最近読んだ本から...
「10年後の日本」 文春新書
その中から「治安悪化」のページを紹介します。
1980年代の半ばまで、日本の治安の良さは「世界一」。
しかしいま、「体感治安」は確実に悪化している。この10年で日本の治安が悪くなったと思う人はおよそ9割。自分の身近な人が犯罪に遭うかもしれないという不安を感じている人は8割。
1980年代まで検挙率も60%前後を誇っていたが2000年以降は20%前後まで落ち込んだ。先進国の中でも最も低い国のひとつになった。
これを受けて警察庁は2002年から6年間で2万人の増員をはかるとしているがそれでも、警察官一人が担当する市民は500人を超える。しかも今後は経験豊富なベテランが大量に退職し、2013年までに警察官の約4割が入れ替わる。「量」は補うことが出来ても「質」を維持できるかは疑問。
1979年版の「犯罪白書」は、戦後、他の先進工業国では、経済的な繁栄と同時に治安が悪化したが、高度成長期の日本では犯罪が増えなかった事実を指摘。その理由を以下のように分析した。
「島国であるがゆえの民族、言語、文化の統一性」
「家族、会社、コミュニティといった集団の強い結びつき」
「日本の文化的伝統から生まれた思いやりの気持ちや調和を大切にする日本人固有の倫理 観」
等がそうさせた、と。
だが、この四半世紀の間に社会情勢や犯罪の傾向は一変した。現実を直視し、治安対策に何が必要なのかを問い直さなければ、日本の安全は過去の「神話」になってしまう。
治安の回復にはいろんな施策を実行する必要がありはしますが、結局、1980年代以前の安全神話を取り戻すには、突き詰めて考えると、「国家の品格」や「国家のけじめ」といった本や「佐賀のがばいばあちゃん」に向うことが重要だと思います。
個人主義、自己中心主義、拝金主義から脱却して、「個と公のバランス」のとれた生き方に変えていく必要があるのだと思います。