるのです。
散歩のついでに富士山に登った人は誰もいないのであります。
古川知事も大いに自信を持って、その信じた道を突き進み、佐賀県が目指す目標に対して明確な意志と揺るぎのない信念を持って県政運営に当たられますよう、そして、やがては佐賀県のレジェンドとなられますことを祈念いたしまして、自由民主党を代表しての質問を終わります。
(拍手)